第6話 化けの皮
「その時の先輩は、すごくかっこよかったんですよ!ね?先輩?」
「やるべき事をやっただけだ。褒められるような事でもない。」
ラニットが語る中で気になったのは、全てが作り話でもないところであった。
「(オレの事は、抜かりなく調べ上げてきているということか。)」
朝食を盛った皿の上が綺麗になったところで、
「ラニット、そろそろ『仕事』に入るぞ。」
「了解です!お母さん、ごちそうさまでした!とってもおいしかったです!」
「
「あぁ。」
「ラニット、オレの部屋で話そう。
「分かってるわよ。盗み聞きなんてしないわ。」
二人は、
「さて、自己紹介してもらおうか。ラニット。」
部屋に入ると、先程までの快活で愛くるしい後輩の姿はなく冷淡な顔の
「はじめまして、ベスティアさん。お気づきだと思いますが、上よりの指令で今回の失踪事件を担当する事となったラニットです。」
「さっきとは大違いだな。役者になれるんじゃないか?」
「少なくとも、あなたよりはボクの方が向いていると思います。」
「・・・ッ。オレのこともよく調べていたようだが?」
「渦中の村の関係者が組織にいるとなれば、当然です。あなたの現在に至るまでの情報は可能な限り調査しました。」
「『書庫』か・・・。それにしてもよくオレが保安隊を隠れ蓑にしている事がわかったな。そこまでは、書庫にもない情報だったろ。」
『書庫』とは、組織の情報担当の通称であり、あらゆる情報を
「それは、あなたのお
「ほう・・・その歳で
「ベスティアさん、演技の上で先輩と呼びましたが、先輩面するのは辞めてください。ボク達は
「・・・あぁ、分かったよ。」
ラニットの険のある物言いに少々癇に障ったが、
なにより
情が生まれてしまうからだ。
確かに複数で動けば、早期の事件の解決にもつながるかもしれない。
だが、時に情は判断を狂わせる。
仲間が負傷をすれば、
仲間の死を目の当たりにして、怖気付いてしまう場合もある。
だから、
当然、仲間が
「(コイツの態度は気に食わないが、必要以上に馴れ合わないという意味では
「なら、本題に入るがオレもまだ3件の失踪事件のうち1件の話しか聞いていない。残りの話は、この後、
「想定よりも行動が遅いですね。まぁいいです。その話を聞かせてください。」
「・・・あぁ。」
親交を深めないという事を差し引いても、刺々しいラニットの態度に
化けの皮を剥がしたラニットの本性は、『可愛い後輩』などとは程遠いと。
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