第5話 可愛い後輩
「先輩にはいつも助けてもらってて、すごく感謝しているんです!」
「そうなのね!なんだか私も誇らしいわ。」
「(こんなに朝早くから来客とは珍しいな。村の誰かが訪ねてきているのだろうか?)」
「ただいま戻りました。」
そう声をかけると、扉を開け、
年の頃は、16〜18くらいであろうか。
腰ほどに届きそうな黒い髪。
少年とも少女とも取れる中性的な整った顔立ち。
脆弱さすら感じるような、透き通るように白い肌。
そんな白い肌にあって、一際目立ったのは深い紅色の瞳であった。
「お疲れ様です!ベスティア先輩!」
「戻ってきたのね、可愛い後輩くんがあなたの事を待っていたのよ。」
顔を
まず
だが、
そもそも、ほとんど顔を合わせない
それでいて、この青年が
この青年は、上から正式に送られてきた
「上からの命令で今回起こった事件について、先輩の助手として派遣されました!」
青年は初対面であるにも関わらず、いかにも可愛い後輩といった様子で
「(ここはうまく話を合わせなければ・・・)」
「あぁ・・・よく来てくれたな。助かるよ。」
咄嗟に出たのは、まるで用意された台本を読むかのような単調な口ぶりの言葉。
「(この仕事を辞めたとしても役者にはなれないな・・・)」
心なしか、先ほどよりも青年の視線が冷たいものになったように感じた。
幸いにも、
「さぁ!ノクトも戻った事だし、まずはみんなでご飯にしましょう。ノクト、お父さんを連れてきてもらえる?」
正直に言えば朝食よりも先に、この青年と口裏を合わせておきたかった。
青年の名前すら知らないというのは、この後に取り繕いきれない場面が出てくるかもしれないからだ。
だが、そんな胸中を見透かしたように
「僕も手伝います!先輩!」と声が上がった。
「いいのよ。ラニット君はお客さんなんだから座ってて。」
なるほど、なかなか聡明な青年のようだ。
「こっちは一人で大丈夫だから、
今度は違和感なく言えたと思う。
「分かりました!では、お母さん。お手伝いさせてください!」
「あらまぁ、なんていい子なんでしょ。じゃあお言葉に甘えて手伝ってもらおうかしら。うちの息子もこのくらい、いい子だったらよかったんだけどねぇ。」
「先輩はとてもいい人ですよ!」
「あの子が、あなたくらいの歳の時はね・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます