第2話 故郷
いつ来ても変わらぬ小川が流れる小さな村。
村民全員を合わせても50にも満たないであろう。
そんな変わらぬ村の村民達の表情は重く暗い物であった。
「よく帰ってきたね、ノクト」
「街での話を聞かせておくれよ!」
「ノクト坊!手土産くらい持ってきたのか?」
見かけ上は、彼を歓迎し明るく振る舞ってくれたものの、その瞳は暗く濁っていた。
ひと月の間に3人もの失踪というのは、寂れた小さな村にとっては、それほどの恐怖と絶望をもたらす物であったからだ。
挨拶もそこそこに彼はすぐに仕事に取り掛かった。
愛すべき村民達を、この苦しみからいち早く解放したい。
愛すべき故郷に暖かな営みを取り戻したい。
まず、彼が向かったのは、生家とも言える村長の家であった。
村の小高い丘の上に建つ少し大きな家。
家なき子であった彼を我が子のように育て、生き方を教えてくれた優しき
いつまでも変わらぬ暖かな場所。
「ただいま帰りました。」
そう言って扉を開けると迎えたのは、優しい笑顔の
「よく帰ったね、ノクト。少し大きくなったかい?」
「
「私から見たら、お前はいつまでも子供のまま変わらないよ。」
「
「奥の部屋にいるから、早く顔を見せてやっておくれ。」
暖かな暖炉のある居間を抜け、奥の部屋に入るとベッドに横になる
顔色はいいみたいだが、少し痩せてしまっているようだった。
「よく戻ったな。ノクト。」
覇気が衰えているものの、しっかりと芯のある声。幼少の頃より聞いている
「体調はどう?
「もう歳だ。食も細くなり、身体も衰えた。だが、お前の声を聞いていると、よくなった気がするよ。」
厳格な村長として、優しい
だが、そんな気持ちを切り替え、村長としての彼に聞いた。
「今回は仕事をしに来たんだ。失踪事件について聞きたい。ひと月の間に何があった?」
当然、ここでの仕事とは、『
単刀直入にそう聞くと、
「・・・あの日、この村へ外の人間達が訪れた。」
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