第7話 願いの果て
「本当に
いや、その傷は全然良くないしそれが分からない
「じゃあ行くわね」
あたしと女性信者の人がお互いに
「これは……あんまりにも……」
足を引き
「見て、こっち側の壁が破れて……」
言い
そこには
こんなのって……こんなのって!! だけど、この子が……! あたしの背中で眠ってる“この子”がやった訳じゃ……ない……だけど……!
どおおおおおおおんん!!
結構下の階の方からだ……音の波が小さく届いて……。
「普通にフロアに階段は無いのか?」
無残なフロアの
「ありません……移動はエレベーターと非常階段だけです。外部から“悪魔達”が通常の階段だと一気に押し寄せるからだと聞きました……」
じゃあ……止まったエレベーターと非常階段も恐らく少年が……。
その
「上だ!
その言葉に
「いやああああ!!」
後ろで
「あ……ああ…きょ、
血
「話は……話は聴きました……
そんな……まさか……!
「恐らく、少年が
「
男はもう……
「だから、いいんです……あなたは私にとって“神”だった……ああそうだ……さっき“本当の神様”に会ったんです……『お前には、ここを通る者がいるからそれを助ける力をあげよう……』って……良かった……間に合った……これで……」
「下がるんだ二人共!!」
男の言葉が
「そ、そんな……神だと……こんな……たったこんな信者が……こんな力を与えられて……名も知らないこんな人間と私も同じだとでも言うのか……!」
……違う……違う違う違う違う違う違うちがう!!! こんなの絶対にちがう!!!!!!!
自分が救われたからそれで満足!? この男が神!? 盲目的に自分のことだけ考えて、その
自分さえ良ければそれで満足なのか!! 自分にだけ
違う!!! 絶対に違う!!!! こんなの間違ってる!!!!
「あんただって間違ってる! あんたみたいなちょっと道から
我を忘れて
涙が止まらなかった。
あたしのものである
止まらない涙しかこの世界には本当は無いんだ。
ほんのちょっとの間だけ止まっている
この、
「神はお前が
ただそこにうずくまったままの
「進むんだ。
分かってる……
ぐちゃぐちゃに流れた涙を
「あなたのことは一生
「……済まなかった……」
それは、とてもか細く、どこか
……このままここにいてもあたし達に何が出来る
「行きましょう」
降りてきた階段が、そのまま階層を
「ここの階段はまだ何とか大丈夫そうですね」
女性信者の人が胸を
「今度は俺が先に行こう」
男性信者の人に
胸の奥が
本当の神様が、あたしやあたし達の地獄を作った
どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんん!!
何度目かの爆発音に思い切り
「
「
ぼんやり考え
「危ない!!」
その瞬間だった。同じくあたしの
どおおおおおおおおおんん!!
この
押される前、
「信者さん!!」
「どうにかならないのか!!」
こちら側との間にすっぽりと宙が
「……
女性信者が今にも
「あたしは……自分が犯した過ちで家族を壊したのに、それを悪魔の
でも、それは!! だけど……それでも……!
「……あたしも神様に会ったんです……『ああ
女性信者の手が
「いやああああああああああああ!!!!!」
あたしの伸ばした手は、そこには
目の前でただ人が落ちて、
「娘!! お前まで落ちては駄目だ!!」
階段にしがみ付きながらも必死に
「
どうしようもなかった……あたしにはどうにもならかった!!
「ねえ!!! どうしてこうなるの!! 違う!! あたしはあの人に責任を取って欲しかった
「……全てが私の
神様が!! 神様が助けてくれたとか!! それで別の違う悲しみが生まれて!! みんなが!! あたしが思ってることとか!! あの人が目の前でいなくなってあたしが助かって!! 助けてくれたって……助けてくれたってお礼を言わなくちゃいけないあなたが目の前で消えてしまったら!!! あたしは……あたしは!!!
「神は、ただ俺達の理解の
ただ誰かを
あたしは、
この世界には、
モラルやルールは神からもたされた物ではなく、誰かが
あたし達が生まれながらに持っているものは正義や悪ではなく。
あらん
神様がいる世界に生きる人々と。
神様なんていない世界を生きる人々が。
神様はいつもただ、
あたし達を見ているだけ。
けれど、その優しさをいつだって本当は誰も知らないから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます