第23話 身代金と、スキャンする言い訳

Side:スパロ


 ゴーレムが檻に食事を差し入れる。

 ナノの奴、優しいんだか優しくないんだか。


 トイレがね、檻の中に出来たんだよ。

 用を足した後に水で洗ってくれて、乾燥までしてくれるらしい。


 兵士達がこれ家にほしいと口々に言っている。

 それと杖なしで魔法使いが魔法を使って、檻を破ろうとしてたけど、失敗に終わった。

 鉄で出来ていると思ったけど違うみたい。

 たぶん精霊の力でも入っているんだろう。


 ゲールたちは軍資金を持っていた。

 兵士の食料を買わなきゃならないからね。

 略奪は出来ない。

 取り上げた金だけで、兵士を養うだけならお釣りがくる。


「ゲール及び兵士の身柄を要求する」


 実家から使いが来た。


「戦争で負けた賠償金と、身代金を払って貰わないと。あと捕虜にしている間の食費も」

「生家に対してなんたる仕打ち」

「俺はここの領主だ。一つの村だけしかないけど、領民に対して責任がある。払ってもらわなければ困る」

「屁理屈を言うものではない」

「そんな事を言って良いのかなぁ」


 俺は余裕たっぷりに言った。


「何だ。まさか捕虜を虐待しようと言うんじゃないだろうな」

「そんな事しないさ。精霊が許さないだろう。違うんだ。精霊が怒ってね。ゲールとフィンチイに呪いを掛けちゃったんだよ」

「何っ! すぐに解け!」

「強気に出て良いのかなぁ。精霊の怒りを解けるのはたぶん俺しかない。分かるだろ、俺の機嫌を損ねると一生呪いが解けないぞ」

「嘘だ。はったりだ」


「まあ、ゲール達が持って来た金もまだある事だし、ゆっくり考えなよ」

「くっ、手紙を書く。返事が来るまで、しばらく待て」


 交渉は長く続きそうだ。

 金貨1万は、はした金じゃないからな。

 とうぜんだよな。


 一週間ぐらい経って金が届いた。

 隣の村の領有権もだ。


「覚えていろ」


 ゲールがそう言って村から出ていく。


「呪いなんか掛かってないじゃないか。嘘、言いやがって」


 そうフィンチイが言う。


「あー、起たない呪いだそうだ。俺の機嫌を損ねない方が良いぞ。精霊に頼む気が失せるからな」

「立たない。ちゃんと足で立ってるぞ」

「違う違う、真ん中の足だ」

「真ん中の足? まさか。くそっ卑劣な事をしやがって」

「さあ行けよ。そんな態度だから、しばらく呪いは解かないからな」

「解呪師ぐらい雇える。呪いが解けたら、覚えていろよ」


 全く、素直に謝れないものかな。

 今回は儲けたな。

 ゲールとフィンチイには、もう来てほしくないんだが、来るんだろうな。

 呪いは解けない気がする。

 精霊の呪いだもんな。

 そこらの呪術師とは桁が違うと思う。


Side:ハイチック8000


 あー、女騎士と女魔法使いとその他色々な女が去って行くぅ。


【俺は悲しいよ】


 よし、VR空間に行こう。

 VR空間の宿屋に入る。

 ベルベルちゃんとイユンティちゃんに見られてエンジン付きの発電機に俺はなる。

 ピストンが動いて、ピカーっと。


 ふぃー。

 コーヒーを飲む。

 人間に戻った感覚だ。

 早くエロエロがしたいな。


 VR空間でゴブリン達を相手にするのも飽きた。

 何をしようか。


 上手くスキャンする言い訳を考えるか。

 エッチする目的でスキャンさせて下さいは、ドン引きされるな。


 医療目的ならどうだろうか。

 医者になりたいので、体の隅々まで調べさせて貰えませんかと言ってみるか。

 精霊が医者になるという理由は無理があるな。


 それにAIが反対するに違いない。

 娼婦は金銭が絡むからだめだな。

 データ売春法違反になる。


 ホログラフィを出して俺とエッチしませんかと女を口説いてみるか。

 VR空間なら二人とも楽しめる。

 それしかないか。


 ナンパだ。

 自信はないがな。


 よし、仕事しよう。

 取り込んだ物の中に銅貨があった。

 お布施という奴だ。

 分析したら、金と銀を含んでる。


 金と銀は欲しいところだ。

 銅貨を集めよう。


 金は電子部品に使える。


『スパロ、お布施に銅貨を加えてくれ』

「うん、いいよ。銅貨ならそんなに負担にもならないし」

『それと村の結婚適齢期の女を集めてくれ』

「良いけど、どうして?」

『真剣にお付き合いしたいんだ』


 お突き合いだけどな。


「そうなの」

『頼むよ』

「うん、任せて」

『やった』


 やったぞ。

 女がVR空間に来る。

 そして、エッチが出来る。


【取らぬ狸ですね】

【可能性が出来たって事だけで大いなる前進なんだよ。ゼロじゃない】

【限りなくゼロに近いと思いますが。計算してみましょうか?】

【大きなお世話だ】


 よし、頑張るぞ。

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