第22話 呪いと、暴徒鎮圧

Side:スパロ


「アーティクル軍魔法騎士グラウスだ」

「では始め」


 次の対戦相手は魔法使いの様だ。


「<火球>」


 火球が飛んで来る。

 ナノゴーレムが素早く動き火球を握り潰す。


「<火炎旋風>」


 炎の竜巻がナノゴーレムを包み込む。


「ナノ!」

『こんなの平気』


 炎が治まると変わりないナノゴーレムが現れた。


「クレイゴーレムだと思ったのだが、メタルゴーレムだったか。砂鉄ゴーレムだな。ではこれでどうだ<蒼炎>」


 ナノゴーレムが青い炎の包まれる。

 ゴーレムが光っているような気がする。

 うん、光っている。


「無傷だと! 鉄も溶けるのだぞ!」


 俺も活躍してみるかな。

 必中の弓を引き絞り矢を放った。

 矢は魔法使いの肩に刺さった。

 魔法使いが杖を落とす。


「まだやる?」

「参った。降参する」


「ええい、何をやっているのだ」


 ゲールがわめく。


「兄様」

「ああ、茶番はここまでだ。全軍戦闘用意」


「それは規定違反です」


 聖女様が諫める。


「皆殺しにしてしまえば、問題ない。戦闘開始!」


 武器を取った兵士が動き始めた。


「ナノ」

『はいよ』


 ゴーレムから光が出て当たった兵士が倒れる。

 ほどなくして、全員が倒れた。


 ナノが鉄の檻を作り、倒れた兵士を檻に投げ込む。

 武装解除するのも忘れない。

 器用なゴーレムだね。

 暗器も残らず取り上げてくれたみたい。

 どうやって調べているんだろう?


 まあいいや、どうせ精霊の力だろう。


「スクルス教はアーティクル領に正式に抗議させてもらいます」


 聖女様が語気を強めて、ゲールの檻の前で宣言した。


「くそっ、なぜこうなる。精霊とはそんなに力をもった存在なのか?」

「何も知らないのですね。精霊様にも格があり、大精霊様は神の如き力を持ちます」

「くっ、そんな」


「精霊様がお怒りにならなくって良かったですね。お怒りになられていたら、呪いを掛けられたところです」


『呪いって面白そう。くぷぷ、やってやったぞ』

「何したの」

『あれを起たなくした』

「あれって、もしかしてあれ」


 ええと、子供が出来なくなるって事だよね。

 という事は俺が次期アーティクル伯爵って事。

 ええーっ。


Side:ハイチック8000


 魔法使いと対戦だ。

 ほう、青い炎とは中々やる。

 推定1万度か。

 発電に利用させて貰ったけど。

 その何%かで光を出す。

 恰好いいだろ。


 無敵感を演出してみた。


 ゲールが切れたらしい。

 兵士全員が戦闘態勢に入った。


【ええとこういう時の法律はある?】

【暴徒鎮圧は許されています】

【戦争ではないの?】

【状況はスポーツの結果に腹を立てて武力行使ですよね。完全に暴徒です】


 まあ鎮圧していいのなら、問題ないけど。


【すぱっとやっちゃって】

【暴徒鎮圧用パラライズレーザーを照射します】


 まあ結果はそんなところだよね。

 個人バリアを着けてない敵なんて、赤子の手をひねるようなものだ。


 呪いだって!

 面白いな。


【呪いを掛けたい】

【呪いなどという機能はございません】

【そこは、医療用ナノマシンでさ】

【病気を医療用ナノマシンで引き起こす事は許可できません】


【あー、暴徒は血が頭に登っているよな】

【ええ】

【沈静化させてやろうじゃないか。ゲールとフィンチイを勃起しないようにしてやれ】

【適用を拒否できる法律はありません。鎮静剤の使用は認められています】

【だろ。医療ナノマシンでたぎらないようにするのも、鎮静の一種だろ】

【許可されました】


 腹が立つんだよ。

 生身の奴らは色々とエッチな事ができる。

 どうせゲールとフィンチイはやりまくりなんだろ。

 許せん。


 スパロはそういう面ではやってないから許せる。


【私怨ですね】

【八つ当たりだろうが何でも良い。ざまぁみろ。エロ目的でスキャンしていい女を揃えたら、許してやる】

【脅迫によるデータ搾取は認められません】

【そう言うと思ったよ】


 俺と同じ苦しみを味わう奴がいるって考えたら気が晴れる。

 だが、奴らは女の裸は見れるんだよな。

 許せん。

 今度何かしてきたら、また嫌がらせしてやろう。


【小さい男ですね】

【大きいぞ。データの存在だが。入らないかもな】

【下ネタですか?】

【いいや、AIのプログラムサイズを言っている。何だと思ったんだよ】

【知りません】


 あーあ、生身の彼女なら顔が赤いぞとか言えるのに。

 そして確かめてみるかとか言っちゃって。

 考えてて虚しくなった。

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