第五話
「これが『さーち君』に『れっく君』」
アッシュは水晶玉を見て驚く。人形を見てなおの事驚く。遠隔画像に遠隔音声をはじめて体験したのだ。
「すごいだろ?」
フェルナンデスが誇る。
「しかもいざという時はこの転移魔法で駆け付けるから。フェルナンデスが、だけど」
アネット、お前がやれよという無言の視線は無視しよう。
「じゃあ、簿記お願いね」
「はい、がんばります」
「それと万が一の時なんだが。この水晶に緊急メッセージ送ってほしい」
それは小さな魔導石であった。
「はい」
「それでも間に合わない時もありえるから弓の稽古もつけよう。お代はサービスだ」
「ありがとうございます!」
◆◇◆◇
一応本邸も調査済みだ。魔法陣や秘密の部屋などは見つからなかった。
メイドはエリーザという。
アネットにとってエリーザなんて人物は関わりたくないので顔も見たくないし、声も聴きたくないので代わりにフェルナンデスが行った。
(本当にエリーザはこの事件の事を知らないのだろうか)
『さーち君』・『れっく君』の補充方法をアッシュにも伝えた。魔法そのものは初級魔法なのでアッシュでも容易に習得できた。
『さーち君』・『れっく君』はアッシュの不正を監視する役割も持つ。だが何も不審なことはないようだ。
アッシュに延伝授したのは人形用の弓だ。甘く見てはいけない。持ち運び出来、しかも隠せるのだ。護身用にもなる。しかも魔法効果を付与すれば普通の弓とそん色ない。
この弓を作ったのはアネットだ。アネットはもはやダウンサイジングの天才だった。
勿論どっからどう見ても怪しいカリンへの対処法にもなる。
あまりいい事ではないが暗殺にも使える。
人形用の弓は防御用にしか使うことが出来ない。人間を攻撃すると自分も爆発するようにできている。あくまで護身用、専守防衛である。しかし、それは人形が使った場合。人形用の弓を人間が使ってはいけないなんて言う決まりはどこにもない。
人間用の弓も特訓した。フェルナンデスが所有する馬に乗って魔法矢を連射する。数か月後に身に付けることが出来た。
三方向、ランダム。両方の弓術を習得した。
季節はすっかり冬になっていた。
一年遅れのアネットに入学式が迫っていた。
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