第四話

 魔導石が消耗しやすくなるので「さーち君」は映像を飛ばすだけの機能に……。


 そして録音してかつ音も転送する人形は「れっく君」と名付けることにした。

録音機能の石を配合して作るのは至難だったが「さーち君」の眼の魔導石を作る方法で応用し出来上がった。「れっく君」はもちろん耳の内側に魔導石を埋め込んでいる。


 転送先はもちろん水晶玉である。水晶玉を切り替えることでさーち君の画像、れっく君の音と切り替えることが可能である。同時に見聞きするときは二つも水晶玉が必要だ。それが魔導師としてのフェルナンデスの限界であった。そうこうしてるうちに二週間を経過した。


 「そろそろギルドに行こうか」


 「はい」


◆◇◆◇


 ギルドに向かうと早速やりたいという子がいるという。ギルドマスターに連絡して、明日改めて伺うことにした。


 その子は確かにEランクであった。武芸はからしきダメ。平民出身で回復魔法が大得意の男の子であった。履歴書を見るとフェルナンデスよりも一歳上の子である。ということは先輩だ。私から見ても1歳上になる。


 「ミクト=アッシュと言います。よろしくお願いします」


 (へえ、銀髪の子だ。本当に名前の通り「灰色」(アッシュ)だわ。いろんな意味でくすんでるし)


 「ふむ、簿記も抜群の成績だね」


 「ありがとうございます」


 「神父を目指すためにこの学校に入校を」


 履歴書を見てフェルナンデスは確認する。


 「はい。一代限りとはいえ、それで親を楽にできると思いまして」


 (ああ、こういう子が多いからますます私は落ちこぼれちゃう……)


 「アネット、どう思う。君が雇うんだぞ」


 「武芸が心配だわ」


 「ええ、それで僕内部進学が危うかったんです。でも神父志望だから許されると思って」

 

 なんと成績証明書の武芸欄は「F」になっていた。単位を落としていた。


 「まあ、でもめったに村人と対立なんてないだろうし大丈夫だろ」


 「武芸って何をするの?」


 「弓です」


 (うーん、弓か! 最弱かも?)


 「うーん。これこそ『さーち君』や『れっく君』の出番かな?」


 フェルナンデスは悩んでいた。


 「何ですか、その『さーち君』と『れっく君』というのは」


 「アッシュ君、見たい?」


 「はい、ぜひ! それにこのお金で親に一部送金したいんです」


 (偉いなあ、私には真似できない)


 「じゃあ、私たちの発明品を見せよう。きっと万が一の時に君を守ってくれる」

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