第四話
お茶会の時間だった。
自分は学生時代ほとんど友人がいなかったからお茶会は念願成就の瞬間だった。
まあ、人形だが……。
そしてアネットは気が付く。
席に着いた人形たちがボロボロなのだ。
(私、人形にひどい事してるのかも)
目線に気が付いた人形たちは何か訴えてる。
「ん? なになに……ぼくたちは……ご主人様のために……を投げ出します」
(え? 私、そんなこと言ってないよ? というか人形たちはそんなこと思ってたのか。ごめんね)
「そんなことしなくていいよ」
人形たちはびっくりする。
「もっと自分を大事にして」
というか人形操術やゴーレムの授業で対象物に「一項:人間に危害を加えない、人間が危機に陥ったときは絶対に放置しないこと。二項:もし一項の規則を破ったら魔導石が自爆する」という誓約呪文を付けると教わったのだっだ。軍事用にするときは書き換えるのだけどね。
「もしかして『誓約呪文』のせい?」
人形は黙り込んだ。
「わかった。今日からこの『誓約呪文』に付加する」
人形たちは驚いた。
――三項:一項及び二項に反しない限り最大限自分の身の危険から守りなさい
六人の人形に付加呪文をつけた。
(だって、友達だもん。やられてもやられっぱなしっておかしいよ。ラジエルの所に書いてある禁忌とされた呪文……本当は使えるのでは)
「これでいいの。これは私のためでもあるの。まあめったにないけど貴方たちを盗んで別の呪文をかけられて戦闘用人形にされて私に刃が向かって行ったら怖いし……私、悲しい」
人形たちは飛び上がるように喜んだ。
「貴方たちは『僕』じゃない。『友達』なの」
(人間なんかよりも、ずっとずっと……)
「それとボロボロになったら別の人形に替えるから。魔導石はそのままで」
そう。人形たちはあちこちでつぎはぎだらけだった。魔法石のエネルギーがゼロになればそれは人形の死を意味する。そして傷んでる人形ほど消耗してしまうのだ。だから定期的に新しい人形に替えないと駄目なのである。しかも魔法石のエネルギーがゼロになったものを再び満タンにしても初期化してしまうのだ。つまり記憶を全部失うのである。魔法石のエネルギーを注入し続けるとなんと約八十年前後も生き続けることが出来るという。子孫に人形を渡すことまで可能なのだ。相続魔法というものを唱えれば。
(うーん、ちょっとした鎧つけてみようかな?)
「みんな、鎧みたいなのつけるの賛成?」
お! みんな手を挙げてる。賛成だ!!
そうすれば人形の痛みも減るし。
「さ、みんなみんな、もっとお茶会楽しもうね!」
人形は飛び上がった。
「はい、お菓子でちゅよ~」
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