第二話
次の日。人形はてきぱきと動いてくれていた。さすが奉仕人形。
家をどんどん修復してくれる。釘をトンカチで打ってくれる。木材を製材することなんてお手のもの。あのあばら家が……人が住める家に戻ってた。上下水道管まで作ってくれる。
だが問題はそれだけではなかった。上下水道へ引く水すらなかったのだ。
農業も深刻だった。農業用水を引く必要があった。それ以前にまず雑草から刈らねばならない。
林業だけはどうにかなってる。というかそうでもしないと建材すら賄えない。
(あ~、どうすれば。餓死してしまう……)
人形も休めて魔力を補充しないといけない。人形にエネルギーを注ぎ込む。アネットの胸はただでさえ平らなのに……人形へのエネルギー補充のせいで己の体に栄養が届いてないせいか余計に平らになった気がする。顔のそばかすも増えた気がする。
(やっぱ私、死ぬ運命なのかしら?)
涙を流すアネット。
わずかな薪を元にふもとの村へ行き、お金に換えてそれで食料を調達する。
わずかにお金が残った。それで綿と布を買う。
ちなみに土人形を作って試したが駄目だった。綿の部分が神経になっているのだろう。魔導石はいわば人形の心臓に当たり、同時に頭脳にもあたるのであった。
(横着はダメか)
もっと高度な魔法だと土人形や岩人形を動かすことが出来る。いわゆるゴーレムという奴だ。だがアネットは上級魔法を1つも習得していない。掌に炎を出したり小さな氷の刃を出すのがやっと。ゴーレム創出なんて無理であった。なんとアネットは在学中に転移魔法すらも覚えられなかった。
少しでも目の前の現実をよくしようとアネットは人形を作り魔導石を植え込み命を吹き込む。
(はあ、なんでこの魔導書が誰からも相手にされなかったのかよくわかった)
人形はコスパが悪く、ゴーレムの方が圧倒的に優れていいるからなのだ。
人形がボロボロになって帰って来る。そのたびに修復しないといけない。
ゴーレムならばそんなことはない。自動修復してくれるのだ。
とはいえ少し希望が見えて来た。
カーミラ村で蒼魔導石を買ってきた。これは水を洗浄するものだ。これで飲み水を確保。
黄色魔導石も買ってきた。これで電気を確保。寮生活に居た頃に生活水準が少し戻って来た。家に灯が戻った。風呂も出来た。
が……ボロボロの自分の服を見る。学生時代は補修もしてくれたし替えはいくらでもあった。しかも鍛錬用など用途もいくらでもあった。今自分が着てる服は正装の貴族用学生服だ。そして実質この一着しかない。
(どうにかしないと)
アネットは自分の服も買えなかった。
(やっぱ人形操術って低級魔法なんだわ)
小皿に載ったスープを飲んでると人形たちはどうしたのというジェスチャーや大丈夫だよ!というジェスチャーをしてくる。
「ありがとう……」
その声になんと人形は反応する!
(すごい、この人形は声で分かるんだわ!もちろん表情も)
「ありがとう。私、一人じゃないのね」
当たり前だろ!と農業を担当する人形がジェスチャーしてくる。
「貴方たちのためにも私も力尽けて、あなたたちに魔力をチャージしないとね」
魔力をチャージした後人形たちと一緒に就寝する。
人形に囲まれてる時が一番幸せだ。そして安堵、安心感。
「みんな、お休み……」
魔導石を消し部屋は真っ暗となった。
アネットは
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