第27話 母うるさい

「イェア!!ハァイ!!ソォイ!!おほぉん!!あはぁん♡」


「うるせぇ、喘ぐな!!」


「えぇ~?ええやん、暇やねんからさ~」


「黙って鍋見てろ!!」


「ハァイ!!」


「うぜぇ…」


ここ最近平日のお昼もお客さんの入り多いけど…それでも暇やねん…。

もう朝からずっと見てるんやで?流石に飽きてきましてよ?


「ってかノブやん。なんでこんなに多めに作ってるん?」


寸胴鍋3つやで?いつもの3倍やん…。

流石に休日込みでもこんなに使わんで?


「あ?頼まれたんだよ」


「誰に?」


博彦ひろひこ


「シャッチョウさん…何があってん…」


「2号店の分だよ。向こうの分も作ってくれって嘆かれた」


「泣き落としか~。ノブやんには効果抜群じゃのう♪」


「うるせぇ…喋ってねぇで確り見てろ!!」


「うわっかりやしたぁ!!」


「うるせぇ!!」


賑やかな職場です。キッチン内は基本ノブやんか私の大声しかないけどね。

今日は店長休みやし…止めてくる人は元々おらんしね。

そもそも近寄ってくる事すらあらへん。ノブやんには…うぷぷっ。

私には女仲間がおるさかいな~。


「オーダー入りまーす」


ポン、とモニターに表示される注文表。

印刷が~っと。ほいほい~〇んこアイス完成。

ほいほい、名付けて〇んこアイス、チョコソース餡かけ〇玉も載せて~。

ちゃうで?白玉やで?


「ほい、2個お待ちぃ」


「うぃっす」


あ~、後もうちょっとで勤務時間終わりじゃい。

それまではこのコンソメ様のお守りをせねばならんけぇ…。

まるで赤子を育てている気分になりますゾ?

瑞穂ちゃんとは雲泥の差やがな!!ゲハハハッ!!


「声に出てんぞ?」


「はい!!」


キッチンから外まで距離有るし、ノブやんの大声も届かんし、平気やろ。

あの~コンソメさん…まーだ時間かかりそうですかね~?


「ん~でも、そろそろ頃合いかな?ノブや~ん、おいでぇ?」


「…はぁ」


ノブやんと私ちで味見。のぶやんやん、足取り重いぞい?

ああっ~うめえなぁ!涎だばだばでてくるぅ~。


「でも、もうちょっとかな?」


「…だな」


とじ蓋へい、へいへいへいへいへ~い!!

おらおららんおらららん!!

あ1・2・1・2・3、はい。

ずんずんずんずんずんずんずんずん⤴

ずんずんずんずんずんずんずんずん⤵


「うるせぇ、踊るな!!」


「えぇ…(困惑)喋ってないっすよ?んもぉ~。じゃあ暇つぶしに小話でもしてぇなぁ~?」


「なんでだよ…少しは静かに出来ねぇのか?」


「…」


「…」


「はぁい!!」


「…もういい」


「あぁん、待ってぇなぁ。冗談やから、冗談」


「このやり取り何回やってんだよ…」


小さい事気にしたらあかんで~。

ふひほ、何か暇つぶしに考えれる事~は無いかなっと?


「すいませ~ん。ミヤさん、お知り合いのお客様っす」


「おん?誰ぞ?」


「行ってこい。その間は見ておくから」


「んへぇ…面倒事の予感…」


「ツケでも回ってきたんだろ?それか日頃の行いだな」


「ん"ん"っ、反論出来ねぇ…」


くっそ~ノブやんに言い負かされたぁ…。ままええわ。誰やねん。

すぅ…ストーカーって呼んで良いかな?良いよね。

あと有田君、オレァクサムヲムッコロス!!ここに招いてんじゃねぇよ!!

客席で応対せんかいクルルァ!!


「み、都…だよね?変わってない…」


「あ~、すいません。此処は関係者以外立ち入り禁止ですのでどうぞお引き取り下さい」


都、クールに去ります。唾でも吐いとこっかな?ぷぇっ!!

塩持ってこい、塩!!撒きまくったるわ!!


「ま、待ってくれ…」


「お客様。当店では従業員に御触れにならない様にお願い致します。ただの飲食店に御座います」


「う、あ…君の前から…」


「お客様。此処は関係者以外立ち入り禁止ですのでどうぞお引き取り下さい」


「待って…」


「お客様。此処は関係者以外立ち入り禁止ですのでどうぞお引き取り下さい」


「都、少し…」


「お客様。此処は関係者以外立ち入り禁止ですのでどうぞお引き取り下さい」


もう良えわ。有田君任せた。君の責任だ、連れて行け。

はぁ~だるいっすわ~。これ今直ぐ帰られへんやん…。


「誰だったんだ?」


「ん~?節操無し…いや、無責任孕ませ製造機?今はストーカーか?」


「は?」


「元カレ…では無いな。種馬か一発屋でええわ」


「あ~…あ?」


「イェア!!ハァイ!!濾せぇ!!ハァイ!!」


「…」


急に叫んでごめんね?ちょっとストレスぅを発散したいだけですねん。

面倒くさい奴に見つかったでぇ~ホンマぁ…。

ノブやん…ナズェミデルンディス?早う手伝い?


「ほいほい、ノブやん。もう出来てんで」


「あ、おう…」


何や元気ないのう。さっきまでの調子はどこ行ってん?

頭に来ますよ~?ぷんすこ。


「あ~、ミヤ?」


「ノブやん、さっきからどうしたん?」


「ん?いや…普通気を遣うだろ?」


「別にいらんで?」


「あぁ~?でもよぉ、その…」


「…ノブやんがしおらしいの…気持ち悪ぅ」


「うるせぇ!!」


「そうそう、その方がノブやんですゾ」


「ぁ…お前は本当に…」


「ははは、後で有田君には制裁加えるけどね」


「ん?」


「カウンターの中まで案内してきおった。ゆ"る"せ"ん"!!」(ブチギレ)


「あの馬鹿野郎…分かってねぇようだな」(ガチギレ)


有田君…君には失望したよ…いや、教育してあげよう…。

飲食店がどういう所なのかをなぁ…ふへへへ…。

よし、ようやく火の心配はいらねぇな。


「有田ぁ!!こっち来い!!」


「おらぁん!?有田君カモ~ン、ちょいとおっちゃんらと話ししよかぁ!?」


ブチギレ状態やと私らの声めっちゃ響くでぇ?

聞こえとるやろうけど…キッチンからそっち行ったるわ!!聖域やからな!!

分かってんねんやろなぁ?衛生管理が第一やねんぞ?ボケぇ!!


「な、なんすか…」


ビビりまくってる有田君には申し訳ないが…これは教育じゃい!!


「おらぁん!!ここ座れぇ!!」


休憩室まで連行。椅子設置。さ、お説教…始めましょか~。

手は出さへんけど…口ならなんぼでも出すからね、覚悟致せい!!

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