第26話 母は娘に昔話をする

笑いあり、涙ありの訳あり物語。はーい、よーいスタート(汚い)

え?茶番は良いから早く教えろって?

んも~、せっかちさんやね~。ん"ん"になるでぇ?


出会ったんは確か~十万――いや、1万3千年前…そんな怖い顔止めて、ね?

13歳の時やね。うん、今の瑞穂ちゃんくらいの時やで。

そうそう、瑞穂ちゃんよりも発育良かってんで?うふん。

まま、それは置いておいて…。


私はまぁ、仮面夫婦の次女に生まれてね~暮らしは裕福な方だったよ。

仮面夫婦?ああ、私の両親ね。世間体は気にするけど中身の無い親で…。

そうそう、共働き。本当に必要最低限でしか接してこなかった。

仕事で時間が無かったとか…そんなんじゃなくてね~。

まま、ええわ。


こう…なんて言ったらいいのかな…。

私はそう、人一倍自分に頑固で…真面目過ぎてね。

裏を返せば、両親に認められたい、愛されたい一心だったんだよ…。

ただ、少しでもいいから…甘えたかったんだよね。


家族は両親と姉、妹の三姉妹。

姉はさっき見たでしょ?

そうそう整形おばさん。豊胸おばさんでも可。瑞穂ちゃん笑い過ぎ~。


妹?あ~、なんて言ったらいいのかな~。お花畑?

そうそう、夢見がちな子。今はどうかは分からんよ?

まともかも知れへんし、そうじゃ無いのかも知れへん。

瑞穂ちゃんからしたらこっちもおばさんやからね。


うん?姉妹仲?全く良くなかった。

姉はあの通りでうるさいし業突く張りやねん。

妹の物は私の物みたいに言う人。

妹は妹で馴れ馴れしいし、欲しい物おねだりしてくるタイプ。

姉の物は私の物みたいな感じ。こっちの方が面倒くさいで。


でまぁ、私はどっかしら疲れてたんだ。家もそうだし、外でもそうだし。

学校でどんなに良い成績をとっても見向きもされない。

運動も頑張ってクラスどころか学外で上位に入っても…何も期待されない。

ボランティアで色んな事をしても…先生は褒めてくれても、両親はね…何も無い。


姉は3歳上で…小学校では事あるごとに呼び出されたよ。

雑用だったり何だったり…。

妹は2歳下でね。良く先生から呼び出されたよ。どうにかしてくれって。

私の姉妹だからって安易な理由でね…優等生だったのが仇になったね。

ま、小学3年生の時が一番気を遣ったかな?


ん?ほっといたらって?それは出来ないよ~。

だって、もしかしたら…それで両親が気にかけてくれるかもって…打算があったんやから。

一切意味無かったけどね。


まぁ、中学校に上がった頃はそれはもう一層に頑張ろうとしてたのさ。

勉強もスポーツも…ただ、真面目過ぎただけで、人間関係に疎かになっててね…。

よくあるでしょ?いじめって奴。瑞穂ちゃんの近くにも無い?有るやろ。

ま、靴隠されたり、机に落書きされたり、物無くなったり。

嫉妬でくだらない事ばかり考える人が多いのさ。思春期は特にね…。


それでも負けないで…真面目に優等生として頑張った、頑張り過ぎた…。

ストレスってね、気付け無い内に重く圧し掛かってくるの。

教師の大きすぎる期待を背に、捌け口の無いやり様を抱えたままで…。

家族にも相談できずに…誰にも言えなくてね…。


当たり障りない事を姉から言われて…初めて口答えして…。

その日は両親を含めて大喧嘩してね…家出したのさ。

思春期って怖いよね。何にも計画性が無くても動けるんだから。

私服のままで夜に出て行ってさ…。


ん?瑞穂ちゃん…絶対あかんでぇ?逃がさへんからなぁ…。

何やったら友人全員使って捜しに行くでぇ~。グェヘヘへ…。

勿論ポリスメン…ウーマンもおるからな。覚悟しぃやぁ。

まま、茶番は置いておきますわ~。


家に帰りたくなくて…でも、どこに言って良いかも分からなくてね。

夜の駅前でぼーっとして椅子に座ってたんだ。

そうしたら、ある人に優しく声を掛けられて…話をしてくれて…。

違うよ?かなりのおっさんでね、結果を言えば援助交際目的の人やった。

それには流石に揉めてね…逃げようと暴れてたら助けてくれる人がいたのさ。


そうそう。それが瑞穂ちゃんのお父さん。当時は大学生やったね。

ラブロマンスっぽいやろ?どう?どう?そのジト目も可愛いかぁ~。

ごめんってごめんって。続けるね?うん。


まぁ、単純にあの人に…恋に落ちたんだと思う。

家族にも相談できんで喧嘩して、怖い思いもして…。

温かい缶コーヒー貰って、あの人に全部吐露してね。

話して終わってから…匿ってくれるって言ってくれたんだ。

行く当ても何も無かった事もそうだけど…何より親身になって接してくれたからね、その話に乗ったの。


まぁ、この先っぽ部分はR18はお断り。

え?気になる?ダメダメ~まだダメよぉ?

瑞穂ちゃんにはまだまだ早い。え?何してたのって?

それはナニしかないでしょうよぉ~。ん?気になるって?ダ~メ。


「そんなこんなで瑞穂ちゃんがココに宿ったのさ」


「そこんところが気になる!!」


「お子ちゃま瑞穂ちゃんやい…○○○○してからやで?」


耳元で囁いたったら顔真っ赤にしちゃった。初心ぅ~♪


「~~っぅ…」


そんなおっぱお叩いてもあかんでぇ?教えられんったい。

ちょっと待って、痛い痛い…。パチパチいってるって…。

お風呂場に反響してるぅ~。


「そ、それで…どうして別れたの?」


「逃げられた。妊娠したって打ち明けたら…」


「…え?」


「当時はあるマンションに住んでて…そこで匿ってもらってたんだけどね。打ち明けた日から帰ってこなかった」


「…なんで!?」


「さぁ…それは分からない。けど、引っ越し業者さんと一緒にその人のお父さんが現れてね、お金と一緒に別れてくれって嘆かれてん。まぁ、中学生に手を出した挙句に妊娠させたんやからな、普通に考えたら警察沙汰やしね。これやでこれ」


両手を突き出してお察しのポーズ。


「…」


「結構な大金手渡されて、堕ろしてくれって言われたけど…拒否った。愛情に飢えててん。もう、その時にはお腹に居る瑞穂ちゃんを育てる気満々やったからね」


「…おかあさん」


「そうしたらさ、こんなにも可愛い瑞穂ちゃんになってくれた。私には勿体ない程に良い子にも育ってくれてさ…」


「…うん」


「愛してる。だからさ、もうこんな昔の事なんかどうでもいいんだ。私には愛する瑞穂ちゃんが居てくれれば…もうそれだけで幸せなんだ」


温かいお風呂の温度以上に、抱き着いたら温かい体温がこの手にあるんだ…。

だから、過去を振り返る暇なんて一切無かった。前を見て、進み続けれた。

なぁ、見てるか?良い子に育っただろう?

昔を教えても…侮蔑の目で見てこないぞ、泣いてくれてるんだぞ?君の為に…。

間違ってなかったんだ…過程はどうあれ、結果はこうなんだから…。


「瑞穂ちゃん、ごめんなんて言わない。けど、たださ、ありがとう。私の娘に生まれてくれて…良い子に育ってくれて…。こんな私だけどさ、変なお母さんだけどさ…本当のお母さんじゃ無いけどさ…ありがとう」


「おか…さん…」


「ありがとう…」


湿っぽい展開は嫌いなんだけどさ…。

まぁ、偶にはこういうのも悪くないと思える。

頑張ってきてよかったと、心の底から思えるからね、うん…。

まぁ、瑞穂ちゃんを泣かせちゃったのは反省しよう。

すまねぇな、許してくれ…何でもしてあげるからさ。


今日も一緒に寝よっか?ね?

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