第25話 母と娘特定される②

「おかあさん。これ、これ」


「良いっすねぇ…これぇ」


お、鶏肉も安いやん。買ってやろうではあ~りませんかっと。あ、ぽい~!!

ほほん、今日のシチューは豪勢に行くでぇ…ふひっ。


「瑞穂ちゃん、お菓子は要らんのん?」


「ん~要らないかな」


「なんやぁ?太るかもとか思ってるん?」


「ち、違うもん」


「心配いらへん。10代の身体で食べ過ぎても問題あらへんで?こっちに全部栄養いっちゅうぜ?」(どやぁ)


「いいってばぁ。お母さん、あっち行こ!!」


あらら~赤くなっちゃって~。可愛いっすね~、はぁい。(ゲス顔)

しっかし、子供ってお菓子好きと思ったんやがそうでも無いんやね。

まぁ、いくつか買うとくけど?お客様用にの。


「トイレットペッパー君はまだあるし~。チッシュも要らんの。え~洗剤も大丈Vでぇ…。あ、歯磨き粉があるじゃんアゼルバイジャン…」


「え、な…なに?」


「何でもナス。瑞穂ちゃん、好きな歯磨き粉取ってぇ~」


「は~い」


後は~、特に無いのう。瑞穂ちゃんは欲しいもん無いし…。

無欲とは…なんとかかんとか。


「お会計3078円になります。ポイントカードはお持ちですか?」


「ありますぅ。カード払いでオナシャス」


ほほん、買ったで買ったで~。

後はモール街の行きつけでアイス買って帰ろか~。もち、カップで。


「いつものでしょうか?」


「を、カップでテイクアウツ。瑞穂ちゃんも好きなんにしてな~」


「う~ん。何にしよっかな~」


ちょっとお悩み中。色々食べたい派の瑞穂ちゃ~ん。何にすんのぉ?

それぇ?あっちはどぉ?これは?これとかどうや?え、決められんくなるって?

怒っちゃったぁ…。好きな物で煽ってはいけない。(戒め)


「お母さん、そっち持つよ」


「大丈夫、こう見えて力持ちなんだゾ。瑞穂ちゃんはアイスを死守したまへ」


「ふふっ、は~い。お母さん。」


ん~、親子並んでお買い物帰りは良いですなぁ。

帰ったら愛情たっぷり野菜マシマシシチュー作っちゃうぞぉ、見とけよ見とけよ?


「おん?なんだあのおっさん!?(驚愕)」


家の玄関で待ってる奴ぅ、お前やぞ!!ダリナンダァイッタイィ…ん?

これまた見た事があるような無いような…いや、あるわ。えぇ…お前が来るの?


「瑞穂ちゃ~ん、ポッケからスマホ取り出して~」


「え、うん。誰に掛けるの?警察の人?」


「そそ、まっつん。松井~あ、その人」


「はい。あ、片方持つよ?」


「あんがちょ。ちょっち持っててぇ」


出んなぁ…くそぅ…。普通にサツにコールするかいのぅ…110っと。

アイス溶けてまうやないか…。


「もしもし、家の前にストーカーがおりまんねん。助けてくれへん?場所は~」


『そのままでお待ちください。直ぐに現場へ御伺いします』


「あんがと~待ってるわぁ」


ほいほい。ほな待とか~。


「お母さん、知り合い?」


「せやで~。誰か気になるぅ?」


「そりゃ…気になる」


「そっか~。ま、ここじゃあ教えにくいし…ご飯食べてからにしよっか」


「…うん、分かった」


瑞穂ちゃんにこんな顔させちゃうんは心苦しいのぅ…。許さん…許さんゾ!!

お、サイレン来たぞ~コレ。勝確やな。

あん、なんで逃げんねん。後ろめたいと分かってやってるんかい。質悪いのぅ。


「車で逃げたで~」


繋がったまんまの御警察様電話にご連絡。薄暗いからナンバーまでは見えんなぁ…。


「すみません。貴女がご連絡されましたか?」


「そうです。あの車で~あれ、あっちの方に行きました」


「分かりました。応援要請、黒の~」


にポリは頼りになりますなぁ~。

いやホントに…ねぇ…まま、ええわ。(呆れ)


「家に入っても大丈夫?」


「はい、お送りします。」


ご近所さんも何か何かと野次馬さん。すまんの。

ポリも大変やなぁ~書類仕事多そう。(小並感)

はいはい、質問には答えまっせ~。はいはいっと。


「時間かかったわ~。直ぐに御飯作るから待ってて?」


「う、うん…。何か…お母さん慣れてたね?」


「そうかな?そうかも」


まぁ…瑞穂ちゃんが知らん所で色々あったんですよぉ~。

それはそうとて…さっさと作るべぇ~。

美味い物馳走しちゃるで待っとりぃ?


「ま、こんなもんでしょ」


ミルクと鶏肉、野菜たっぷりクリームシチュー。電子レンジは偉大なりぃ!!

鶏肉いっぱい買ったからね、つくねも入ってまっせ。美味そう。(小並感)

お・ま・た・せ。愛情はもたっぷり入ってますゾ!


「美味し~♡」


「いっぱいあるよぉ♡」


うまうま。瑞穂ちゃんスマイルもうまうまですぞ♪あ~癒しやわ~。


「お風呂用意しとくね」


「ありがとぉ。ほんならパパッと洗いモン片すわ」


へいへ~い。シチューちょっと残っちゃったけど、明日の朝に食うわ。

家は木製スプーン派ですねん。器はプラ製。ぺぺっと水切ってけ、はい終了。


「さて、どう話そうかな~。簡単になら出来るけど…そうもいかんしなぁ」


「お母さん、お湯入れたよ~」


「お、サンキュウ!!お茶ぁどうぞぉ!!」


「ありがと」


ふぅ…一服ぅ。お茶うめぇ。


「お母さん、今なら…時間あるよ?」


おん?どういうシチュのエロ動画ですのん?

もう一回言って、ちょっと録音するから。良い?だめぇ?


「そんじゃ、瑞穂ちゃんも知っておいた方が良いかな。さっきの人はね、瑞穂ちゃんのお父さんで御座いまする」


「…だよね。何となく、そんな気はしてたよ」


「う~ん、やっぱり分かるか~。どこらへんで気付いた?」


「お母さんの反応かな。何となくだけど…」


おっほ…。表情も声色も気を付けててんけどぉ?

瑞穂ちゃん、やるやん。将来探偵でも目指す?え、いや?せやね。

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