第21話 母呼び出し対応

「トントントン♪へぇい!!イェア!!」


「お母さん、少し静かに出来ないの?」


「はい!!」(従順)


え~だってさ~可愛いくぁわいい娘の頭皮事情ですぞ?

ピアニスト張りにとんとんしても良いじゃ無いですか!!


「髪の毛つるつる~。超良い感じ~みたいな~」


「んふふ~」


変な所でご機嫌になりますなぁ~。どこら辺が琴線に触れてるんやろ?

昔はママ、ママっていつもご機嫌やったからね。

いまもたま~にママって呼んでくれるし。えへっ♪


「流すよ~?」


「は~い」


ざぶーん。もういっちょざぶーん。水気は確り切りましょうね~。


「只今より、御身の御背中を洗い申す事、お許し願いたく御座候」


「なんか変な古語だけど…許そうぞ」


「はは~。有難き幸せ!!いざっ!!」


「お母さんのテンション高すぎる…」


ふふん。良いだろー?娘っ子の背中流すのはオラだけだべ?

こん年になって未だ娘っ子と風呂さ一緒なんだ。たまげたろ?

それがこっちからじゃのうて娘っ子からせがまれんだ。ウレシイ…ウレシイ…。


「玉のお肌がてゅるてゅる~。痒くありませんか~?」


「くすぐったぁい」


「こすりたくないねん。我慢してぇ~」


「はぁい」


おっほっほ。いいねぇいいねぇ~中学生の背中良いねぇ~。


「うっで上げて~」


「は・あ・い」


両手万歳。脇から腰までそろそろり、ビクンビクンしてますな。ぐふふ。


「くすぐりに弱いね~。コチョコチョされたら負けじゃん?」


「う…うん」


「修学旅行とかで友達にされるぞい?」


知らんけど。行ったこと無いし。


「だ、だいじょうぶでしょ?」


「いやいや、ユリちゃんはそう言うの好きそう」


「…た、たしかに」


するりんちょっちょ。へい、背中以外は自分でやりんさい。

私は私で髪洗うし。てゅるん、あ、出し過ぎた…勿体ねぇ…。

おらぁぁぁ!!


「切りてぇ…」


「だめ」


娘っ子さひでぇ…。髪切っちゃダメって言ってさ許してくんねぇんだぁ。

まま、ええわ。


「ふぃ~」


「ア”ア”ア”ア”ッ!?」


「おっさん声止めてよ~」


「うぃ~」


は~、風呂が一番娯楽になりそう…。

温泉行こっかな~。長期で休みは取れんしなぁ…日帰り温泉やな。


「瑞穂ちゃん、今度日帰りで温泉行かへん~?」


「あ、良い~。すっごい良い~」


ここだけ聞いたらめっちゃエロスな声出してるで?無自覚エロかい?


「よぅし…ひをぉ…うふぅ…」


「え~なにか言ったぁ?」


頭ドロドロやから意味の無い事しか言わへんで~。

温まるまでもうちょっと~。

偶に瑞穂ちゃんが姿勢変えるからいたたなるけど…まま、ええわ。


「お?」


お風呂上りに濃厚牛乳(意味深)を飲んでたら電話です~。

なんぞや?オックさん?どないしたんやろ?


「もしもし~」


『あ、都ちゃん。良かった~ちょっとお願いがあるの。今いける?』


「良いですよ~。どうしたんです?」


『ちょっとお店のフォローに来て欲しいの。お客さん今いっぱいで予約も入っちゃっててね…。それに三田さんが風邪引いちゃって人が足りないの。この埋め合わせは必ずするから、お願い!』


「あ、良いっすよ(快諾)、料理番では無くウェイターですか?」


『そう、そうなの。いける?』


「はい。着替えて直ぐ行きます」


『ありがとう。車に気を付けてね』


「はい。わかりました」


お仕事じゃい。今からなら19時半には着くでしょ。

金曜日もこうなるか…。雑誌効果ヤベェな…。


「お母さん、服持ってきたよ。ウェイターってコレだよね?」


「うん。ありがとう、瑞穂ちゃん。ちょっと行ってくるね」


「お母さん、気を付けてね」


「一緒に寝れなくてごめんね。埋め合わせは必ずするから」


「ううん、気にしなくて良いよ」


あ~もう…抱きしめるぅ!!無理ぃ!!可愛すぎるぅ!!

スンスンはーはー。超良い匂い!!ミ・ナ・ギ・ッ・テきたぁ!!


「うっし!!行ってきます!!」


「行ってらっしゃい。気を付けてね」


「はぁい♪ママ頑張る!」


チャリンコガッチャン。うらぁい!!車に気を付けろ~。

10分切り達成!!必死こいたらもっと短縮できますがね。汗掻くから嫌どす。


「更衣室誰もいねぇ…当たり前か」


駐車場ヤバかったもん…満杯超えてた。

オックさんが車に気を付けてって意味が良く分かったわ。あれは危ない。

パパッと着替えて…いざ、かまくら!!


「おはようございま~す!!」


大きい声で存在感アッピル。コレしとかんと皆気付かへんからね。


「あ、ミヤちゃん!!」


「救いが来た!!」


ふふん、崇めよぉ~もっと崇めよぉ…。

アホな事してないで働くぞい。


「お、ミヤか。早く持って行ってくれ」


「うぃうぃ。お任せあれ」


ちゃちゃっと注文表確認。こう見えてウェイター歴も長いんです。

ちゃちゃっと持って、ちゃちゃっと運んで、注文拾って、空を回収。

お、常連さんもおるやん。ちっすちっす。笑顔で挨拶コレ大事、にこ~。

マスクで表情分からんけどな!!


「あ、っとっと。すいません」


「かよちゃん、ステイ」


「へ?」


テンパルンパな新人ウェイターかよちゃん。

慌てたらいかん。こういう時は冷静さが一番大事。うーちゃんどこやぁ!?


「かよちゃん、良い?焦ってはダメ。慣れ始めて間もない時が一番ミスしやすいの。いっっっちばんミスしやすいの」


大事な事だから本当に大事な事だから言い利かせるために2回言ったゾ!大事だゾ!

ぎゅうっと抱き込んでるから聞こえてるはず。


「慌てずにゆっくり、周りを見て歩きなさい。お客さんにぶつかったらどうなるか分かるでしょ?勿論、かよちゃんも危ないんだから。もし、焦りそうになったら周りを見なさい。私達がいるんだから、助けを求めなさい。その為に皆で一緒に頑張ってるんだから。わかった?」


「は、はい!!」


「よし。慌てずに確りと歩きなさい」


なでなで。お、良い手触りの髪質ですな。役得役得♪

キャッチしたらリリースじゃ。ほれ、行ってきんさい。

…汗臭くないよね?大丈夫だよね?


「ミヤ!!」


「うぃっす!!」


匂い確認してる暇ねぇな~まま、ええじゃろ。

ほな行きまっせ~。あ~行く行く!!

次はどこ?ここ?なんにしまっか?お、良いの選びまんな!!


ピンポーン。はいは~い。ただいめぇ行きやすぜ!!へい、おまちぃ!!


お、なんね?はいはい、直ぐにお持ちします~♪


おいゴルァ!?おっちゃ~ん、うちは健全な店でっせ。アルハラはあかんよ?うちのカワイ子ちゃん困らせんとってな~?なぁ?わかってるやろ?なぁ?ん?


兄ちゃん、ちょっとトイレ行こか?あ?吐きそうなんやろ?行くで!!ドッセイ!!

どけどけー!!兄ちゃんのお通りじゃい!!


あら可愛い。お父さんと一緒なん?捜そか~ちょっと持ち上げるでぇ~。お父さ~んどこ~?あ、おった。良かったね~よすよす♪


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ミヤちゃん来てくれて助かった~」


「いや、ホント。相変わらずテキパキ動くよなぁ…」


「…」


「かよ、どうしたの?」


「お、お風呂上がりの良い匂いだった…。後、めっちゃ柔らかかった…」


「お?かよもハグしてもらったか。良いよね、流石巨乳。有田んにはわからんでしょ?」


「そりゃ…なぁ…。良いなぁ~」


「くっちゃべってねぇでさっさと持ってけ!!洗いモン回収してこい!!」


「「「はいぃ!!」」」

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