第20話 母の勝利宣言

あれは今からうん十万――いや、1万4千年前だったか…。まぁいい。

嫌ぁ違うんだけどね?うん。

出てきちゃったんですよ~。これぇ…。何年前だ?14・5の時か?


「お母さん、これ何?」


「あ~うん。捨てよっか?」


「え~?お母さん、こんなの着てたんだ~」


写真…全部捨てたと思ったんだけどなぁ…。

何で入ってんの?って言うか…何で写真撮ってたの?

キャバ嬢時代とか…ただの黒歴史やん…。今現在更新しまくってるけど…。


「へ~?ふぅ~ん?」


「あんま見んとってぇ?」


よくまぁ…こんな恥ずかちぃ服着とったね…。

胸元全開やん…ほぼ見えとんで?


「この服もう無いの?」


「無いよ。全部ポイしちゃった」


売ったんですよ、買い叩かれたけどね…。

少しでもお金欲しかったんじゃあ~。


「着てみて欲しいなぁ~」


えぇ…(困惑)、良いよぉ?た・だ・し…。


「瑞穂ちゃんが一緒なら良いよ?」


そんなお洋服店…なんぼでも連れてくでぇ?旅は道連れってなぁ!!


「え、いや…お母さんが着てるとこが見たいの!」


「そのおねだりさんは聞かれへんのぅ…ほれ、等価交換じゃい」


ぐぇへへ、瑞穂ちゃんもエチチな服を着て見せてもらおか?

おっちゃんこう見えても目ぇ肥えとるでぇ?(ニチャァ)


「や…やだ」


「ほぉん?そんならあかんのぅ…」


「お母さんだけ着て見せてよ」


「おっほ。それはあかんのぅ…。大丈夫やぁ~誰も笑わんでぇ?(揉み手)」


「ぐぅぅ…」


甘いの甘いの。舐めまくっちゃる位甘いのぅ。

まぁ、今度マキちゃんと一緒に買いに行くんやけどね。

買うかは分からんけど。多分買わない…かもしれなくもない。


「悔しい?ねぇねぇ、悔しい?瑞穂ちゃん…恥ずかしいんだぁ~」


「む…」


ひひ、ここぞとばかりに煽りまくっちゃろ。普段負け越してますからね。

それに、乗って来たら乗って来たで買おうじゃないか!!お財布は任せろ!!

私も瑞穂ちゃんのそういう姿見たいんです。

こんな母は嫌でちゅか?良いでちゅよねぇ!?


「ほれほれ、瑞穂ちゃんも着てみたいじゃろ?ん?ん?」


「…」


写真をじっと見てはお顔真っ赤にしてますねぇ~。

想像力も豊かなんですね♪(煽り)


「どう?どう?」


「い…いや」


むぅ…嫌か~。それなら仕方ないね。止めとこ。

探してる物見つかったし、片付けは後にしよ。

む、良く見たら錆びまくりやん。プシューきゅっきゅっと。

おお、ピッカピカですよ?錆び取れまくってとぅるんっとぅるんしてますよ?

ほっほっほ。こりゃあ良い。物音ひとつしませんぜ?へいへい!!


「終わり~って、瑞穂ちゃんさん。穴空きますで?」


「え?」


写真ずっと見てたの?あれか?目からビームでも出す練習?

そんなに見たってその服はもうありませんぞ?


「…お母さんって美人だよね?」


「そうかねぇ?あたしゃそうは思わんがねぇ~(低音)」


「えぇ?テレビに出れるよ?」


「…瑞穂ちゃん、私を芸人にしたいの?無理ゾ?」


「…どうしてそっちなの?」


え?それ位しか思い当たらんが?

流石に世間様に経歴暴露は嫌ぞ?瑞穂ちゃんに被害出ちゃう。

そこまでしてお金欲しくないし。瑞穂ちゃんが一番大事だもん。

こればっかりは誰に頼まれてもやらんゾ。


「…お母さん」


「なぁに~?夕飯は何が良いかの?」


「夕飯?えっと…久しぶりに炒飯食べたい。あ、じゃ無くて。お母さん、あれから成長した?」


「成長?お腹は~そんなに…いや、成長はしてるかも?」


なでなで。お前さん、どうやねん。伸びてるんか?どうなんやぁ、えぇ!?


「そっちじゃないってば。お胸の方!」


「胸?おっぱお?…どうだったっけ?」


「写真と見比べても大きい感じする!」


何で分かるん?対比どうしてるん?

写真と実物って結構差ぁありまするぞ?


「わがんにゃい。まぁ、買い直した記憶はあるね」


「ん~。だよね」


これこれ、下から持ち上げなさんな。重たいだけじゃで?


「私も…これくらい大きくなるのかな?」


ほほん?大きくなりたいんですか?

大丈夫、栄養ばっちりのご飯を毎日用意いたしますぅ!!


「ふふ、俺に任せな。ばっちり育ててやるからよぉ!」


卵くぱぁ~。勿論、白身も使っちゃうぜ!!

おらぁん!!米に混ぜ混ぜチャチャチャ!!


「え、もう作るの?まだ16時だよ?」


「あれ?お腹空いたんじゃ無いの?」


「まだ大丈夫」


「そっか…」


コトっ。ごめんな、米、卵。お前らの事…忘れねぇよ…。


「まぁ、用意だけしよか。刻むぜェ…へへっ」


「ん~うん」


「あの~、いつまで揉んでんすかねぇ?」


「ん?うん…」


後ろからぴったりくっつかれちゃったら動きにくいんですよ。

足踏んじゃわないか心配ですし…。


「…おっきぃ」


「え?ぼっき?エッチやねぇ~。いったぁ!?」


「今のはお母さんが悪いからね…」


ひでぇ…ただあっしは、和ませようとしただけでやんす…。

ただの生理現象やん…男の子の。

保健体育でもう習ったでしょ?瑞穂ちゃん、ムッチリなのにむっつりなの?


「いたたっ。瑞穂ちゃんやい、一体どげんしたと?」


「べっつにぃ?」


拗ねちゃった。それはそれでよう御座んす。

ん~?何かコンプレックスに触れちゃったかな?

瑞穂ちゃんも同年代で見たら十分大きい方ですよ?私見たモン。

テュルン、ストーン、ペターン、ボーン。色んな子が居りましたなぁ~。


「瑞穂ちゃんも大きくなりたいの?」


「ん?ん~どうだろう…」


「十分大きいけど?背中の感触で判りますねん」


「…!?」


お、離れたのぅ。無自覚とは恐ろしい子やな…次代に期待しよ。


「…お母さんのエッチ」


「はぁい♡エッチなママでぇす♪」


「むぅぅ…」


ふふん、勝った!!無言で右手を上げて勝利宣言じゃ。

あ、可愛くポージングしとこ。

くるん、イエェーイ!!きゃぴぃ♪


スゥ……煽るん止めとこ。これ以上あかんわ。

鬼や…鬼がおるでぇ…。

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