第15話 母暇つぶしに介護する

おお…なんと素晴らしき白さなんだ…これぞまさに純白!!

洗い立てのシャツぅ~。スゥ~クンクン、ええ匂いじゃぁ!!


「お母さん、何やってんの?」


「え?変な臭いがしないか嗅いでるだけだよ?」


「…」


「?」


愛娘の視線がちょっと強くなぁい?

シャツだよ?ただの制服のシャツだよ?や、疚しくなんかないんだからね!?


「まぁ…いいか…」


「!?」


この反応…まさか…呆れられてる?馬鹿な!?

この私が?この私が!?


「…シャツなら分かるんだけどさ?」


「?」


シャツですよ?これは誰が何と言おうとシャツで御座いますよ?

三角形で三方に穴が空いておりますがシャツに御座いまするぞ?

少々手のひらに収まるサイズですがシャツなんです!(確信)

決して…決して、瑞穂ちゃんのおパンティーではありませんぞ!?

もっとエチチなのを買おうかしらん?


「お母さん、今日は三者面談だからね…。忘れないでよ?」


「任せんしゃい♪」


確か~、13時30分からじゃったの。

今日はこの為にお休み貰ったんじゃもん。張り切るでぇ!!

スーツもクリーニング済み、立派なママさん目指すけんのぅ!!

クンクン、ふぅ…これは只の精神安定剤なんじゃ。


「じゃあ、行ってきます…」


「テスト最終日、頑張りんしゃい!!」


瑞穂ちゃんの出陣じゃ!!パンツ片手に応援しますぞ!!

あ、パンツって言っちゃった。

お顔真っ赤にしちゃって~風邪じゃないよね?(ゲス顔)


「瑞穂ちゃん、風邪引いた?」


「いい加減、それやめて…」


「え、何?」


「右手!!」


「ん?おおう、これはまさか伝説の…」


「ただの私の下着!!早く仕舞って!!」


「はぁ~い。行ってらっしゃい」


「行ってきます!!」


えらい早歩きで行っちゃいましたねぇ~。クォレハぁ…。

同じツンデレでも少々反応が違いますな…。

…若さ…かな?ふふん、自慢しちゃお。


「さ~てと、時間まで何しましょ?」


スーツ上下確認良し、シャツ良し、パンツ良し…これはちゃうわ。

ええと…バンプス良し、ピカピカに磨いたもんね。

レースクイーンみたいなヒールにした方が良かったかな?

まま、ええわ。


冷蔵庫バーン。中身はギッシリ詰まってますな。作り置きも問題無し。

キッチンバーン。全部お片しちゃった。うふん。

洗濯機バーン。中身は何もありませんな。全部洗って干しちまった。

自室バーン。布団も干しちゃったからスッカスカ。テレビ以外何もねぇ…。

瑞穂ちゃんのお部屋ソロ~っと。エロ本とか置いてないかな?


「いやいや、流石にあかんやろ。何のために引っ越してん…」


綺麗に整頓された部屋を眺め、ちゃんと掃除してるな~って感想しか出てこない。

もう中学2年生か~。

忙しなかった分、あっという間だったな~。

写真とか全然残せなかったのが悔やまれる…。

まぁ、スマホにはびっしり入ってるんですがね。

現像ってどうするんじゃろか?瑞穂ちゃんに後で聞こっと。


「ふぅんむ。何しよっかいなぁ?」


暇じゃん。特にやること無いじゃん?

まだ朝っぱらだから掃除とかするわけにいかんし…。


「…プリン…作るか?」


思い立ったら即行動。

卵良し!牛乳良し!砂糖良し!愛情たっぷり♡

おらぁああああああ!!混ぜろ混ぜろ!!お湯湧いた?

混ぜろ混ぜろ混ぜろ!!ドロ~っとね。はい、蓋閉ずてぇ~。


「まぁ、分かってたんすけどね…」


時間掛からんかった…何ぞこれ?

しかも作り過ぎたし…分量間違えわ…。

カラメルも行くか?

グラニュー糖良し!水混ぜ~の、熱し~の、砂糖混ぜ~の。

うん、終わったわ…。

冷ますか…。温かプリンもええんやけどね。あ、せやせや。


「ピンポーン、ピンポーン!!」


どたどたと奥の方から慌ただしく駆けてくる足音。慌てすぎぃ!!


「ピンポぉーン!!」


ノリとテンションってヤバいね。まま、ええやろ。


「は、はい!!あ、都さん、おはようございます」


「おはよう、先生ちゃん!!」


「先生はやめて…」


「はい、これ。プリン作り過ぎちゃってさぁ。2個あるから1個は冷やしてちょんまげ。温けぇのはうめぇゾぉ?」


「え、あ、ありがとぉ」


可愛いなぁ…こ奴。ってか、寝てる?目の下ヤベェぜ?


「先生ちゃん、ちゃんと寝てる?」


「え?あ…っとぉ、ちょっと…寝てない…」


それっぽい箱に入れたプリンを抱えて縮こまる可愛い子ちゃん。

ほほう?寝てないのですな?


「ん~?前回から一月位経ってるけど…掃除とかしてるぅ?」


「うっ!?」


髪くんかくんか。お風呂も入って無さそう。これはしゃあないね。


「締め切りはいつです?」


「…1週間…切りました」


「まだあるね。よっし、お邪魔しまぁす!!」


「えぇ、あぁ、待ってぇ~…」


おお…これこれ、何か懐かしい汚部屋やわぁ。

今日はゴミの日やで?出さなあかんやん。

指定ゴミ袋を見っけ。入れてこ。おらぁん!!


「あぁぁぁ…」


「ほら、甘いもの食べて。ゆっくりしな。先にお風呂洗おうか?」


「いやいや、待ってくだしゃい。そこまでしていただくわけにわ…」


「お腹空いてる?」


「…空いて…ます」


箱のプリン見てからぐぅぅって鳴ってるもんね。涎だらだらやん。

よし、お昼まで介護すっべ。


「先生ちゃん。それ冷蔵庫に入れて」


「へ?」


「着替えと鍵…くらいで良いかな」


「え?え?」


「ほい、行くよ」


「えぇ!?」


我が家へ連行。許さん、許さんぞぉ!!


「ようし、簡単御飯!!米炊く時間はあれだから、お風呂を先に行くべ」


「えぇ!?」


「ここに座るがよい。あ、粗茶ですが」


「あ、ありがとうございます…じゃ、じゃなくて…何度も悪いですよ…」


「はいはい。お湯張って来るね。」


…って洗ってあるから湯を入れるだけなんですがね。じゃぼぼぼ~。

お米とげぇ!!おらぁん!?あらぁん!?

ピッ、早炊きONっぬ。

昨日の御残りだけど…軽く火を通したりレンチンしよう。

温かい飯食うとね、やっぱ違うんっすよね。


「あ、お風呂。」


湯が下半身浸かる位だけど…まま、ええやろ。


「どぉぞ入れぇ!!」


「あ、はい…」


勢いで押したらこの子は逆らえんのだ。私に。

ようし、火を…点けっぱなしじゃん!?危ない危ない…。

ほほっ、ほほほっ、これよこれ。慌ただしい感じがええのぅ。

あ、唐揚げも出しちまうか。肉は良いぞぉ?


「よっすよっす。先にゴミだけ片してくるべ」


先生ちゃんの汚部屋のごみをかる~く纏める。

コンビニ弁当ばっかじゃねぇか…野菜食わせねば…。

あ、お菓子も食いまくってるな…許せん…許せんぞぉ!!(二度目)

ほいほい、網をバサーってな。カラス来んなよ?


「よいしょよいしょ」


戻るぜ戻るぜ!!

よしよし、この炊飯器高かっただけの事はあるな。

ヤナさんお薦めの炊飯器を買って良かったぜ。サンキューヤナさん。


「お、お風呂…ありがとうございました…」


早いじゃねぇか…もっと温まってろよぉ…。

髪の毛濡らしまくってよぉ…おいおい…許せん、許せんぞぉ!?(三度目)

無言でフェイスタオルをあたたたたた!!

連行してドライヤーでぶぉおぉお!!

ま、こんなもんやろ。


「す、すみません…」


「良いって事よぉ!!」


綺麗になったぜェ?同じシャンプーの良い匂いがするのぅ…グェヘヘ。


「飯食いねぇ!!」


おらぁ米じゃ!!カボチャの煮つけ!!唐揚げ爆弾!!ホウレン草のおひたしぃ!!

金平に筑前煮ぃ!!サッと作った野菜炒めも投下じゃ!!食え!!


「おいひぃ…」


先生ちゃんのメシウマ顔を見ながらどやぁ!!決まったぜ!!

まだ11時前じゃん…先生ちゃんお昼食べれんな。めんご。

っていうか寝ろ!!

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