第9話 母の仕事場①

お早う御座います。朝でごじゃいまする。

時計は午前4時を回りました~。

ぐっすり眠ってる瑞穂ちゃんキャワワしながらよっこいしょ。

良し、眠って御座るな。


うお~、伸びるぅ!!

ふぅ、顔洗って歯でも磨くべや。

朝飯どうしようかねぇ?

昨日の残ったお野菜で何かしましょか?

具沢山みそ汁にでもしてから…え~っと。


冷蔵庫はぁ…余り物多いなぁ…。

ん~。これとこれ、食べてもらおかぁ(ニチャァ)

後これもいくべ。朝の酢の物は美味いぞい。


御飯は~炊けてるのぅ。

良し、一品だけ(味噌汁)ツクール。

ポイしてポイして、はい、ほぼお終い。

らっくやわ~。

レンチンレンチン。

はい、後は炊いて味噌放り込むだけぞ?


こんなもんか。

ボチャーン、カチャカチャドーン!!

いや、別にあれだな。そんなにあれだな。擬音要らんわ。


「おはよ~」


「ほえ?」


御寝坊さんの…ていうかまだ5時にもなって無いよ?


「み、瑞穂ちゃんが、こんな朝に起きるだなんて…」


「トイレ…」


あぁ、トイレか。それはしゃあないわ。いや~、吃驚した…。

のそのそと歩く姿はパジャマの熊さんみたいだね…。


自分の食事をよそって朝ごはん。美味し。

今日は朝の仕込みからだから~何時に帰れるかな?

下手すりゃ、20時回りますな。

客入りが多かったら21…いや、22時か。

飲食業の金土日は辛いぜェ…。


「お母さん、今日は何時に帰れる?」


「ん~分かんない。帰る前に連絡はするね」


「分かった。お休み~」


「お休み。良い夢見ろよ」


今日は土曜日なんでぇ…中学校は休みなんですよね。

社会人の辛いとこやでぇ…ホンマぁ…。

もぐもぐ、うめぇ。


給料日まで後10日か~。

余裕はあるわ。

けどまぁ、瑞穂ちゃん下着にまぁまぁしたのう…。

んでも、これからやでぇ?もっと大きなるでぇ…。


動き易い服装に…軽い化粧と、作業着持った。お財布持った。スマホ良し!!

そ~っと開けて~っと。


「行ってきま~す」


返事は無いけど…一応ね。

アイラビュー瑞穂ちゃん。今日もママ、頑張るわぁ♪

チャリンコチャリンコ~っと、鍵…忘れたわ。

家の鍵もしとらんやん!?

今日はあかんかも知れへん…。


ひ~こらふっふ~。

チャリンコで10分も掛からん職場やでぇ…。

まだ誰も来とらんなぁ…早過ぎたか?

ふっ、また記録を伸ばしちまったか…。


「おはようさん…」


「お、おはよう。マキちゃん」


「今日も元気だね~。ミヤちゃんが羨ましいよ…」


「なんや~どないしたん?おっちゃんに言うてみ?(揉み手)」


「もぉ~旦那がさ~…」


マキちゃん30歳。

歳が近い事もあってか、職場で親友ポジになってる子。

子育てとお仕事を両立して頑張り中のお母様。

お悩みは旦那と夜のアレコレですねん。

朝やで?


「レスになりかけなの…。仕事疲れがって言ってさ。私も仕事終わりなのにさ!」


「どうどう、マキちゃん。朝やで?」


もう、そっくりそのままビシッと言いますわ。

朝やねん。もう、朝やねんで?


「聞いてよ~。旦那なんてマンネリよ、マンネリ?」


「うんうん。マンネリやな。」


適当に流そう、うん。聞いてたら疲れる奴や。


「でさ、俺の事も考えてくれよ?嫁だろ?って、あんた今日休みじゃん!!」


「あ~、それはあれだね。旦那が悪い」


「そう、旦那が悪い!こっちだってあんたの事考えて言ってるのよ?何様よ!」


「ご主人様じゃ無いけど、旦那様ですぜ?」


「その旦那様は私の事を考えてるのかって言いたいのよ!」


「そうだね。マキちゃんはちゃんと考えてるのに、旦那さんは考えてくれないのは悲しいよね」


「そうなのよぉ。ほんっとうに腹立つ!」


マキちゃんのご立腹加減は相当です。

旦那さん~、今日はキャベツが多めに切られちゃうよ?

ぷりぷり怒ってる時のマキちゃんは手が早くなるんよ?


「まぁまぁ、マキちゃん落ち着いて。で、普段どんな感じで誘ってるん?」


気になるやん?こういう話は面白そうやから…。

俗物なんですよ、私も。

ちょっと可愛い女の子に「俗物が!」って罵られたいですわ。

シホちゃんママとか良さそう…。


「あ、それ。ミヤちゃんにも聞きたかったんだよね。」


「え、何?」


「ミヤちゃんならどう誘うか聞きたいの」


「うん?」


これ如何に?旦那もおらんし、彼氏もおらんねんけど?


「ほら、私ならさ…(ぼそぼそ)」


流石に人目を気にしちゃったか。ほうほう?ふんふん。


「これじゃ足りないと思ってるの。何か良い案無いかな?」


「ん~…、攻め過ぎぃ!」


「えぇ!?そうなの?」


「もうちょっとマイルドな方が良い気がする。男はな、単純やねん。シチェーションが足りない気がするから…もう少しマイルドさで攻めた方が良いと思うな~」


「た、例えば?」


例えか…そうやね~。

マキちゃんは大柄でも小柄でも無いし。

大きい訳でも小さい訳でも無いし。

かと言って、可愛くない訳じゃ無い。

ほんでやで、何が似合う?


「コスプレは安直だしね。此処はもう少し捻っていきたい…」


「ん~。旦那もコスプレはどうかなぁ…」


「新たなネグリジェを開拓するのは?」


「ん~?ん~、どうなんだろう…」


「詳しい人知ってるよ?」


「…え?どんな知り合い?」


「娘の友達の親御さん、でママ友」


「…んん!?」


「良いお店の場所…聞いとこうか?」


「…お願いしても良い?」


「おっけ」


「…ミヤちゃんも付いて来てくれるよね?」


「ん~?ん~、いいよ」


「良し。言質取ったからね」


「うん。日程合わせようか。平日の方が良いよね?」


「そうね。あ、来週の火曜日は?」


「火曜日火曜日…は、特に予定は無いね」


「じゃあ、その日でお願い。ふふ、燃えて来たわ」


「早くない?欲求不満すぎぃ」


「良いじゃん。別に良いじゃん」


お仕事前やのに…何なんこの会話?

これがうちの職場ですぅ。

いや、ちゃうで?清潔な所やで?

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