第15話
(ヤヤ子side)
痛っつつつ。
腰と腿、身体中あちこちの痛みに目が覚める。
カーテン越しの外は青白い。どうやら早起きしてしまったみたい。
に、しても。痛い。
昨日はヤりすぎた。ほぼほぼずっと上。午後中ずっと悶々とした分を取り返すかのように乱れた。だけでなく、涼葉のことで悩み抱えていた、鬱屈したものを晴らすべく乱れた。
そのおかげで今苦しんでいるわけだけど、後悔はない。
……気持ちよかった。
きっと身体の相性というやつが抜群なのだろう。それだけでなく、気を許しあっているから気兼ねなく振る舞え、何一つ憂うことなく乱れられる。そんな安心感があるからこそ、快感に身を委ねられる。
そう思うと、千尋じゃないとダメだ、千尋を手放したくない、そんな思いが強まる。
友達はダメ。いけるかもしれないけれど、それじゃあ私は満足できない。あまりにも寂しすぎる。
なら自ずと二択に絞られる。
「恋人か、セフレかぁ」
でも、この二択であれば、迷うことはない。
恋人になる、それが答えだ。
第一に、彼女がいる人のセフレというのは私の倫理観的にNG。それに、セフレ一択に迫られれば話は別だが、今のところは千尋をそんな男にしたくない。
第二に、満足感の違い。セフレであれば隠れなければならないけれど、恋人ならば堂々と側にいられる。常に危機感を持っていては、満足できるものも満足できないだろう。
そんな消去法的な答えで、恋人。
でもなあ。
千尋と恋人になる。そんな想像もつかない。
イチャイチャしたりできるのか?
電話したり、放課後一緒に帰ったり、デートに行ったり。その間、ずっと甘い空気間でいることを無理やり想像してみる。
無理だ、どれも友達と変わらないノリになって、甘くはならない。いや、ならないわけではないだろうけど、千尋のことばかりに目がいく、とか、私を1番に思ってくれなきゃやだ、とか重くは絶対にならない。恋人になったとしても、付き合ってみて、何か違った、と友達に戻るカップルの例に倣うことだろう。
それに、ありえないことだが、涼葉が今の関係を続けてもいいよ、と言えば、私は千尋を心の底から応援できる。
やっぱり、恋人は違うよな。
でも、恋人以外の選択肢はないんだよな。
「……あれこれ考えても仕方ないか。付き合ってみたら、案外いけるかもしれないし」
恋人しかないのだから、悩んでいても仕方ない。
よし、と私は気合いを入れる。
「恋人になるぞぉ、おー」
そして、そのためには、私のことを恋人として見れない千尋を落とし、あの超絶美少女の涼葉から横取りすればいいだけか。
……だけか。
「無理じゃん!!!!」
非情な現実に涙が出そうになりながら、いやもう泣きながら私は、千尋を落とす作戦を考えはじめた。
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