第34話 牛乳泥棒VS.桶星
桶星家では町内にあつた
❝よつ葉牛乳販売店❞から
週2回牛乳の配達を頼んでいた
牛乳は瓶では無く
1000㎖の紙パック
初めの頃は
順調に配達されていたのだが
一年ほど経つと
配達されない日がでてきた
あまりにも未配達が続き
桶星はよつ葉牛乳販売店へ電話
「牛乳の配達を忘れてる」
と抗議したら
「きちんと配達してます」
「配達されて無い!」
「ちゃんと配達してますよ!」
と、ちょっとした揉め事に・・・
でも町内のよつ葉牛乳販売店さんが
噓をつく訳が無い
そこで桶星は閃いた
牛乳泥棒だ!
間違いない牛乳泥棒の仕業だ!
おのれ牛乳泥棒め捕まえてやる!
俄然闘志に火が付いた
牛乳が配達されるのは
火曜と金曜の早朝5時頃
桶星は牛乳泥棒を捕まえる為に
4時半に起床
桶星家は一階は
父マツオさんの経営する会社の
事務所兼資材置場で
住居は二階
牛乳は塀の上に置かれる
桶星は窓を少し開き
よつ葉牛乳が来るのを
息を殺し待った
来た来た来た~
よつ葉牛乳来た~
間違いなく配達されたのを確認
桶星は階段を降りて
塀の陰に身を隠し
牛乳泥棒が来るのを
一人ジッと待つ
女子高生が一人で
牛乳泥棒を捕まえるなど
何を考えているのやら
怖いもの知らずか
馬鹿なのか?
負けん気が強いのか
馬鹿なのか?
生まれながら無鉄砲なのか
馬鹿なのか?
深く物事を考えられないのか・・・
あぁ!やっぱりただの馬鹿なんだぁ
塀の陰に身を隠していると
タローが起きてきた
タローの屋敷は
階段下に設置され
敷地内を
自由に動けるようにと
繋いだ鎖は長くしてある
桶星がジッと隠れている脇を
タローはスッと通り抜けた
そして塀の上に置かれた牛乳を
背伸びして前足で地面に落とした
牛乳パックに犬歯で穴を開けた
穴から流れる牛乳を飲みだした
中身が少なくなり流れ出無くなると
前足で牛乳パックを踏み付け絞り出す
(タローの父犬は甲斐犬程の大きさ
母犬はゴールデンレトリバーで
タローはゴールデンレトリバーより
二回りほど小さく成長して
塀の上に楽々と手が届く
大きさになっていた)
桶星が
「へぇ~上手に飲むんだねぇ」
と声を掛けたら
タローは尾を振り
めっちゃくちゃ自慢そうな顔をし
「見てみて凄いでしょ」
と瞳を輝かせ
最後の一滴まで飲み干した
タローの一連の動作は
手慣れている
隙のない動き
無駄のない動き
桶星は悟った
こいつ常習犯だ・・・と
「お前か~牛乳泥棒は!」
その言葉にヤバい!
を察したタローは
自分の屋敷に駆け込んだ
屋敷の中に手を入れて
タローを引っ張り出そうとしたら
屋敷の奥にへばりつき
手が届かない
「出ておいで~タローちゃ~ん」
と猫なで声を発しても
タローは屋敷奥で身じろぎせず
聞こえない振りを決め込む
桶星ふと考える・・・
牛乳パックは?
今まで盗み飲みしていた
牛乳パックは?
そもそも空の牛乳パックが
敷地内に転がっていれば
犯人はとっくに判明していた
(ミー様が牛乳パックを
引きずって歩くのは
物理的に無理!ですから
おのずと犯人お前だ!
と速解決していたわけです)
なんとかタローを
屋敷から出そうと
屋敷の裏に回ったら・・・
ああ~ああ~ああ~!
牛乳パックの空が山積みになってる~!
それを見た桶星
更に怒りを燃やす
「お前~!ふざけやがって~!」
タローの屋敷を蹴りまくる桶星
ジッと堪えるタロー・・・
結局タローは一日中
屋敷から外出することはなかった
桶星❝よつ葉牛乳販売店❞へ電話
「すみません犯人は
当家の犬でした・・・」
あ~恥ずかしい
飼い犬に嚙まれる
では無く
飼い犬に牛乳を盗まれる
なんてこったい!
その後よつ葉牛乳は
タローが届かない場所に
置いていただき
牛乳窃盗は阻止しました
まぁ桶星は目出度く
牛乳泥棒を
現行犯逮捕致しました!
桶星、頑張りました!
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