第33話 ナホ子さん蛙を連れ帰る

人間という生き物は

動物の中で

唯一❝童心❞を忘れない生き物である

(知らんけど)


桶星の母ナホ子さん

友人らと静岡へ日帰りで旅行

白糸の滝へ行き

直径3㎝ほどの

小さな蛙を二匹捕まえた


別に捕まえるのは構わない

全然構わないです

いいじゃないですか

童心に帰って

楽しく蛙捕かえると

いいんですよるだけならね


何故にその場で

キャッチ・アンド・リリースしない⁈

それを何故に東京まで持ち帰る⁈

摩訶不思議なナホ子World炸裂


「捕まえたの~」(喜々)

じゃねぇし

どうすんだよ

どうやって飼育するんだよ~⁈


取り敢えず蛙殿達には

虫籠にお入り頂き

霧吹きで水を掛けて

はぁ~ひと段落

じゃ無~い!


ご飯は?

ねぇ何か食べないと

死にますよねぇ・・・

蛙の餌って・・・

虫!

昆虫!

どうすんの⁈


かくして翌日から

蛙殿の食糧調達作業開始


季節は夏

外には蛙殿の食糧が

飛び交っている

早朝から外に出て

虫取り網を振り回す

まぁ捕獲できるのは

ほぼほぼはえですが


捕獲した虫を

蛙なのに虫籠で暮らす

蛙殿達に献上

(翌日に父マツオさんが

 大きめの飼育ケースを

 買って移住いただいた)


ある日

学校から帰宅すると

近所の人が

桶星宅を怪訝そうに見ている

どうした?

と思ったら

ナホ子さんが

必死の形相で

虫取り網をブンブン振り回している

いや~もう凄い勢いで

振り回してました


「蠅がこんなに捕れた~

 これで二日はもつは~

 毎日虫取り大変だから

 助かる~」

と喜ぶナホ子さん


そもそも貴女が

白糸の滝で

キャッチ・アンド・リリース

してれば

こんな苦労もしなくて済んだのですけど


ナホ子さんの歓喜は水泡と帰す

なぜなら

蠅は翌日には

皆さんご臨終~


教訓

やり過ぎは

正に蛇足である・・・


マツオさんが

「見てみろ~」

と呼ぶので

見に行ったら

「蛙と同じ大きさの蛾を入れたら

 くわえて身動みじろぎせずに

 固まってるぞ」

と嬉しそうに教えてくれた


確かに蛙殿の口から

蛾が大きくはみ出ている

が、わざわざ呼びつけて

教えることなのかぁ?


変な両親だ・・・


冬になると

蛙殿の餌が調達できない!

そこでマツオさん

ご飯粒を糸でくく

蛙殿の目の前でブラブラさせた

すると

食べるんですねぇご飯粒を


反射反応なんですかねぇ

取り敢えず

目の前を飛んでたら

食いつく!的な本能?

まぁそれで蛙殿達は

越冬できました


やるじゃんマツオさん!


さて

その蛙殿達なのですが・・・


無事に生まれ故郷

白糸の滝へ返しました

桶星が・・・


学校の林間学校で

富士山へ行き

白糸の滝へも行く

という事で

蛙殿達を石鹼の空き箱にいれ

その箱を旅行鞄にいれ

いざ出発!


出発したのはいいが

白糸の滝へ行くのは最終日

三日目である

それまで蛙殿達は

飲まず食わずであられる

毎夜こっそりと

蛙殿達に水を掛け

なんとか生き延びて頂けました


林間学校に

指定された物以外持参するのは

違反行為ですよ~

日本広しといえど

蛙を連れて

林間学校に参加した人間は

桶星ただ一人である!

(知らんけど)


三日目に訪れた

白糸の滝で

蛙殿達を無事に

リリースできました!


だいたい逆だよね

子供が勝手に連れてきたものを

親が返しに行くのが

一般的な出来事だよね


もう~ナホ子さんたら

勘弁してくださいよ


これ以降

ナホ子さんが旅行先から

野生動物を持ち帰ることは

ありませんでした

良かった~
















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