第31話 タロー降臨

タローは犬である


桶星が高校生の時に

父マツオさんが

お知り合いのお宅で生まれた仔犬を

もらうことになり

久しく犬を飼っていなかった桶星は

嬉しくて狂喜乱舞であった


仔犬を我が家に迎えるのは

生後2ヶ月に成ってから

と言うことで

その日を首を長くして待つ桶星


いよいよ今日は

マツオさんが

仔犬を連れて来る~

の日

もう学校に居ても

嬉しすぎて

ソワソワ~

ソワソワ~

で何も手につかない

ワクワクドキドキが止まらない

早く会いたい!

の気持ちで一杯である


授業が終わると一目散に

お家へGO!

「もう来てるかなぁ」

ワクワクドキドキしながら

玄関ドアを開ける・・・


いたっ!

こちらに小さな背を向け

玄関で

チョコンと座っている~

桶星 嬉しさ爆発!

たまらん・たまらん

可愛い背中~


桶星 絶叫する

「かわい・・・」

桶星 絶句する


なんと振り返った仔犬の顔が

全く全然微塵も可愛く無い!


こんなブッサイクな仔犬は

生まれて此の方見た事が無い!


とても仔犬とは思え無い

信じられ無いブッサイク!


桶星乙女の心は傷付いた

仔犬とは漏れなく

❝可愛い❞ものと信じて生きて来たのに


仔犬って

お目目がクリッてしてて

お顔も丸いフォルムで

何かこぉ

何と言うかぁ

愛くるしい?

むぎゅーってしたくなる的なぁ?


なのに何だよ!

なんなんだよ!

このブッサイクは!

こんなの仔犬じゃ無い!

いや犬ですら無い!

これは地球外生物だ!


桶星は以上の事を

0,数秒で考えた


まったく人間とは

不思議なものだ

普段は

ボーっと生きているのにね

こんな時だけ

脳細胞が張り切るよね


桶星は家の中に居る

父マツオさんに

半泣きしながら

大声で

「こんなの嫌だー!

 今直ぐ取り換えてきてー!」


玄関先に現れたマツオさん

「これが最後の一匹だ

 これしか居なかった」


たしか仔犬は5匹いたはず

なのに こいつしか残って無かった

そりゃそうでしょうとも

こんなブッサイク

みんな遠慮するでしょうよ


いや

それはマツオさんの噓だったのかも

余りにもブッサイクなジローを見て

❝これじゃぁ誰も貰い手が無いだろう❞

なぞと可哀想に思い

ジローを連れて帰った

なんて事は

マツオさんなら

有り有りの有りだよなぁ・・・


そして

返すわけにもいかず

ジローは

桶星家の一員となった


ジローは

歴代の犬同様に

ミー様から激しい洗礼と

厳しい躾をされ

ミー様には

絶対服従犬となった


まぁ

この世のものと思えぬ程の

ブッサイクでも

共に暮らせば情が涌くのが人情

途轍もなく可愛がりました

が・・・

こいつが

結構なサイコパス野郎で

数あるエピソードは

また次回


あぁそうそう

タローは

元々生家でジローと命名されており

桶星家でも

ジローと呼んでいたのですが

近所に住むマツオさんの友人が

二郎さんで

散歩中に

ジロー!

と呼んだら

前を歩いていた二郎さんが

振り返ってしまい

母ナホ子さんが

気まずい思いをしたことで

タローと改名致しました



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