第29話 「すやすやお休み」なんて言えるか!

ミー様は車が嫌いだ

大変お嫌である


車に乗る

車が動く

車が到着

動物病院

痛い事をされる

獣医を威嚇

獣医を嚙む

獣医を引っ搔く

でも痛い事はされる

なので

ご乗車が嫌い


ただし・・・

無人の車はLoveLoveLove

人が乗っていなければ

車は動かないって事を

しっかりと理解なさっている


なので

家の敷地内に止めている車

夏場は風を通すために

少しだけ窓を開けておくのだが

ミー様は

こっそり乗車なさり

車内で寝るのがLoveであられる


お陰でシートは

猫毛だらけで

ナホコさんに怒られていました

(ナホコさん毎日車でご出勤)


ある日・・・

学校からの帰り道

家の近くまで来たら

路上に

軽トラが止まっていた


桶星は

そのまま通り過ぎが・・・

軽トラの中に

なにか違和感が・・・


戻って軽トラの中を覗くと

運転席のシートの上で

お猫様が丸まり

お眠りになっている

猫好きには堪らない光景

なんて可愛いいんでしょう

「猫様は漏れなく

 車の中で寝るのが好きなのね」


違う!猫じゃ無い!

いや猫は猫だが

ただの猫じゃぁ無い・・・

ミー様だ!


なんとミー様

見ず知らずの軽トラに

ご乗車あそばし

すやすやと

お眠りあそばしている


こっこれは

どうしたらいいんだ

知らない見てない感知してない

で押し切り

家に向け前進した


だが

「もし軽トラの運転手さんが

ミーを怒って乱暴な事をしたら・・・」

いつものミー様の行動から想像するに


運転手さんミーを怒鳴る

ミー目を覚ます

運転手さんミーを掴もうとする

ミー運転手さんを威嚇する

ミー運転手さんを嚙む

ミー運転手さんを引っ搔く

そっそれは傷害事件ですー!


純真華憐な中学生の桶星

知らない人の車に手を突っ込み

ミー様を引きずり出すなんて

恥ずかし~い

でも降車させねば


進めた歩みを後退させ

辺りに人影は無いかと

キョロキョロ

キョロキョロ

キョロキョロ

桶星またしても

起動不審者となる


ドアを開けることは・・・

出来ない

恥ずかしい

窓から手を入れ

腕を伸ばし

ミー様を掴み

ご降車させるのに成功


そのまま抱きかかえ

家まで突進

ミー様は

「えぇ~なに~どうしたの~?」

的な顔をなされ

反省の色は無し

自家車と他人車の

区別ぐらいつけろよ

猫知恵が!


以降は

自宅近くの路上に

車が停車していると

中を覗くと言う

普通ならば有り得ない

変な習慣が身に付いてしまった





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る