第28話 2月24日!
2月24日は何を隠そう
桶星の誕生日なのであーる!
おめでとう!
ありがとう!
今回は桶星の誕生秘話をご紹介
桶星
生まれは深川永代1丁目
かの赤穂浪士が討入りの際に
渡った永代橋の
隅田川の
さて
わが父マツオさん
若かりし頃は
❝やんちゃ❞でいらした
給料を貰ったその足で
飲み歩き使い切る
妻ナホコさんには
「給料袋を落とした」
などと猿並の噓をつく
(昭和時代は給料は銀行振込では無く
直接手渡しでした)
そんなマツオさんが
やらかしちゃったんです
酒を飲んで泥酔
JR錦糸町駅のホームで
喧嘩沙汰!
あえなく警察官様に
身柄を拘束されて
トラ箱(泥酔者を泊めてくれる
警察の優しい施設)
に放り込まれた
その頃ナホコさん
なんと陣痛が来たーー!
待てど暮らせど帰らぬマツオさん
そりゃそうだ
トラ箱に囚われの身なんですから
夫と連絡も取れず
(まだ携帯電話なんて無い時代)
仕方なく一人で産院へ向かう
可哀想なナホコさん
ここからが大変なナホコさん
夜中に産院に着き
そのまま分娩台で陣痛に苦しむ
(陣痛経験の無い方は分からない
でしょうかあら軽く陣痛の痛みを解説
気絶するほど痛い!マジです!
なのに何故だか気絶できないのが
陣痛の不思議
その痛みは生まれるまで続くのだ)
陣痛は最絶頂なのに
産道に引っかかったまま
頑として生まれない桶星
その理由は・・・
逆子ならぬ❝えびっ子❞だったから
逆子は足から産道をおりる
えびっ子は体を❝く❞の字に曲げ
お尻から産道をおりる
どう考えたって
それは無理です
くの字に曲がったままでは
いくら
産道を通れる訳が無い
助かる道はただ一つ
帝王切開
それで問題解決
しかーし
帝王切開ができない!
手術の同意書には
マツオさんのサインが必要
でもマツオさんはトラ箱の中!
(この時マツオさんが
INSIDE THE TORABAKO
だとは誰も知らない)
このままでは母体が危ない!
で医師が下した決断は
【産道から
胎児(桶星)の手足を切断し
体外(子宮)から出す】
要するに
【ナホコさんの子宮にいる
桶星の体を刻んで殺して出す】
と言う事
※基本的に医師は
胎児の命より母体の命を優先します
ナホコさんは医師から
「子供は又できるから
今回は諦めなさい」
と説得されたそうですが
〘仏教徒が子供を殺すなんてできない〙
と首を横に振り断った
(大人になってからナホコさんが
「仏教徒じゃなかったら我慢せずに
首を縦に振ってたわアッハッハッハ」
と笑ってた・・・あぁご先祖様
仏教徒でいてくれて有難う
である)
でも陣痛は収まらない
痛みに苦しむナホコさん
もう直ぐ死にますね
の状態に陥る
その頃
深川永代の近所のおばちゃん達
ナホコさんと赤ん坊が大変だと聞き付け
総出でマツオさんを探し回ってくれていた
なにも知らないマツオさん
やっとトラ箱から解放され
家路につく途中
近所のおばちゃん達に遭遇
「あんた!なにやってんだい!
奥さんと赤ん坊が死にそうなんだよ!
早く産院へ行きな!」
と怒鳴られ
産院目掛けて走る走る
何とか間に合い
無事に帝王切開手術
ナホコさん16時間の陣痛から
解放された
桶星も出産経験者なので
その痛みが分かる
よくぞナホコさんは耐え抜いた
尊敬します!
ナホコさんに付き添っていた
叔母(ナホコさんの姉)は
マツオさんが産院の階段を
トボトボと登ってくる姿を見て
大激怒し
「今まで何処をほっつき歩いてたんだい!」
と叫びながらマツオさんに蹴りを入れ
マツオさんは見事なまでに産院の階段を
転がりながら落ちて行ったそうである(笑)
マツオさん自業自得だな(笑)
桶星にとって
誕生日は感謝の日
陣痛の痛みに耐え
殺さずに生んでくれたナホコさんに感謝
急を聞きつけ
マツオさんを探し回ってくれた
深川永代のおばちゃん達に感謝
時は流れ
もう誰もこの世には居ない・・・
なんの役にも立たない人間ですが
それでもお陰様で生きています
あの世の皆さん有難う!!
人は孤独と言いながら
一人で生きて来た訳じゃぁ無い
貴方が気付かない所で
誰かに助けられている
『駕籠に乗る人担ぐ人
そのまた
である
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