第17話 小児ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群とは
尿中に蛋白質が
大量に排出され
血中の蛋白質が減少する病
浮腫み倦怠感が現れ
進行すると
肺・心臓に水が溜まる
また、腎不全や
血栓症を引き起こし・・・。
死に至る事もある
怖い病である。
末の妹が2歳の10月
小児ネフローゼを発症
(桶星は三姉妹の長女)
桶星は6歳
七五三の年である。
(本来、七五三は満ではなく
数え年で祝いをする)
三姉妹揃って
晴着姿で檀家だった
寺へ参拝した。
末妹は
その頃すでに、歩行も困難で
寺内では、私が手を引き歩いた
今でも
その時に撮影した
七五三の写真を見る度に
恐怖を感じる
当時は私も幼く
日に日に変貌する
末妹の姿に
何の違和感も無かった
記念写真に写る末妹の顔は
目も開けない程に
激しく浮腫み
手も
浮腫みで指が曲げられず
寺で貰った
千歳飴が持てない程で・・・。
もう既に
身体全体が
はち切れんばかりに
浮腫み切っていた・・・。
(そこまで子供の病に
気付かない我が両親・・・)
夜は、
プロの板前に出張いただき
自宅で
親戚・ご近所さん・従業員さん
沢山の人が来て
お祭り騒ぎの祝宴
嵐のような一日だった。
翌日・・・。
学校から帰宅すると・・・。
母が・・・居ない
末妹も・・・居ない
その時に初めて知った
末妹が病で・・・。
死ぬかもしれない・・・と。
三人揃って
晴れ着姿で写真を撮ったのも
皆を集めて祝宴を開いたのも
両親が
最後の思い出作りの為に・・・。
母は、
治療の為に入院した
末妹の付き添いで
3ヶ月間・・・。
母と末妹が居ない・・・。
寂しく暗く悲しい日々
何度か父が
見舞いに連れていってくれた
父は末妹の為に
縫いぐるみや
おもちゃを持参して・・・。
ある時、
ちょうど夕飯時で
メニューは
クリームシチュー
凄く、いい香り・・・。
母の留守中
桶星家の食卓は
デリバリーばかりで
(当時のデリバリーは
蕎麦屋かラーメン屋)
私は、
その「クリームシチューが食べたい」
と駄々をこね、
食べさせてもらった・・・。
不味い
味がしない
何の味もしない・・・。
急に悲しくなった・・・。
末妹は、
毎日、病院で
ベットから下りて
歩くことも許されず
食事も
こんなに不味い物を食べているのか・・・。
可哀想に・・・。
それまで私は
母を独り占めにしている末妹に
少しだけ腹を立てていた
だが、それからは・・・。
寂しさを我慢する、
のではなく。
ひたすらに
末妹の病気が治る事を祈った・・・。
家族の誰かが
病に倒れる
という事は
本当に大変なこと
病の当人も辛いし
支える家族の苦労も・・・。
母も
幼い末妹に
24時間付き添い
さぞ、
体も心も疲れただろう。
3ヶ月の入院治療を経て
末妹は無事に退院できた。
入院先の病院に
当時は稀少な
元大学病院の泌尿器科医が
勤務していた
奇跡の出会いだったと思う
ネフローゼ症候群は
泌尿器科の分野ですから
勿論、
その医師は
ネフローゼ症候群に詳しく
スムーズに治療して頂けた。
感謝!である。
その後、
末妹は再発すること無く
無事に成人し
7人の子宝に恵まれた・・・。
7人・・・。
後遺症が残ったのは
私だった・・・。
3ヶ月間・・・。
毎日デリバリー・・・。
それ以前は瘦せていて
「骸骨」と
ガキ共(同級生)に
言われていたのに・・・。
見事に太り
以降は
「デブ」
と揶揄された・・・。
そして・・・。
長きにわたり
デブ人生を歩ことに・・・。
何でだ!
そこはしっかりと
栄養管理してよ
我が父よ・・・。
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