第16話  真夜中の争奪戦

飼い猫❝ミー❞は

よく私と夜を共にした。


就寝時になると、

私の部屋にやって来て

布団を捲ると

中に入って寝る


猫も10才を過ぎると

すっかりオバサン化して

図々しくなる。


彼女は

『枕を当てたい』

ので、

私は、

枕の端を分け与える


枕を当て

大満足で

就寝なさるミー様。


寝るのはいいが

一夜を共にした翌朝は

必ず私は畳の上で

朝を迎える


そして、ミーが

私の布団の真ん中で

私の枕を当て寝ている

のうのうと寝ている


冬の寒い朝

畳の上で目を覚ますのは

悲しい・・・。

これは非常に悲しい。


これが連日続くと

情けなくなる・・・。


なぜ布団の主である私が、

畳で寝なくてはならない!

なぜ飼い猫が布団の主になる⁉

可笑しいだろ

変だろ

納得できない!

毎朝毎朝

寒いんですけど!

一体全体どういう事⁉

私、そんなに寝相が悪いの?


ある日、その謎が解けた・・・。


いつものように

ミーと寝ていた・・・。


夜中に

違和感を覚え

目が覚めた・・・。


その違和感とは

誰かに押されている感じ


その誰かとは・・・。

ミーだった・・・。


四本足で

私の体を

グイグイと押している・・・。


その時すでに

私の体は・・・。

半身が畳の上・・・。


そのまま寝たふりをして

ミーの動向を注視。


ミーは、

どちらかと言うと

小柄な猫様である。


だが、

押してくる力は

半端ねぇ!

押されてる

脇腹と二の腕・・・。

けっこう痛いんです。


熟睡中に

これをやられたら

もう、されるがままで

そりゃ畳に着地しますわ。


私を布団の外へ追いやり

ミーは

『やれやれ

一仕事終えましたわ』

感を醸し出し

満足そうに

布団のど真ん中で

枕を独り占めにし

寝始めた。


おい・・・。

ちょっと待てやぁ・・・。

人様の布団を

奪取して

なに、

『やれやれ』顔をしてるんですか?


私は眼を開き

キッ、とミーを睨み付け

「ミー・・・何してんだよ」


ミーはメチャ驚いて

私の眼を見つめている。

爆睡こいてると

思っていた私が

『まさか起きていたとわ~』

ってな感じでしょうね。


悪事は必ず露呈するのだ!


私が

「いつも、そうしてたんだ。

そうやって私を布団からだしてたんだ」


ミー、目をそらす・・・。

『私は知りまっせ~ん』

と惚けている。


しかし!

現行犯ですから!

ちゃんと見てましたからね!


「二度とするなよ!」

と言い聞かせ

ミーを布団の端へ追いやり

私は布団を無事に奪還。


これで二度と

畳の上で目覚めることは無い

と安心して眠りについた。


そして朝・・・。


畳の上でめがさめた・・・。


ミーは布団の真ん中で熟睡・・・。


悪事がばれても

なお人様の布団を奪う

なんてぇ図々しさだ!

なんてぇ奴だ!

猫の風上にも置けない!


私は事の仔細を

泣きながら

母に報告

家族で一番怖い人に

ちくってやったぜ

ケッケッケッ。


(考えてみると、

ミーの偉い人順位で

私はミーと同等か

ちょい下だったのかも?

だから、数々の仕打ちを

されていたのかも⁉)


母は、

ミーの為に

猫サイズの

敷布団と掛布団と枕を作ってくれた。


早速、私の布団の隣に

ミー専用の寝具を

セッティングして

仲良く夢の中へ

めでたしめでたし。


そして翌朝

私は畳の上で目覚め

ミーは・・・ミーは


当然の如く

私の布団のど真ん中で

気持ちよさげに

寝ている!


キィー!

腹立つー!


母に再び報告


ミー・・・。

母に首根っこを掴まれ

説教を喰らう。

ざまぁみろ。だ。


ミーは99%の

日本語を理解しているので

(たぶん。ですけど)

それからは、

布団を奪われずに

平和に暮らしました。


噓です・・・。

確かにそれ以降

布団は奪わなかったけど・・・。


ミーと私の生活は

平和と紛争の

繰り返しでした。


その話は、

またの機会に。












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