第11話 息子「巨乳」と連呼する!
息子、小学1年生
夜、桶星に連れられ
コンビニへ。
そのコンビニは
レジ横に
《ソフトアイス》
マシーンが置かれ
注文すると
店員さんが作ってくれる。
そのソフトアイスに
新しいメニューが登場!
《巨峰ソフトアイス》
桶星は
『あぁ、こりゃ息子が買ってとねだるな』
と直感した。
息子は葡萄が好物
まともには、葡萄と言えず
「ぶっど」と発するくせに
生意気だ。
そして、
巨峰が一番好きなのだ。
だが、息子は2歳から
小児喘息を患っている。
お菓子などで
余分なカロリーを
摂取しすぎると
喘息発作を起こしてしまう。
我が家では
息子が中学生になるまで
スナック菓子など
食べさせていなかった
無論、
アイスクリームもである。
息子
レジ横のメニューに
くぎ付け・・・。
桶星は
息子が
ねだる前に
店の奥に避難
すると・・・。
とんでもない・・・。
恥辱を・・・。
受けることに・・・。
店の奥にいる
桶星を目掛けて・・・。
「買ってー」
ほら、やっぱり始まった。
「買ってー」
無視!
「買ってよ!巨乳のアイスー!」
はいっ?
私の耳が
不調なの?
「買ってー!巨乳のアイスー!」
と叫びながら
近づいて来る・・・。
店内には
他にも客が居る
何人も居る・・・。
無視だ!
私は、あの子を知らない!
知らない子が
叫んでいるのだ!
見るな
息子と
目を合わせるな!
全力で
他人の振だ!
なのに・・・。
息子は・・・。
桶星の隣で止まり
桶星を見上げ
「買って!買って!
巨乳!買って!
ねぇ、巨乳ー!買ってー!」
あぁ、感じる・・・。
周りの視線・・・。
もうダメだ
他人の振りは
もはや通用しない・・・。
桶星は
真っ直ぐ
商品棚を見つめ
微動だにせず
震える声で・・・。
「そんな物は、売ってません」
息子・・・。
しばらく沈黙
そして
大きな声で
「あっ!まちがえた!
巨乳じゃなくて巨峰だった!」
そうだよ!
全然違うよ!
やれやれ
分かってくれたか
と安心しては
いけなかった
甘かった。
さらなる恥辱が・・・!
桶星に襲い掛かる・・・!
息子
目を輝かせながら・・・。
「巨乳なんて言ったら、
男が喜んじゃうよねっ!!」
何故!
そんな事を!
大声で!
店内に響く声で!
言う⁉
そして・・・。
何故・・・。
男が・・・。
巨乳を・・・。
喜ぶと・・・。
知っている・・・⁉
小学・・・。
1年生・・・。
気が付けば
周りの人たちが
肩を震わせ
笑っている。
必要な物があり
コンビニへ
買いに行ったのに・・・。
そのまま
息子の手を引き
店を後にした・・・。
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