第12話 ランドセル事件 Part1
息子は誰に似たのか・・・。
母、桶星から見たら
”のんびり”したところが有る。
いや・・・。
Going my way
な子供に出来上がった。
桶星の実家は自営業
私も家業を手伝っていたのだが、
息子を産んでからは
ほぼ育児に専念した。
両親からは度々
「早く保育園に入れて
仕事に専念して欲しい」
と言われていたのだが・・・。
どうしても、
3歳までは手元に置いて
一緒に過ごしたかった。
その理由は・・・。
自分の幼児期の体験・・・。
父が起業したのは
桶星が1歳半。
お陰様で事業は順調
順調だと従業員も増える
昭和の頃は
仕出し弁当業者が少なく
毎日、昼食を
母と家政婦さんが
せっせっと作り
従業員さん達に食べさせる。
子供は後回しだ。
これは辛かった。
桶星は幼い頃
今では信じられないほどに
食が細かったのだが
たまに、滅茶苦茶腹が減り
我慢できない時がある
目の前にご飯は有るが
皆が食べ終わるまでは
おあずけ状態。
辛いもんですよ・・・。
そして、
寂しい思いもしていた。
周りに大人が沢山いても
皆、忙しくて
誰も構ってくれない。
だから一人で
ぐるぐる回って
目を回し
「キャッキャッ」
と笑って喜んでる
傍から見たら
実に頭が残念な子・・・。
となる。
以上の幼児期体験から
息子が生まれた時に
固く心の誓った二つ
一つ
ひもじい思いはさせない。
一つ
寂しい思いはさせない。
だから3歳までは
公園に連れて行ったり
動物園に遊園地も
一緒に出かけた。
(桶星は一度も親に
公園に連れて行かれた事が無く
公園での遊び方を知らなかった)
3年間も息子と
昼夜共に過ごしたのに・・・。
どこで育て方を・・・、
間違えた・・・?
謎である。
さて、その息子が小学生時代
”登校班”なるものが有り
近所の1~6年生が
毎朝、仲良く
並んで登校する。
(私も、登校班で通った。
これは、全国共通なのか?)
息子は面倒なこが嫌いだ。
(桶星も同じ)
仲良くもない者と
集団登校する必要性を感じない。
(桶星も同意)
3年生になると
家を出るのが遅くなり
班では無く、
一人で登校するようになっていた。
(桶星もそうでした)
それでも、
息子4年生になり
登校班では
2番目に高い学年。
仕方ない。
誰かがやらねば
下級生の見守り・・・。
そこで息子に
「いつも、家を出るのが遅い
早く班の集合場所ね行って
下級生の見守りしないと」
『下級生を守る』
のワードが
一人っ子である息子の心を
鷲掴みにしたようで・・・。
翌朝
いつもは朝グズグズの息子が
テキパキと支度をし
朝食を食べ始めた
桶星は
台所で用を済ませていた。
息子が
「#%#*@$#」
と何かを言った
と同時に玄関から
ドアが閉まる音
まだ登校班の
集合時間には早すぎる
ダンゴ虫でも採取に行ったのか?
外に探しに出てみる
息子・・・。
居ない・・・。
家の中を見たら
ランドセルは・・・。
有る。
まさかと思うが・・・。
いや、まさか・・・。
でも・・・。
いやぁー、まさかねぇ・・・。
恐る恐る
登校班の集合場所へ見に行くと。
息子が居る・・・。
両手を腰に当て
仁王立ちしてる
ああぁ~・・・。
「息子」
と呼んでも
何故か無視。
「息子ー!」
と大声で呼んだら
「なんだよ」的な顔で
振り返り、
私を睨む・・・。
お前に睨む資格はない!
「息子。ランドセルは?」
その言葉で
息子・・・。
右肩越しに背中を確認
次は左肩越しに確認
何故、二度も確認する?
意味が分からん!
そして、
「あっ!ランドセルが無い!」
無いじゃあ無い!
はなから背負ってないんだよ!
言われる前に
いな、家を出る時に
分かれよ。
気付けよ。
桶星が持参したランドセルを
息子に背負わせ
事なきを得た。
桶星が気が付かなければ
間違いなく
息子は
手ぶらで登校してましたね。
まったく・・・。
誰に似たんだか・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます