第9話 反社VS.ナホコさん

桶星が中学生時代のお話。


ナホコさん(母)の古いお知り合いが

「ビジネスの話しで、紹介したい者がいる」

とⅠ県から、男を二人連れて来た。


スーツ着てネクタイ絞めてるけど

どう見ても堅気かたぎじゃぁ無い


父は27歳で起業し

小さな町工場のシャチョウさん

従業員30名程の

ほんとに、小さな会社だ。


従業員の中には

若い頃にヤンチャして

紋々(刺青)背負ったオジサンもいるし

大きい声じゃぁ言えないが

親戚にヤックゥザーの伯父もいる


要するに、

桶星家では

反社会的な方々を

全く恐れていないのである。


ビジネスの話しとは・・・、

「売りさばいてやるから

品物を500用意して俺に預けろ」

なんと素晴らしいご提案!


んなわきゃ~ぁ無い。

詐欺ですよ。

預けた品を持ってドロンする

初歩的な手口である。


品とは”金庫”です。

その頃、父は

金庫製造業を営んでおりました。


そんでもって、

「〇〇組」なんて

ご親切に組の名前まで出して

脅かしてくる始末


しいっかしーし。

父は媚び諂う事無く

けんもほろろで

あっさりと、お断り

「うちは大手と契約しているので

小売の必要は無いんです。

お引き取りください」


反社の方達は

大人しく帰りましたよ

その日はね・・・。


事件は次の日に起こった・・・。


授業の終わった桶星が

一人歩く帰り道・・・。


家の前に

見知らぬ安っぽい車が止まっている。

その見るからに、”安っぽい車”

の横を通り過ぎようとした時・・・。


運転席の窓が開き

男の人が桶星えお見ている

その汚い顔は・・・。


あっ!この汚い顔は

昨日の田舎者ヤ〇ザだっ!


汚い顔でニヤニヤと笑い

更に汚さが増している

その隣、助手席には

汚い顔の舎弟が座っている。


あろうことか、

その汚いニヤニヤ顔で

話し掛けてきた。


「いま帰りか?」と・・・。


はぁん!!

なに話し掛けてんだよ!

この田舎ヤ〇ザが!

気安く話し掛けるなよ!


汚い顔は

明らかに、こちらをビビらすのが目的である。


ニヤついた顔で

ビビらせようとは

笑止千万!である。

なんだ!そんなことで

この私が

怖がって泣くとでも思ったか⁉


それは逆だね。

逆効果だね。

はい!残念でした!


なめてんじゃねーぞ!

おらぁおらぁおらぁー!


桶星、怒り心頭・・・。

思い切りでかい声で

Maxに怖い顔で

「はっあー!!」

と、汚いニヤ顔オヤジを睨み付けてやった。


汚いニヤ顔オヤジは

呆気に取られていた。

ざまあーやがれだ。


だが急に不安になった。

二人の妹・・・。

私は、たまたま学校が早く終わり

いつもより早い帰宅。

妹達は戻っているのだろうか


慌てて玄関を開いて

靴を確認

無い・・・。

妹達の靴が無い!


大きな声で

「お母さん!妹達は⁉」

母、反応なし

再び大声で

「お母ーさん!妹達は!」


何事⁉と母が現れ

「まだよ。どうしたの?」

大変だ!妹達を守らねば!


私は母に

「昨日の奴らの車が家の前に

止まっていて、声を掛けて・・・」

と桶星が言い終わる前に

母はサンダル引っ掛け

外へ猛ダッシュ


一人取り残され

玄関で立ち尽くす桶星。

そして外から聞こえてくる

母の怒涛の怒鳴り声・・・。


「あんた達ー!!ギャーギャーギャー

ギャーギャーギャーギャーギャーギャー

ギャーギャーギャー!じゃないわよ!!」

そして、車の走り去る音。


何を言っているのか・・・?

聞き取れたのは、

第一声の「あんた達!」と

閉めの「じゃないわよ!」

だけである。


怒鳴り過ぎて

肩で息しながら

母が戻ってきた。


「いい、また声掛けられても無視するのよ」

えぇ~、マジでぇ~。

次は学生鞄の角で

鼻をぶっ叩いてやろうと考えてたのに~。


あぁ、こんな事なら

さっき、やっときゃ良かったよ。

後悔先に立たず

である・・・。


汚い顔の反社オヤジ達

旦那が駄目なら

女房子供を脅して

言う事をきかせよう作戦失敗

二度と現れることは無かった。


ナホコさんは、

お嬢様育ちで

乳母の乳を飲み

婆やにお着替えしてもらい

姉やにおぶさり

大きくなった

怖いもの知らずのお嬢様


こんな事もありました・・・。

小泉元首相が

郵政大臣の時に

「近隣に郵便局が無く、皆が不便をしている

是非とも郵便局を建てて欲しい」

直接、小泉大臣宛に手紙を出した。


3ヶ月程したら

「小泉郵政大臣の秘書です」

と、わざわざ秘書さんが

母に会いに、訪ねて来られた。


ちょうど母は留守で

応対に出た父は

「あぁ、またナホコさん、何かやったんだな」

と呆れたそうである。


そして

ナホコさんの要望通り

近所に郵便局ができたとさ。



     さてさて、

     反社VSナホコさん

   文句なく、ナホコさんの圧勝!




























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