第3話 ロケット花火はダメでしょ!
我が家の父は、お茶目さん・・・。
我が家の父は、寂しん坊さん・・・。
そして・・・。
時々、度が過ぎる。困ったちゃん。
ある朝、実家の妹から電話。
(その頃、桶星は一回目の嫁ぎ中)
「お姉ちゃん!昨夜、お父さんが花火を上げた!」
それがどうした?オジサンだって花火やるでしょう。
「家の中で、花火を上げた!」
はぁ⁉・・・なんじゃそりゃ!
「私の部屋が、火事になるとこだった!」
おいおい!お父さん、頭がおかしく成ったの?
慌てて実家へ。
チャリ猛ダッシュ。
妹から事情聴取。
話を纏めると・・・。
父は毎晩、晩酌をする。
でも寂しん坊だから、家族の誰かが、父にお付き合い。
しかし、此のところ誰も構ってくれない、寂しい日々。
妻は構ってくれない。
娘達は構ってくれない。(桶星は三姉妹の長女)
そして父は考えた・・・。
どうしたら娘達の気を引けるか・・・。
そして思いついた・・・。
花火を上げて喜ばせよう。と・・・。
そして家に有った花火セットの袋から、
花火を一本取り出し、娘達の部屋へ。
ガラッ!と勢いよく扉を開けて
「ほーら、花火だよー」
幼児じゃぁあるまいし。
社会人と大学生が
「わーい。花火だ~」
なんて言う訳がぁ無い!
妹達は
「だからなに?」
と相手にしない。
当たり前の反応である。
それでも負けない父(実に意思が強い)
娘達を喜ばせようと・・・。
花火に点火・・・。
しかし、それは普通の花火では無かった。
それは・・・。
こともあろうか・・・。
ロケット花火!
そして三連弾!
ビューン・ビューンと飛び出すロケット。
部屋の中を飛び交うロケット。
妹達は頭から布団を被り防御。
そして「ギャーギャー」と
阿鼻叫喚・地獄絵図。
点火したらば止まらない。
そのまま最後まで飛ぶロケット。
娘達を喜ばせて、構ってもらう思惑は。
娘達を恐怖のズンドコに陥れ。
娘達の怒りを買う始末。
父はと言えば・・・。
まさかロケット花火とは思わずに点火。
飛んで行くロケットを呆然と見つめる。
現場検証。
窓の障子の桟が折れている。
壁に焦げ跡。
そりゃそうだ、六畳間の狭い部屋で
至近距離で打上げたのだから。
花火セット袋に書いてある。
『花火は人に向けてはいけません』
いや!そもそも!
家の中で点火してはいけません!
もし直撃していたら。
嫁入り前の娘に怪我をさせていた。
さすがに桶星も怒りますよ。
ここは長女として
父にビシッと注意喚起しなくては!
父の部屋のドアを
ドンドンと叩き
勢いよく開けて。
「お父さん!・・・」
父は無表情で
シュンと肩を落とし・・・。
無言・・・。
ピクリともしない。
猛反省してますアピール。
その姿が可笑しくて
桶星は肩を震わせ
笑いを堪えた。
「お父さん!」
の次の言葉に勢いは無くなり。
「ロケット花火はダメでしょ」
と静かに言い、ドアを閉めた。
いや違う!
違うぞ桶星よ。
注意するのはロケット花火・・・。
では無い!
それでは、線香花火はOKになるぞ!
だがその後・・・。
二度と父が家の中で
花火に点火することは無かった。
この一件。
母の反応は、と言うと・・・。
「ふっん!」
とだけ。
「馬鹿馬鹿しくて、関わりたくも無い!」
オーラを全身から垂れ流してました。
母強し・・・。
なのかぁ・・・?
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