第6話 犬派?猫派?のご質問

よくある質問。

人生で一度は尋ねられる質問。


犬と猫、どっちが好き?

  

それで何が解るのか?

何の目的の質問なのか?

不思議だわぁ・・・?

   

私は、両方とも好きでございやす!


幼い時から、犬も猫も飼ってきました。

(今は居なくて寂しい)


2才頃から3才位まで飼っていた犬さん、名前は″エス″。


『2才の頃なんて、覚えてないだろう』と思うでしょ。

それが私、記憶が有るんですよぉ

両親も驚いてました。

 

そして、初代エス

(後に飼った犬も、エスと名付けたので、初代エス

 名前の由来は知りません。

エスって、なんですかねぇ?)


エスは幼い私が、背中に跨いで乗れる程の大きさで、黒色のワンコ。

耳を引っ張っても、顔を叩いても、尻尾を引っ張っても怒らずに、

 

 ※あっ!虐待ではありません!仲良く遊んでたのです!

幼児ですから、ペットの正しい取り扱いを未学習だったので。


いつも私を見守ってくれる、優しいお兄ちゃんワンコ。


ある時、人生初の板チョコを貰って、

縁側に座り食べようとしたら

エスが、私をジッと見つめるので

「食べたいのかなぁ?」と思い、

チョコを割ってあげたら、口から落としてしまった。

 

私は、再びチョコをあげる、

エスは口から落とす。の繰り返し・・。

母に「あらあら。チョコレート、もう無いじゃない」

と言われ手を見ると・・・

無い!チョコレートが、なーい!


あげる・落とす。あげる・落とす。

を繰り返したら、いつかは無くなる。

そんな簡単な原理も、幼い脳では解らない。

ただただ、自分の空っぽになった手を見ながら、泣く私。

 

いま思えば・・。

 チョコレートは犬にとっては毒。

もしかしたら・・・、

エスは私に毒を食べさせまい、としてくれたのか?


「それ食べたら死んじゃうよ!」

と幼い私を守ってくれたのか?

有り得ない事ではない。

エスにとって私は可愛い妹だったんだもの。

と信じたい。

エスの逆襲⁉ では無い! 

と信じたい・・。


――――――――


エスと同時期に飼っていた、猫の”ミコ”ちゃん。


私はミコが、大好きだったのだが、

記憶が途切れ途切れ・・・。なのでは無くて。

ミコは、阿婆擦れ娘で、しょっちゅう無断外泊。

そして数日は帰らない。

別宅が有ったのか?謎⁉


阿婆擦れミコは、悪さも酷く

父が怒って外に放り出す。

放り出されたミコを探しに行くと・・。

決まって庭に有る、エスの小屋の真ん中で、

エスの腹を枕に、丸まり、ふて寝している。

優しすぎるぞ、エス!


ある日、障子紙が綺麗に張替られていた。

それを見た私は・・・

いつもミコがする悪さを真似したくなり・・。

   

やりました・・。

指で障子に。穴あっけっ穴あっけっ!

一発目は躊躇したが、一度やれば怖いもの無し!ですぜっ。


「これは、楽しい。ミコは何時も、こんなに楽しい事してたのかっ」

てなもんで、プスプスと穴をあけてたら。

悪事はバレる・・・。※良い子は真似しないでね。


母がやって来た。

「見られたー。𠮟られるー」

と焦る私。


「この穴、誰が開けたの?」

私は障子を見つめたまま。

「ミコちゃん」 

すると母は大笑いしながら。

「ミコは、今お家に居ないわよ」

そういえば、最近、見かけてない・・・。


母からは、𠮟られませんでした。

その代わり・・・。

後々まで、この一件を笑われましたけど。

大人になっても笑われてた。ハズイ。

  

 これは2才の時の話しです。

そうです!

人間は僅か2才にして、

己の身を守る為に噓をつき。

他人に濡れ衣を着せる技を使うのです!

なんと恐ろしい事でしょう。

 

――――――――


これも、恐ろしい話しなのですが・・・。

  

私は幼少期からインドア派で、

いつも一人で遊んでいてました。

  

その頃のマイブームは。

両手を広げてグルグル回って目を回す。

  

これが楽しくて、

目を回して「キャッキャッー」と喜ぶ。

  

子供ってやつは、

なんでそんな事が楽しいのやら? 謎!



その日、毎度の如く一人グルグルを満喫してたら、

ミコがやって来たので

「ミコにもグルグルしてあげよう」

自分では、ミコを楽しませてあげるナイスアイデア!

と思って・・・。

  

ミコの脇に手を添えて、グルグルしたけど・・・、

何せ幼児だから、上手く回れない。


「これじゃぁ、ミコが楽しくない。もっとグルグルしないと」

丁度よく(ミコには丁度よく無い)

透明のビニール袋が目に留まり。

その袋にミコを入れ、

袋の端を掴み、

グルグル回った。

いつもより、張り切って、

倒れこむまで回ってあげました!

    

そして、ミコを袋から出したら・・・。

フラフラして、真っ直ぐ歩けないミコ・・。

「こんだけ回ったら、きっとミコは、満足して喜んだなっ」


私は、ミコを楽しませてあげられ

大満足だったのですが・・・。

   

それ以来・・・。

ミコは、私に近づかなくなりました・・・。

    

大人が考えれば、当然わかる。

猫への迷惑行為!


あれは・・4歳ごろだったかなぁ・・・。


※名誉の為に念押ししますが。

以上の話は、幼児がしたことです!

今は、そんな恐ろしい事しません!


――――――――


ミコは、いつの間にか我が家から消えてしまいました。

人目につかない、何処かで天に上ったのか?

それとも、別宅にシフトチェンジしたのか?


エスは・・・。

これは、書くのを迷ったのですが・・・。

事実を書きます。


エスは・・殺されました・・・。

 庭から脱走して、近所の畑を荒らし。

 怒った、畑の持ち主さんが、

 肉の中に、毒を入れ、

 エスは、その毒入りの肉を食べ・・・死にました。


「犬が、俺の畑で死んだから、取りに来い」

 と言われ、父が引き取りに行くと・・・。

 辺りには、エスが、もがき苦しんだ跡が残っていたそうです。

 畑の持ち主は、

「お前ん家の犬が、悪さをするから、毒を食わしてやった」

と・・・。

父は、何年たっても、その時の事を悔しんでいました。

「一言、言ってくれたら、外に出ないように気を付けたのに。

あんな惨い殺し方をするなんて・・・」


遥か、昭和の話です。

今、この事実を書きながら、涙が止まりません。

胸が・・苦しい・・。

     

もっと、エスと一緒にいたかった。

もっと、遊びたかった。

もっと、慰めて欲しかった。

もっと、「それは危ない。ダメ」と注意して欲しかった。

 

今は居ない、黒色で毛並が束子みたいな

私のお兄ちゃん・・・エス。



    

     

  


       
















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