第66話 「会話文」と「地の文」のバランスというお話。

 ◆2023.01.03朝時点のレポート:


 https://kakuyomu.jp/users/hyper_space_lab/news/16817330651434835742


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 ◆「カクヨムコン8」時空研日報――2023.01.03


 https://kakuyomu.jp/users/hyper_space_lab/news/16817330651433875997


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 本日は「創作論」ぽいテーマについて論じてみようかと。たまにはね。


 創作にはいろんなタイプ、文体があって、どれが良いとは一概に言えない。それはそれとして「一般的に」こうした方が良いと言われる「目安」がある。


 真面目に受け入れようとすると結構面倒くさい。


 いわく、「語尾」の統一(「です/ます」とか「だ/である」とかね)、漢字の「開き方」とか。


 今回は「会話文」と「地の文」の比率とか使い分け方の工夫などについて、自分が思っていることを語ってみたい。逃げを打つようだが、「正しい」とか「正しくない」とかではなく、自分はこれが心地よいとか、こういう工夫をしているよというお話である。


 参考の一つにしていただけたら幸いである。


 ◆さて、最初のテーマは「会話文」と「地の文」の比率である。


 これは作品のジャンルとか読者層、媒体等によって変わって来るのであろうと思うが、一般の小説では会話が2割、ラノベで会話が3割くらいが平均であるらしい。


 意外にラノベでも地の文章が多いのだなという印象である。


 好みによるのだろうが、会話文でやり取りさせた方がテンポが良くて読みやすいという声も目にする。


 地の文章を多くすると、どうしても説明調になって内容が重くなるということはあると思う。それよりドラマ(の台本)のように会話で話を進めてほしいという読者も存在するだろう。


 特にスマホ画面で長文を読むのはつらいという事情がある。


 個人的には「会話でできる表現、展開は会話文の中で行う」ことを意識している。何も考えないと地の文がだらだらと長くなってしまうので。


 ◆次は会話文におけるテクニックのお話。


「今日は寒いね」


 たけしは言った。


「本当だね」


 みっちーは言った。


 ◆◆◆


 4行文章を書いた。2行が会話で2行が地の文。

 ここで地の文の役割は、「発言者が誰であるか」を示すことしかしていない。


 これはたとえば最小限の変更でこうなる。


 たけしはみっちーに言った。


「今日は寒いね」

「本当だね」


 ◆◆◆


 1行地の文が削れる。たけしが「本当だね」というわけがないし、断りもなしに第3者が会話に入り込むことも無いので、2番目の発言は言わなくてもみっちーの物だとわかる。


 この会話の主体が誰であるかを読者に分からせるというのは、なかなか重要なテーマである。書き手にとっては自然な流れであっても、読者の頭の中に同じ「発言順」が再現されるかどうかは微妙な問題であったりする。


 そこで、自分や相手を指す代名詞や語尾、用語などに特徴を付けて、このセリフはこの人ですよーという紐づけを粒立てる手法が存在する。


「ウホッ、今日は寒いねー!」

「ホントね」


 ◆◆◆


 たとえばこんなことをやると、普通の人は「男」→「女」という発言順だと解釈してくれるだろう。「ウホッ」っていう女の人が身近にいない限りはね。


「僕」と「ぼく」、「ボク」を使い分けたり、「君」、「きみ」、「キミ」を使い分けるのも上手くやると個性を表わしたり、主体を紐づけするのに役立つ。


 方言やせりふ回しの特徴とか、ボケとツッコミの役割分担とか、「パターン」を作って読者に覚えてもらうと、長い説明をしなくても理解してくれるようになるのではなかろうか。


 ◆構造としてのリズム感。


「お前アホだな」

「アホって何だよ!」

「アホだからアホって言ったんだよ」

「アホ、アホ言うなよ!」


 たけしと次郎の言い合いは延々と続いた。


 ◆◆◆


 こんなしょうもない情景描写があったとする。ここで示したのは会話と地の文の比率である。


 文字数はともかく、「会話=4行」で「地の文=1行」となっており、比率で言うと会話8割の印象である。


 たぶんこれ以上セリフの比率を高くすると、目が散って読みにくくなるのではないかと思う。「アホ、アホ」うるさすぎるし。


 Web小説の場合スマホで読む読者が多いので、自分の場合は会話のセリフはそれぞれ短くしつつ、セリフの連続は4つから5つ程度までにして、地の文を間に挟むように意識している。


 あくまでも内容次第ではあるが。


 滔々とまくしたてたいセリフや、重ねることに面白みがあるフレーズもあるので、そこら辺は使い分けということになる。


 ◆語尾の使い分けは面倒くさい。


 ラノベの場合、キャラ付のお約束というのがあって、「じゃ」とか「のだ」を語尾につけて特徴を出す場合がある。動物キャラの「にゃ」とか「わん」(?)とかね。


 キャラが被っていない限りは一発で発言者を紐づけできるので便利なのだが、これをやると「結構書くのが大変」である。かな漢字変換が素直に通ってくれなかったりする。


 それでもやろうかというのは、価値観の問題ですな。


 みなさんが唯一無二の文体で名作を物されることをお祈りいたします。

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