第54話 「カクヨム」で短編をやる難しさ。それをちょっと語ってみた。

 個人的には短編小説って好きである。星新一大先生のショートショートとかね。時代小説の短編連作とか、大好き。ミステリーも良し。


 ところがである。


「カクヨム」では短編はヒットしにくい。例外はあるのだろうが、環境的には難しいと思う。なぜか。


 いわゆる「導線」の構造が、短編に向いていない。瞬間的に着火しないのだ。


 ヒットを呼び込む最大の導線が「週間ランキング」であり、2番目が「注目の作品」、3番目が「おすすめレビュー」であるという事実が大きいだろうと推測している。


「短編」は短い。すなわち連載期間が続かない。

 したがって、ランキングに載ったとしてもすぐに完結してしまい、圏外に去って行く。


「注目の作品」にしても同じこと。★が付かないことには始まらない。目に留まらない小説に★はつかないのだ。


「おすすめレビュー」もリピートがない。瞬間的に立ち上がることはあるが、長くは続かないのですぐに作品は埋もれて行く。


 とっても、とっても短編は難しい。


「創作論」の中には、「短編でプロトタイプを発表して、受けが良かったら長編化する」という方法論が論じられていたりする。


 どうだろうか? TV番組ならパイロット版を流して反応を見るという手法は成り立つだろう。そこに一定数の視聴者がいるからだ。


「カクヨム」ではどうだろう? 短編だとわかった上で読みに来る読者がどれだけいるか?


 トップランカーの名前が付いていれば話は別なのだ。「あの人が書く作品なら面白いに違いない」という安心感の裏打ちがある。


 だったら、パイロット版は要らないだろう。


 結局中編~長編の設定で連載をスタートし、受けなかったら途中で打ち切るという苦渋の決断しか対応のしようがないのではなかろうか。

 それにしても、プロットをあっさり捨てられる思い切りの良さと「立ち直り」の良さが必要な戦略である。


 であるからして、個人的には「パイロット版戦略」は「カクヨム」において非効率であると考えている。

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