第五章・神か悪魔か?バイオマシン・ファイター登場〔完結じゃよ〕

第9話・レーダー操作&工作士【ゾード・グラン】

 宇宙船マクロ・クィーンの船橋で、何やら式典のようなコトが行われていた。

 床には白い布が敷かれている。

 キャプテン・凱王が咳払いをしてから言った。

「それでは、レーダー操作&工作士 の【ゾード・グラン】〔男性〕が完成させた新システムの公開式をこれから行います……ゾード・グラン先生どうぞ」

 どこか、神々しい雰囲気を漂わせた魔導師のような格好をして、頭にウサギ耳のカチューシャを付けた男性が、手元の機械を操作すると──白い布が盛り上がり、床から何か大きなモノがせり上がってきた。

 身長を越えるほどの高さまで上昇してきた物体に、かかっていた布を看護士のフォン・ラーゼと弾道計算士のレイ・ズーナが剥ぎ取ると、布の下から両目を閉じた、巨人女性戦士【ガイ・クィーン】の首が現れた。


 凱王が言った。

「床から女の顔が出た、魔導は成功だな……ゾード先生」

「魔導じゃありません、これは科学です……機械の頭蓋骨を床から出す時に同時に高分子粒子の膜をムニュとコーティングして、三次元立体映像を参考に復顔しているんです……それに、ボクは先生って呼ばれる年齢じゃありません……魔法使いみたいなローブの格好はしていますけれど……これは趣味です」


 床から現れたガイ・クィーンの目蓋まぶたがピクッピクッと動いて、巨人の女戦士は目を開けた。

「ここは? わあっ、なんだコレ 床からあたしの首が生えている?」

 ゾードが、コントローラーのレバーをグルグルと回すと、ガイ・クィーンの頭もグルグルと回った。

「わーい♪ 回る回る目が回る♪ ってやめろぅ!」

 回るのが止まったガイ・クィーンの首がブツブツと、何やら呟きはじめた。

「あの通路を歩いていた、マシン・ファイターいったいなんなんだ……パイロットの後ろに一回り大きい小マシン・ファイター、その後ろに中くらいのマシン・ファイター、最後に大きなマシン・ファイターが歩いていて。パイロットの体が小マシン・ファイターに入って、小が中に、中が大に入って……見る見る変わる姿こそ……ブツブツ」


 剥がれ落ちた脳ミソの塊がグルグル回っている感覚で、ガイ・クィーンのブツブツは続く。

「人間と同じサイズで、二頭身のあのマシン・ファイターたちなんなんだ? ガラッと姿が変わって巨大化したぞ非常識なマシン・ファイターだ……ブツブツ……どすこい」


 ガイ・クィーンの脳ミソが振動を続けている、どさくさにキャプテン・凱王が次に出撃するマシン・ファイターを訊ねる。

「惑星Zー5に最適のマシン・ファイターは?」

「あーっ、あの星は邪神信仰していて。邪神を復活させようとしているから…… 超獣人雷鳴らいめい【エンキドゥ】でいいんじゃない」

「最初に四つ足の獣形態で現れて、立ち上がって……プロレス技で敵を倒す、バイオマシン・ファイターか……それで行こう、超獣人雷鳴【エンキドゥ】出撃!」


 頭の中でカラカラ、脳ミソの欠片が転がっているガイ・クィーンが言った。

「あなたたち最低です……ニンゲンヤメマスカ? アポばっかで、丸っ!」

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