第8話・起動! 英雄寝台特急【ヌリシンハ】
マクロ・クィーンから惑星Zー4に投下された、英雄寝台特急【ヌリシンハ】チームのコンテナ内にある屋敷では。
没落貴族で、ついでに王子の称号を持つ青年【ミタ・ナイト】が優雅にティータイムを楽しんでいた。
椅子に座り読書をしている、ナイトの空になったティーカップに紅茶を注ぎながら執事のギャリソンが訊ねる。
「出撃しなくてよろしいのですか? ヌリシンハのメンテナンスは終了していますが? いつでも起動できます……すでに敵がコンテナの周囲に集まってきていますが」
ナイトが長髪を掻き上げて言った。
「焦らなくてもいい……ヒーローは悠然と登場するモノだ……悪党たちだって、そうそう正義の味方の屋敷を攻撃は……」
その時──屋敷が入っているコンテナが、悪党たちのコンテナ揺さぶり攻撃で揺れる。
ティーカップが床に落下して割れたのを見て、怒りの形相で椅子から立ち上がって怒鳴るミタ・ナイト。
「悪党ども、このティーセットいくらしたと思っているんだ! ガキじゃあるまいし、コンテナをマシン・ファイターで揺するな!」
棚から落下した高価な壺が割れたのを見て、逆上するナイト。
「許さんぞ! 悪党ども! ギャリソン、英雄寝台特急ヌリシンハ! 起動出撃だ!」
コンテナの前面が開いて線路が伸びて、
英雄寝台特急【ヌリシンハ】が現れた。
ヌリシンハが変形して、胸部にライオンの顔がついた英雄マシン・ファイターに変わる。
パイロットのミタ・ナイトを援護するため、ギャリソンがマイクを通してコンテナ外にいる悪党たちを威圧する。
《控えおろう! このお方をどなたと心得る、没落貴族のミタ王子なるぞ、頭が高い!》
惑星Zー4の悪党たちは口々に。
「知らねぇな」
「誰それ?」
と、ヒソヒソ話している。さらにキレるミタ・ナイト。
「てめぇら! この胸のライオンの輝きを恐れぬなら、かかって…」
ナイトの決め台詞口上が終わる前に、敵は攻撃してきた。
完全にブチキレる、ミタ王子のナイト。
「一番の見せ場に攻撃してくるんじゃねぇ!」
最終兵器の、黄金に輝く柄が長いハンマーを取り出すと、感情に任せて大地に打ちつける。
「てめぇら! 光りの粒子になって消え去れ!」
悪党たちは打ち下ろされたハンマーの衝撃波を受けて、光りの粒子になって消えた。
勝利宣言をするナイト。
「悪党に情け無用……わたしは、この星に留まり、悪を殲滅するまで戦う」
ミタ・ナイトの言葉を聞いて、マクロ・クィーンのクルーたちは厄介者の排除成功に、手を叩いて大喜びした。
英雄寝台特急【ヌリシンハ】~おわり~
「もう、ちょっとだけ続くんじゃよ」
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