第四章・勇者の列車は遅れてやって来る

第7話・航海士【ファム・バイ】&砲撃士【グラム・ダ 】

 今日も今日とて、立体映像のガイ・クィーンは、キャプテン・凱王を相手に文句を吐いていた。

「なんなんだよ、あの自我を持ったマシン・ファイターの集団『超マシン・ファイター生命体』とか名乗って、船内で派閥作って抗争しているじゃねぇか!」


 三次元立体映像で作り出した断崖の上に立つ、キャプテン・凱王は腕組みをして、女巨人の愚痴を聞いている。

「自我を持ったマシン・ファイターならパイロットいらなくない? トラックや自動車から変形するあいつら、自分たちの勢力を強化するために、同じように自我を持ったマシン・ファイターの勧誘をはじめているぞ」


「どんなヤツを勧誘しているんだ?」

「なんか巨大化する、黄金色をした着火ライターみたいなヤツを仲間に引き込もうとしている……その着火ライターの戦い方がエグい、敵の内臓をつかみ出して握りつぶす……自我を持ったマシン・ファイターなんか、宇宙船から放り出せ! 子供に着火ライター持たせるな」

「まぁ、そう言うな……あの連中はかなりの戦力になるんだから」


 その時──扉が開いて航海士の【ファム・バイ】〔女性〕と、砲撃士の【グラム・ダ】〔男性〕が、イチャイチャしながら入室してきた。


 銀河漂流中に、キャプテン・凱王に拾われたバイが、甘ったるい声で言った。

「キャプテ~ン、惑星Zー4から、マシン・ファイターの依頼ですぅ」


 目元まで覆う、重機の操縦席のような四角いヘルメットをした、グラムがファムの言葉に付け加える。

「レーダー操作&工作士 の【ゾード・グラン】〔男性〕が開発中の例のシステムが近日中に完成するみたいです……完成したら、こんな離れた薄汚い円筒部屋にクルーが来る必要もなくなりますから、この部屋は物置部屋にしましょう」


 グラムの言葉に噛みつくガイ・クィーン。

「ちょっと待て! 今さらっと気になるコトを言ったな、例のシステムってなんだ? この部屋をどうするって?」

 凱王は、話しを反らすようにガイ・クィーンに訊ねる。

「惑星Zー4に最適のマシン・ファイターチームは誰だ?」

「そうだなぁ、あの星は悪党たちが、それぞれ巨大マシン・ファイターで暴れまわっているから…… 英雄寝台特急【ヌリシンハ】がいいんじゃない」


「あの、キザな金持ちのアイツが所有しているマシン・ファイターか……よし、英雄寝台特急【ヌリシンハ】出撃!」


 ガイ・クィーンは、ハッと気づいたように剣を抜き払う。

「ちょっと待て! あたしの質問の答え、無視されたぞ!」

 三次元立体英雄の剣先が、凱王の体を縦に貫く。

 キャプテン・凱王は一言。

「効かんなぁ」

 そう言って剣が刺さったまま、ドヤ顔をした。

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