第6話・激突! 偉大な魔神【ガゼット】VS白い牙・起動戦鬼【ンダム】VS超電導棍【バトラー5】

 惑星Zー3に、三体のマシン・ファイターチームのコンテナが投下される。

 基地コンテナが開いて出てきたのは、曲線ボディが基本の『偉大な魔神【ガゼット】』


 もう一つのコンテナから出てきたのは、直線ボディが基本の『白い牙・起動戦鬼きどうせんき【ンダム】』の二体だった。


 頭部にコックピットがあるガゼット。

 腹部にコックピットがあるンダムが、対峙するような位置で向き合う。

 ガゼットのクリアーカバーコックピットの座席に座っている老パイロットが、ンダムの腹部を見下ろしながら言った。

「こんな所に、てめぇと再会するとはな」


 ンダムのコックピットカバーが開いて、座席に座っていた老パイロットが見上げる。

「まったくだ、まだ生きていやがったか。ポンコツが」

「そっちこそ、さっさと引退しやがれ。ビームガンとかビームセイバーなんて、得体の知れない光学兵器を使いやがって……男は金属の剣と、敵のどてっ腹を貫通する鉄拳だ」


「時代遅れなんだよ、いちいち必殺技名叫ぶのは……なにがミサイル爆パンチだ、てめぇなんかンダムのアッパーパンチ一発で沈む」

「やってみろ! ボディブローでコックピットを変形させて棺桶にして、ヒーヒー言わせてやる」


 ガゼットのボディブローと、ンダムのアッパーパンチがほぼ同時に炸裂する。

 ンダムのコックピットカバーが歪み、ガゼットのコックピットクリアーカバーが、割れて飛び散る。

 ガゼットのコックピットで一度空中に放り出されて、必死にしがみついて落下を免れた老パイロットが不敵な笑みを浮かべる。

「やるじゃねぇか……なかなかいい、アッパーだったぜ」

 ンダムの変形したコックピットカバーを、手で押し開けた老パイロットも不敵な笑みを浮かべる。

「そっちこそ、腹に響く魂のボディブローだったぜ」


 その時──三体目のマシン・ファイター。

 超電導棍ちょうでんどうこん【バトラー5】の五台のマシンが飛び出してきて、空中で合体する。

 やはり、操縦者パイロットが全員老体なので、合体のタイミングがズレたり、合体順番が狂っていたりしたモタモタ超電導合体だった。

 最後に自力で、片方の足首を合体させてバトラーファイブが完成した……合体中に敵に攻撃されるレベルの、老体合体だった。


 全長58メートル、重量600トンの巨体マシン・ファイター、バトラー5を見上げる。


 全長25メートルのガゼットと、ンダムのパイロットが怒鳴る。

「なにしに出てきやがった! 老体合体!」

「合体して、でっかくなりゃいいってもんでもねぇぞ!」

「うるせぇ、悔しかったら複数のマシンで合体してみろ! オレたちの空手を見せてやる」

 超電導の三節棍を構えるバトラー5。


 睨み合う、三体のマシン・ファイターを取り囲んでいる、敵のマシン・ファイター軍団の一人が恐る恐る助言する。

「あのぅ、みなさん仲良くした方が……老人パイロットでは戦闘にムリが、お茶でも飲んでいた方が、年寄りの冷や水という言葉もありますから……」


 若者の言葉に、ブチキレる老パイロットたち。

「うるせぇ! 若造!」

「オレたちを年寄り扱いするな!」

「超電導的な、ノコギリヨーヨーの餌食にしてやる!」


 ミサイル爆パンチが空中を飛び、ビームライフルの閃光が走り、超電導的な竜巻が敵を空中に巻き上げる。

 とにかく、三体のマシン・ファイターはメチャクチャ強かった。

 敵を壊滅させた、老パイロットたちが勝利のポーズを決める。

「オレたちは、まだまだ現役だ……紅の翼で空を飛ぶ」

「これが、老いたゆえの過ちだ」

「たとえ嵐が吹こうとも……惑星の夜明けはもう近い、この惑星は気に入った。オレたちはこの惑星に定住して敵と戦い続ける」


 こうして、扱いが難しい老パイロットたちの世話を姨捨惑星に押しつけるコトに、キャプテン・凱王は成功した。

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