Aktion.7(ゼィーブン) B-Seite(ベーサイテ) あかり日記

 今年の8月は異様なほどイベントがオンパレードだった。


 前半の五條暴走事故に、月末の紀の川放火事件。いやあ、面白いことばかりが起こるのはテクラちゃんが来たからに他ならない。

 そして私はその後始末をする……なんだか自分の首を絞めているとしか思えない事ばかりだ。


 しかーし、この騒動もミーティングでほぼ解決するはず! はずだと思う! うん、はずならいいけど……


 ただ、まだ最大の懸案事項は終わっていない。肝心の「テクラちゃん魔法少女化計画」が暗礁に乗り上げたままだからだ。


 あの強大な魔法の力を何とかしてモノにしたい。けど、何かするごとに事件を起こす。お手上げ状態だ。

 その問題を解決するべく、モモと椎先輩が休憩室に集めて話し合って、色々と収穫があった。


 まず、今のテクラちゃんはどういう状態かということが全くわかっていなかった。

「本当にテクラちゃんが天然物の魔法少女なら、石がなくても変身出来るよね?」

 椎先輩がそう言ったのが目からうろこだった。

 そうなんだよね。自分で〈能力開花〉出来る魔法少女は変身も自分で出来ちゃうんだから、石に頼る必要はないんだよ。なんでそれを気づかなかったんだろう。

 石でアシストするよりも、能力を自分で開花させる対応をしなくちゃいけなかったんだよ。


 京都の総本部からあった話は、単一の石による能力開花と、石の大型化による魔法の力を増大化させる対応方法。これが自身で能力開花出来る魔法少女の対策ですって言われたけど、何か間違った対策だったのではないかと最近思うようになった。


テクラちゃんの能力の高さで石を大型化したらそれこそヤバイじゃん。京都の総本部。何考えてるの?


 そこで椎先輩は懐かしいことを口走った。

「そう言えば昔、天然の宝石で魔法少女に変身出来るって言うウワサ、あったよね」

「ありましたありました! 私、その時ルビー買いましたよ!」

「へえ、そうなんだ。で、変身出来た?」

「残念ですが、ネックレスが外れないので、どちらかで変身出来たのか分からなかったです」

 そうなんだよね。私たちは既に魔法のネックレスをしている。これは魔法の力が無くなるまで外れない。だから宝石のネックレスをしても効果が分からないのだ。

 でもこれ、単なるウワサではなく出来る人がいたというのだ。

 2年前に出版された、元魔法少女の手記とかいう本の中に書かれていたらしい。その内容は、私の郡に自力で能力開花した魔法少女がいた。その子は天然だけあって出力調整が難しい、巨大な魔法を出して制御不能になったかと思えば、全く魔法が使えなくなったり、本当に手に負えないシロモノだった。らしい。



 は?



 これ、まるっきりテクラちゃんそのものじゃん。


 で、これに対処するためにやったことは天然の宝石による出力調整。その子は青だったから、サファイア石を使ったらちょうどいい具合に魔法が使えたそうだ。

 ほおおおおおお、マジですかマジですか。本当に宝石で魔法の能力が使えるんですね。こりゃいい。


 よし! これをテクラちゃんに使っちゃおう。赤だからルビーでいいよね? って椎先輩に話すと、これは私たちで試すから、あかりちゃんは別の方法で試して。なんて言うんですよ。

 えー、私もやりたい-。


 ま、とにかくテクラちゃんを早急に独り立ちさす段階はもう過ぎたと思う。秋に向けて忙しくなる我が郡。これからはじっくり育てていくことにします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゾーンウィッチエイド かいちょう @kaicyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ