Aktion.9(アクティオンノイン) B-Seite(ベーサイテ) あかりの日記
さすがに「天然物の魔法少女」は一筋縄ではいかないわ。私の想像をはるかに超えてくる。
本日テクラちゃんの任命式を行うために橋本警察署を訪れ、無事に任命証書を受け取ることが出来ました。
これで、テクラちゃんはゾーンウィッチエイドの一員になることが出来る「資格」を得られたことになります。
いちおう、全国のゾーンウィッチエイドのどこの支部に所属してもいいのですが、誰にも渡しませんからね!
というわけで、早く入団手続きをしないといけません。早速拉致監禁。じゃなかった。車でご同行頂いて、書類書いてもらうわよー。
ま、今日は順調に行くんじゃないかな。そんなに難しいことしないし。
彼女の要望にも応えて、自己紹介しながらウィッチエイドの隊員の紹介もした。彼女もやる気を出している。もう少し、私の桃の力で強化しておいてあげましょ。だって、赤色には桃の力を与えておいてあげないと、本当にやる気を無くしちゃったらかわいそうだもん。
そして、我が
ぱんぱかぱーん!入団届けが書き終わりましたよ。決済も私のハンコ押して、後は課長に回すだけ! これで晴れて我が団員だ。もうどこにも渡さんぞ!
そして、能力のずば抜けて高い「天然物の魔法少女」だ。絶対にものにしてみせる。師匠。待っていてください!
じゃあまず、飛行訓練じゃー!
なんとしてでも、1ヶ月で飛行能力をマスターしてもらう。(最重要案件よ!)
ここ(五條)から十津川村まで45分以内に到着できる。55分以内に新宮市に到着できる。このふたつの目標を目指してがんばろー!
え? 座学? 座学なんていつでも出来る。そんなことは後回し!
じゃあ私の監督の下、テクラちゃんを大空に連れ出してあげましょう。今まで空は飛んだことがあるけど、魔力酔いを起こした状態で意識がもうろうとしていたからね。意識がはっきりした状態で空を飛ぶと絶対に気持ちいいから。多分クセになっちゃうかもね。人生変えちゃう夏かもね。
…………けれど……
いや、マジで何なの?
まさかここでしくじるとは……
「どうやって変身するんですか?」
「変身って自分でやるもんなん?」
「今までは気づいたら変身してたんで、よくわかりません」
そうか、まさかこんなところでつまずくとは思っても見なかったよ。
確かにテクラちゃん、変身したと言っても、自分から変身した事がないから当然と言えば当然か。
ま さ か 変 身 か ら 教 え な き ゃ い け な い な ん て ……
前にも話したと思うけど、(Aktion.2(アクティオンツヴァイ) B-Site(ベーサイテ) あかりの日記参照)魔法少女の能力開花の訓練を全く受けていないテクラちゃん。
能力開花の時に変身の仕方を習う、というか、訓練するんだけど、それ、今からやんないといけない??? そんな時間ないよ。
実は私も、魔法少女の能力開花は1日で済ました方でした。えっへん。(編者注:だからと言って開花の時間の長短で、能力の優劣の差はありません)
だから、能力開花は実のところあんまりよくわかっていないのが実情なんだな。変身だってすぐに出来たし。
そこで椎先輩登場です。彼女はすごい努力家で、いろんな事を一からやるタイプなのです。基礎。大事。
早速来てもらってやってみたのですが、ダメっぽい。ダメっぽいかあぁ。
でも、今回彼女は諦めませんでした。
彼女も、秋はうちの
柔道場でテクラちゃんを投げます。投げます。投げ飛ばします。容赦ないですね。先輩。
しっかしなんでここまでして変身しないんで…… ち ょ っ と 待 っ て !!!
「ちょ……ちょっと待って、……なんでネックレスが取れんの?」
「このネックレス、外そうと思ったら、外す金具がどこか分からんくなって、外されへんようになっとってん」
「無理矢理切ろうと思っても全然傷すらつかへんかった」
最悪だ……
テクラちゃんのネックレスを見ると、見事に石が光っていない!
初めて会った時、あんなに5つの石全部を光らせていたのに。あの輝きが全くないなんて!
あんなに必死になって魔法少女になるために口説き落としたのに!
暴走事故まで起こすくらいの強い魔法の力があるはずなのに!
石が光っていないということは、魔法少女じゃないって事ですよ。
おかしいよ。そんなわけないじゃん。ちゃんと光ってたし。そもそも、魔法の能力が途中でなくなるって事はありえない。魔法ってなんか特別な力とか思っている人がいるけど、違う。魔法使うのは、自転車に乗るのと同じくらい自然な感覚で出来るものなの。確かに40歳で魔法の力はほとんどなくなるけどさあ、それは老化現象みたいなもので、現役の魔法少女が力を失うって聞いたことないよ…………
どうしよう。
もう絶望していいですか?
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