Aktion.4 (アクティオーンフィーア) B-Seite(ベーサイテ) かずさの日記
本日、私「閃雷の青」かずさは、能力を暴走させた新人ウィッチ、テクラの捜索特務に就いています。
でも、今日は報奨金が出ないらしい。基本的に私たちの特務は「ボランティア」という扱いなので、金銭の授受は発生しない。けれど、行政や民間企業からの要請で出動した場合は、報奨金やら特務手当など、何らかの褒美がもらえるのだ。
けれど、今回は全くないという。少し悲しい。
彼女は、今日私がたまたま特務に遅刻しそうになっていて、本来はダメな時間外飛行をして五條の吉野本部に行く途中に出会ったのだ。
出会った当初、彼女は意識が朦朧としていたようで、すぐに墜落してしまった。一瞬の出来事だったので、私も状況がつかめず、みすみす彼女を川に落とす結果となった。私の飛行能力なら余裕で救えたのに、うかつだった。
ま、彼女のお陰で遅刻の理由もできたし、彼女も一命を取り留めた。ウィッチエイドとして立派に特務遂行できたって褒められたので、これはこれでありがとうってお礼を言っておかないと。
で、そんな彼女をまた捕まえることになるとは因果なものだ。よっぽど相性がいいのかな。
そういえば最初に会ったとき、彼女の魔法能力が開花した直後だったと言うからびっくりである。開花してすぐに飛べるって中々出来ないからね。普通は。
まあ、今後は私たちの仲間になるはずだから、仲良くしなきゃだけど、彼女はウィッチになるのにすごく不満らしい。こんな素晴らしく楽しい能力を開花して何の不満があるのだろう?
普通人が空を飛ぶなんて出来ないよ。魔法少女の特権だよ。
ま、たまーにいるけどね。高所恐怖症の人とかは無理だし。ボランティアということで敬遠する人もいる。あと、ウィッチエイドって結構エグい現場も遭遇するからね。ウィッチエイドの「エイド」は、救助隊を意味するから、私たちの仕事はレスキューだ。なので、危険な場所で作業する時もある。
災害救助の場面では死体を見たりすることもあるらしい。まだ私はないけど、そういう時に遭遇したら、私、きちんと仕事できるかなあ?
そんなことを考えながら紀ノ川河川敷を捜索していると、手を振る団体がいた。
おじいちゃんおばあちゃんのグループで、河原でゲートボールをしているようだった。
私は手を振り返す。魔法少女が飛行中は目立つので、手を振る人が結構いる。まあ振り返すのはファンサービスの一環だからね。と思ったが、少し様子が違う。何か必死に訴えかけているようだった。
とりあえずは降りていって、話を聞いてみることにした。
すると、どうやら赤い魔法少女を目撃したが、どうも様子が変だったと言うことだ。
赤い魔法少女。これ、たぶんテクラちゃんのことだよね。ウチの紀州・吉野連合圏(ゾーン)には赤のウィッチはいないから。そうか、テクラちゃんは赤なんだ。
で、どう変なのか聞いたところ、なんでも暴走気味で走ってきたと思ったら、私たちの目の前で急に空に飛んで行ってしまったそうだ。ただ、飛び方が変で、飛んだ直後に急に苦しみだして、ゆっくりとした早さで南の方角に飛んでいったそうだ。
苦しみ出す。っていうのがよくわからないけど、何か異常が起こっている可能性は充分にある。彼女、魔力酔いを起こしているからね。
とりあえずその方角に探しに行こうとしたら、ゲートボールの集団から色々とお菓子をもらったり、お茶飲んでいけとか言われ出した。これだから老人の団体はあまり好きじゃないんだ。色々物をもらうんだけれど、話が長かったりするのですごく疲れるんだよねえ。こっちは早くテクラちゃんを探さなきゃダメだし。
とにかく、無線がかかってきたフリをして、その場所を離れて、テクラの飛んでいった方向を探すことにした。
無線を入れて室長に報告。すると、やはりまずい状態だと言うことがわかった。意識を失う可能性もあるので、墜落した場合を想定して捜索に当たれとのこと。ウィッチ服なら墜落してもあまりケガはしないと思うけど、それでもケガする場合があるからね。慎重に地面を見ながら探すことにする。
これから仲間になる友達を助けなきゃね。
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