第55話
「たぶんだけど、梅田さんは…その木戸が好きだったんだ。憎くてたまらなくなるほど、一緒に不幸になって欲しかった。だからやるしかなかったんじゃないかな」
「憶測ね」
「デザイナーにもうなってるのに、ずっと引きずってたんだよ。下津さんは知らないんだよ、裁判してるなんて」
「なぜ?」
「詳しくないんだ。だから、なにをして探りを入れてると思う?」
「さぁ」
「梅田さんの会社に何度も行ってる」
「何で知ってるの?」
「俺、社長になってるって言って、梅田さんの会社の人と話した」
「え」
「みんな、嘘だと思いたいって。前から私に何かあったとしても、会社はみんなで回せばいいとか言ってたんだと。みどり母からは、なにも誰にも話すなと言われてたらしい」
「でも話してんじゃん」
「俺は、以原社長の代わりになったけど、なにも聞いてないと話したんだ」
「巧妙すぎんかね」
「かわいそうな人だよね。梅田さん、いつもメイク濃いから、スッピンをみーんな知らなかったそうだ。テレビに出てたけど同一人物とは到底思えないくらい老けてたそうだ。だから友達の下津さんすら、本人かわからなかったんじゃない?」
「そう…」
「本当の顔はずっと隠してたんだ。みどり、この梅田さんの件って別に会社には関係ないよね?」
「え?でも、怖いからとかで辞めた人いっぱいいるよ?」
「それだけで辞める?もともと危うかったんだ」
「…そっか。いつから仕事やる?」
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