第53話
「いいえ。彼女が論文を書いている途中だったことはご存知でしょうか?やりたい仕事ができなかった彼女のために、私が社長をさせて頂きたく思っております」
「なによそれ!あなた以原の名前が欲しいだけじゃない」
「私はファッションに関心があります。お任せいただけたら、梅田様の件は必ず外部に知られないように致します。会社の乱れも正すこともできます」
「…どこまで知ってるわけ?」
「傍聴しました。彼女はクロです。間違いなく罪を犯しています」
「…その件、下津由良が探りを入れているらしいわよ。あなたはそれも阻止できる?」
「もちろんです」
「そもそもあなた、うちのモデルを知ってる?」
「はい。友人はカメラマンの小暮有太です」
「…なるほど、そういう繋がりまであるわけね?あの事務所は潰れたら困る。なんとしても回復させると誓えるならやってもいいわ。ただし、もしできなかった場合、あなたはどうなる?離婚よ」
「わかりました」
「私は忙しいのよ。アメリカに帰る」
「お気をつけて」
ようやく、目の前の食事に手をつけた。私は会話に入ることすらできなかった。
「守、全然意味わかんなかったんだけど…私を尊敬?」
「いや何言ってんの?そうでも言わないと意味わかんないし、納得しないよ」
守は落ち着いて食事をしている。
「で、梅田さんの裁判って…傍聴した?」
「いや?」
「えーなにそれ。嘘つき」
「裁判は今やってる。傍聴してた人を探した」
「…へぇ」
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