第49話

「おかえり〜」


みどりは先に帰宅して、ソファーに座っていた。


「ただいま。今日は調子いい?」


「まぁ、そうだね?料理作ったから食べる?」


「…その前に」


「えー?いいけど、どこでしたいのー?」


「違う。今日、学長と会った」


「…あ、そう」


「なんで、いきなりモデル事務所の仕事させられるの?おかしいよね?論文めちゃくちゃ半端にして普通辞める?なんでなの?そんな適当に辞めるわけないよね?」


「…落ち着いてよ。座りなよ」


なんで俺がこんな怒ってんのかわからん。とりあえず隣に座る。


「学長なんて?」


「…いきなり辞めて、心配してた」


「ほー」


「モデルなんて興味ないくせに。なんでみどりがやんないといけないか、教えてよ」


「…ははー、守鋭い」


「はぐらかすな」


「…梅田美利うめだみりっていう、デザイナー知ってる?」


「さぁ?」


「その人、モデル事務所のメイクをやってて。下津由良しもつゆらってモデルの人の友達で…」


「その人なら知ってる。小暮こぐれくんの元カノ」


「小暮…カメラマンの?あれ、知り合い?」


「友達だけど?前にモデル事務所に遊びに行ったこともある」


「まーじ?それは知らなかったな。守、アクティブ〜」


「で?その人が?」


「なんか、ヤクザがらみの事件で捕まったんだよね…。公表してないけど、なんか噂が流れてしまったようでスタッフたちは辞めてって、ちょっと危うい状況なわけ」


「…は?だからなんでみどり?なんもわかんないくせに」


「母が、忙しいから。スタッフ足りなくて仕事山積みなのを、なんとかさせようとしたから」

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