足助敏

第9話

すぐるがいなくて、暇だったから、守の家に行った。チャイムを鳴らすが出ない。いつもすぐ出るのに…倒れてるんじゃないのか?何度も鳴らすがダメだ。

それか、最近はよく眠れてるのか?それか、会社の旅行か?その可能性もあるから帰る。


相変わらず狭い部屋に1人いると寂しいもんだ。産婦人科に異動になり、看護師たちは俺の求める若い人材は1人もいない!なんでだよ…心臓外科にいたときナンパしすぎたから?息子のすぐるの知り合いなんてたいしたのいないし。ここは、優の友人の艶耀えんように頼るか?いやいや、高校生若すぎー!やばいから。いや、それもいいな。


「お!優ー!土産くれ」


「ねーよ。さっさと寝ろ」


反抗的な息子。俺に似て、高身長なんだが、この部屋だと、身体いらないなと感じてしまう。


「えんよーちゃんの学校の女の子紹介してもらおうぜ?」


「…ありえな」


「そういやお前の元嫁、検診に来てないぞ」


「…は?」


「引っ越したようだな」


優は静かになった。元嫁との間には子供がいたが、優はほとんど会わないうちに離婚した。子供を返してもらおうと思って、検診にやって来るのを待っていたが、残念ながらこの辺りにはいないようだ。

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