(二)-8

「美味しいよ。ほら、食べてごらん」

 そう呟きながらスークは二匹を交互に見つめていた。

 片方の眉毛に白髪が交じる方の成犬は、いい匂いだと思ったのか、玉ねぎの部分を少し食べた。何度か口の中で咀嚼して飲み込むと、次は夢中でがつがつ食べ始めた。

 警戒心をあらわにしていたもう一匹は、もう一方の食べっぷりを見ると、自らも食べ始めた。

 スークは両方の犬の頭を数回撫でてやると、その場を立ち去り、寮へと戻った。その頃には成犬の方のエサはほとんど食べ尽くされてしまっていた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る