俺と幼馴染 大学1年春 後日譚

今日は南館大学の入学式があった。私、井上麻友は彼がいた病院の前にいる。彼と言うのはもちろん、幼馴染の天野陸のことだ。


お世話になった病院の先生とかに大学の入学式に行きました的なことを言うためにね!まぁ、入院したことないけど、受験期以外はほぼ毎日のようにきてたし、これ実質入院してたと言っても過言じゃないからね!


って言うと「過言だよ」って突っ込んでくれる幼馴染は…隣にいない。


ていうか、2月中旬に合格がわかってたのに2ヶ月も遅れるなんて今更すぎるよねー!


合格がわかった時はバタバタしてそれどころじゃなかったし…ね。


私はきれいな青空を見上げながら言う。


「りっくん、いまどの辺りにいるんだろう?」







「おーい。待った?」


「あっ!ううん。待ってないよ!」


私は振り返りながら声をかけた人の名前を言う。


「りっくん!!」


「ごめん、ごめん。菓子折りのこと完璧に忘れててさちょっと遠回りしたら遅れちゃった。…って、なんか変な感じがするんだけど。具体的に言うとわかんないけどお前生きてたんかいっていう念が送られてきてるような…」


「あぁ。それはりっくん使って不謹慎ゲームしてたからだよー!」


「わぉ、何その初めて聞いたけど全くやりたくないゲームNo. 1グランプリを連覇している地獄みたいな名前。一応聞くけどどんなゲーム?」


「明るいこと言った後に不謹慎なことを匂わせるゲーム。例えば、ただりっくんが遅刻しているだけなのに今、隣にいないとか思ってみたり。」


「うん。俺の直感は正しかったよ。百聞は一見に如かずとか言うけど一聞で地雷がわかるゲームは初めてなんじゃない?」


「お褒めにお預かり光栄です。」


「褒めてないよ?ったく。ほんとーにいい性格してるよ。」


「それはりっくんもでしょ?なにあの緊急手術の時の言葉。「…もうダメかもしれん…」あの時のあれが私を心配させたいがためについたウソとか。」


「うん。…だって心配させたかったんだもん。なんとなく、あ、これ死なないなーとか思ってたけど、目の前で泣く麻友見てちょっとS心が。」


「ハイハイ。さっきの言葉そっくりそのまま返しますよっと。」


「ていうかさ、マイケルさんから聞いたんだけど、俺の手術中、なんか落ち着いてたらしいじゃん。」


「まぁ、絶対嘘ついてたからね。」


「あー、間空いてたってこと?息切れしてたから行けると思ったんだけど。」


「ったく。何年いると思ってんの?息切れと嘘つく時の間の違いくらい分かりますよ。」


「「えへへへへへ。」」


「おい。夫婦漫才繰り広げてんじゃないよ。」


「あ、健也じゃん。いつのまに。」


「私が呼んだのよ。」


「呼ばれて飛び出て鎌谷登場!俺の親友が世話になった訳だからな。実質俺も入院したようなもの…」


「あ、そのボケ私がもうやった。」


「 」


あ。健也くんの心が折れちゃった。


「じゃ、まぁ、行きますか。」


これは、ハッピーエンドの後にみんながどうなったのかただただ喋るだけの後日譚。




case1 鎌谷健也の場合…


「そういえば、健也くんはどこに受かったの?」


「ん?目茶府通大学めちゃふつうだいがくの理工学部。まぁ、俺の頭脳じゃここが限界だったよ。」


「その分滅茶苦茶倍率高いところじゃん。すごっ。」


「でも、この物語には全然出なかったけどねぇ。」


「急にメタい!?そもそも、俺、まったくお見舞いに来なかったわけじゃないぞ!?そりゃ家あんまり近くないし、頭もよくないから勉強漬けで毎日は来れてないけど、週2のペースで見に来てたぞ!」


「全部カットだね。」


「じゃああれは?受験直前にめっちゃ不安だからおまえに電話越しで勉強を教えてもらったことは?」


「カットだね。」


「オーッマイッガッ!」


「まぁ、作者が書きたいのがNLだからね。BLはお呼びじゃないってことよ。」


「今日なんかメタいな!しかも言い方が生々しい!」


「まぁ、今日の私たちは ※第四の壁を超えているからね。」


※第四のだいしのかべ

舞台と観客席の間を隔てる架空の壁。舞台上の虚構の出来事と、観客のいる現実世界が切り離されていることを表す概念。(コトバンク原文ママ)


「なんか注釈出た!?」


「十分健也もメタいぞ。」



case2 医者組(マイケル・マイク、先生門前 一雄)の場合…


「お久しぶりです!」


「ん?あぁ、陸君と、麻友さんと…えっと、そこの君は初めましてだよね。」


「えっ?週2で来てましたよ!?」


「急に浮かび上がる健也の虚偽報告疑惑…。」


「おまえのところに来てたんだからおまえは虚偽報告ではないことはわかるだろ!?」


「はっはっは!ジョークだよ!鎌谷君だろ?」


「はい!鎌谷です!週2のペースで来てました!」


「露骨なアピールだなぁ。」


「っていうか、そんなことより先生って門前って言うんですね。」


「まぁ、僕の名前は最初に入院してきたときに名乗ったきりだもんね。」


「物語に必要なかったしね!しかも、このゆるゆる後日譚の書いてる途中で『ここで先生の名前出したらおもろいやろ』っていう作者の思いつきで唐突に日本人名前メーカーで、名前決めたもんね。」


「なんでそんなメタネタ挟むの?」


「はっはっは!いやー、それにしても、こうして元気になった患者がきてくれるとやっぱりうれしいもんだね!」


「その節はお世話になりました。」


「まぁ、それが僕の仕事だからね。後、直したのは僕じゃなくてマイケルだからね。」


「そういえば、マイケルさんと先生ってどこであったんですか?」


「あぁ、確かに日本の医者と元ラッパーが会うのは少し不思議だねぇ。そこまで設定を考えてなかったよ。まぁ、クラブであったことにしといてくれ。」


「一人一回はメタを挟まなくちゃいけない縛りでもあるんか?」


「ツッコミ役は大変だねぇ。まぁ、僕はシリアス担当兼マイケルの前ではツッコミだからこういう時くらいボケに回らしてくれ。」


「俺の苦労は無視ですか。そういえば、マイケル先生はどうなったんですか?」


「あぁ、アメリカに帰ったよ。最後に伝言を一つ預かってるよ。」


「へぇ、どんなのですか?」


「まって、またツッコむことになりそうだから聞かないで。」


「えーと、『HAHAHA!ワタシのビジュアルモデルはパワプロのフル=ハートだYO!ちなみに、喋りは作者のラッパーの偏見でできたのだYO!』ということだ。」


「ま~たメタネタかよっ!」


「まぁ、作者がメタネタが好きだから仕方ないね。」



case3 別物語とのつながり(柊矢新と助川仕乃)の場合…


「この談話室なつかしいなぁ!」


「ん?この談話室になんかあったか?」


「えーとね。夏にりっくん倒れたじゃん?その時にここの自販機でポカリを買ったんだよね。」


「へぇ。そうなんだ。にしてもここの自販機にポカリがあるの、よくわかったね。結構奥にあるのに」


「そういえば、親切なカップルさんがいたね。彼氏さんの方が足を骨折していたんだけどポカリの位置を教えてくれたんだよね!」


「へぇ。それはまた ※壮絶な物語を追ってそうなカップルだね。」


※詳しくは異世界探偵で!もしかしたらこの世界とのつながりだけ恋愛集で落とすかも…(プロット固まり済み。そのうち書きます)



case4 看護師組の場合…


「えぇっと。もしかしてぇ~、天野さんですかぁ~?」


「…えぇっと、どちら様ですか?」


「おい!陸!このひとを忘れたのか!?男の風上にも置けんな!秋の時おまえらがアルバムの時に騒ぎまくった時に最初に注意したフワフワ看護師じゃないか!」


「なんであなたがわかるんですかぁ~?あの時、っていうかこの物語まであなた名前だけの出演だったじゃないですかぁ~?」


「ふっふっふ、俺は紳士のかたまりといっても過言ではない存在…当然淑女であるあなたの名前も覚えて然るべきなんです。」


「健也くん。それは過言。ということはあの人もいます?あの後、私たちに説教しに来た人。」


「あぁ、いますよぉ〜。おーい鬼塚さぁ~ん!」


「ん?呼んだかい?」


「あっ、おば…お姉さん先生。」


「出会い頭失礼だねぇ。って鎌谷君じゃない。久しぶりね。」


「私は紳士のかたまり。当然あなたのことも覚えてますよ。鬼塚さん。」


「おまえすごいな。」


「ちなみに私はパワプロの佐奈あゆみでぇ~、こちらの鬼塚さんが秋葉の部屋まじない卓さんのAPP3のババァをモデルにしてるのよぉ~。」


「もう隠さなくなったし、これ公に出てだいじょうぶなんか?著作権的なサムシングが。特にAPP3のババァのほう。」


「大丈夫大丈夫。そもそも火種かどうか怪しいし、本家本元でも私のモデルはすげぇひどい扱いだし、もし火種だとしても知名度がないと燃えるもんも燃えないよ。な、作者。」


作者に10のダメージ


「もうナチュラルにメタネタをぶっこみますね。」


作者は力尽きた。


「弱いな!」



case5 作者の場合…


「…この物語さぁ、私の記憶だったら始まったの確か1年前近くだった気がしたのよ。たしか、2022年の11月ごろ」


「まぁ、そうだな。」


「んでさ1か月くらいで秋から夏の4シーズンまで書き上げてなかった?」


「まぁ。せやな。」


「んで、冬のワンシーズン書きはじめるまでに何か月かかってんの?てか、今何日?」


(…12月31日です。)


「何年の?」


(...2023です。)


「なに1年も経過してるのさ!」


(いや、ちゃうんすよ!僕の頭の中では完結してたからわざわざ文章化する必要無いかなって。)


「もう普通に作者と喋れるのね。」


「私たちに…いや私に何か言うことは?」


(スゥ―――。ごめんなさぁぁあぁぁぁぁい!!!滅茶苦茶優菜さんの精神が不安定な時期で時間止めてましたぁぁぁ!!!


しかも、完成するまで上げたくないという完璧主義者のくせに寸前✕のためにこの物語が世に出るまでに想定以上の時間がかかりましたぁぁぁぁぁぁぁ!!!)


「よろしい。」


「…なぁ、これって何の時間なの?」


「公開説教という名の作者の目に見えないズボラさもネタにできたらなっていうあさましい考えからできた後日譚だよ。」


(男子勢シャラップ!!!)



case6 天野陸と私の場合


「いやぁ!久しぶりにここに来たなぁ!屋上!」


「まぁ、今回は私が隣にいるからねぇ。許可だしました。」


「具体的に言うと11か月ぶりくらいかな?」


(ご迷惑を掛けました&全員のメタネタノルマ達成!!)


「やっぱり本当にメタネタ全員言わなきゃいけない縛りしていたんかい!」


「それにしても、本当にいい景色だね。」


「あぁ、病気が治ったから余計そう思う。」


「…こんな雰囲気の中申し訳ないんだが…すこし尿意が…トイレどこにあるかわかるか?」


「ふふ。健也さぁ、いい雰囲気だったじゃん。階段降りて突き当りを右にずっと進むのが一番近いかな?」


「ありがと!じゃ!」


「…行っちゃったね。」


「あぁ。」


「…………。」


「「なぁ!(ねぇ!)」」


「…………。」


「そちらからどうぞ。」


「あぁ、麻友からでいいよ。…俺のは大した話じゃないし。」


「…りっくんさ。これからどうすんの?退院も卒業もできたけど職も学籍もないからさ。」


「ちょうど良かった。その話をしたかったんだ。」


「え?」


「おれはさ。ずっと人を信じられなかった。仲いいって思ってる相手にも心ではわかってんだけどどうしてもウソで塗り固めた俺をみせてたんだ。その仲いい奴も優しくて俺が完全に心開いてないのにこっちには心開いてくれて。俺はその優しさに寄りかかってさ。最低だよな。」


「……。」


「でもある日のその人の涙で、その人の言葉で、その人の顔で。俺はちょっとは変わろうと思ったんだよ。まったく、単純だよな。」


「……。」


「んで、俺さ、その涙見てこう思ったわけだよ。ずっと。死ぬまで。この人の隣にいたいってさ。」


「…!」


「その人、医者になるらしいからさ。手っ取り早くその人の力になれるような仕事を探したんだ。ほら。あの業界最大手の薬品メーカー。ここの研究者として働くことになった。」


「…それって…。」


「すまない。…言わないでくれ。俺はもうその人の優しさに寄りかかってばっかじゃ嫌なんだ。俺にも寄りかかって欲しいんだ。」


私たちの間にしばしの静寂が訪れる。それは5秒だったか、30秒だったか、はたまた1時間は経っているか。だが、りっくんは長い時間を掛けて息を目いっぱいに吸い込んで口からふぅーっと吐く。そして、目を合わせて、りっくんは言った。私のずっと待ち望んでいた言葉を。


「麻友。公私ともに俺に隣で支えさせてくれないか?すきだ。麻友!おまえのことが大好きだ!!」


ウソのない、混じり気のない、天野陸の本当の気持ちであることは当然ながらすぐに分かった。


こんなの…こんなの、返事は決まっているじゃないか。


「…はい!」


私の顔はきっと嬉し涙でぐちゃぐちゃだろう。だけど、目の前の彼は。りっくんは私のそんなとこもきっと好きでいてくれる。そのはずだから。


だけど、やっぱり、ちょっと恥ずかしいな。


だから、りっくんに抱きついてこの顔が見えないようにしよっと。今なら、この胸に寄りかかってもいいよね。


私は大切な幼馴染、恋人に駆け寄った。




屋上へと続く扉。その近くの壁に2人に見えないように見えないように寄りかかってる影が一つ。


「まったく。ようやくくっついたか。あの2人は。」


あきれたようにだけど嬉しそうに笑う影。そんな屋上に近づく1組の老夫婦。


「あ、すみません。今屋上で俺の友達が告白してるんで時間ずらして来てもらっていいですか?」


老夫婦は懐かしそうに目を細めると老爺の方が


「む、そうだったのか?それは無粋なことをしそうになった。恩に着る。」


そして老婆が続いて


「それにしても屋上で告白ねぇ。だれかさんの話を聞いてるみたいだわ。」


「…行くぞ。」


「はいはい。それじゃあ、その二人によろしくねぇ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


老夫婦が理解のある人たちで助かった。それにしても…

2人の邪魔をしないように、かみしめるようにしみじみと独りごつ。


「大学でこんな恋してぇなぁ!」

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