第16話 爆弾ベスト
小妹が亮を睨んで言った。
「桃華の治療が効いたみたいですよ」
亮は桃華に頭を下げた。
「嘘ばっかり、私達をだましていたんだ」
「いや、本当に絵里子さんが持って来た
マッサージローションの効果が大きかった」
亮は慌てて疑いを晴らそうとした。
「それって自分で作ったレシピでしょう。亮はやはり天才ね」
亮は小妹の話しを無視して小妹に指示をした。
「小妹と蓮華と桃華は警察の方へ行って
カニエラを見張ってくれ、ひょっとしたら
カニエラを殺しにスナイパーが来るかもしれない」
「本当?」
「うん、ジャック・モーガンは捕らえられて
自分が不利になる証言をする人間は必ず始末する」
亮は小妹のジャック・モーガン恐ろしさを説いた。
「OK、任せて」
小妹と蓮華と桃華は飛ぶように白いセダンに乗って
走って行った。
「祐希はこれを着て」
亮は紺の防弾チョッキを祐希に渡した。
亮が駐車場から出ると
マギー亮に聞いた。
「亮、私達は何処へ行けばいい?」
「亮、私・・・カニエラの命令で車椅子に盗聴器を付けていました」
ずっと顔色の悪く元気のなかったマリエが自分の罪を亮に告白した。
「そうですか、でもたいした事ではないです」
盗聴器に気づいていた亮は表情を変えずに答えた。
「でも私・・・亮を誘拐をするなんて」
「良いんです。きっとお兄さんの事で命令されたんでしょう」
「・・・はい」
マリエがゆっくりとうなずいて答えた。
「それよりマリエの家が心配です。マリエ案内してください」
「私の家?」
マリエは突然亮に聞かれて戸惑っていた。
「はい、お兄さんとカニエラは僕の誘拐で関係が有ったと言う事は
あなたの家族にも手を出すかもしれません」
亮が言うとマリエは体を震わせた。
「亮、今何処?」
美喜から電話が掛かってきた。
「どうしました?美喜さん」
「今、マリエさんのお兄さんが警察と変な所に
向かっているのでタクシーで後を付けているの」
「それは何処ですか?」
「ダウンタウンよ。今降りたわ、私も降りるわ」
「美喜さん、無理をしないで!」
亮が美喜に注意をすると電話が切れた。
「まずい、ダウンタウンだ」
亮が右折をすると同時に方向を変える車があった。
「どうやら、我々も狙われているみたいだ」
「マギー、ロビンに電話をかけて!」
亮はポケットから電話を取り出した。
「はい」
マギーが電話をかけるとロビンに繋がった。
「ロビン、美喜さんの居場所をGPSで探してください」
「OK、ところでイヤフォンマイクはどうした?」
「僕を誘拐した犯人のポケットの中です」
「おい、おいあれは高かったんだぞ」
「すみません、後で取り返しますところで文明兄さんいますか?」
「おお、何だ?」
ロビンの側にいる文明が電話に代わった。
「この車、自損事故の保険は入っていますか?」
「ああ、入っている」
「では、対人対物は?」
「もちろん入っている」
「保険限度額は?」
「無制限だ!行け!」
文明は亮が執拗に保険の事を聞く事の
意味が分かった。
「了解」
「亮、場所が分かったダウンタウンのハワイアンビルだ」
ロビンは美喜の居場所を亮に伝えた。
「了解です。また連絡をします」
すると車の後部に弾丸の当たる音がした。
「カンカンカン」
「キャー」
助手席に据わっていたマリエが耳を塞いで頭を下げた。
「マリエ、祐希そのまま頭を下げていて」
後ろに座っていたマギーがマリエの頭を上から押した。
「亮、この車丈夫だわ!装甲が厚そう。それに防弾だわ」
「さすが兄さんの車だ!」
亮は後ろの車の弾丸を避けるように蛇行を始めた。
「亮、逃げるだけじゃダメだよ」
「でも武器が・・・」
亮はダッシュボックスをあけるとピストルが入っていた。
「マギー、ピストルが入っていたぞ」
「ワオ、GLOCK19だわ」
亮はマギーにピストルを渡すとマギーはスライドさせ装弾した。
「いいわよ、亮!」
「行くぞ!マリエ、祐希しっかり摑まって!」
亮は右に90°急ハンドルを切り車体が横を向きかけた時
サイドブレーキを引き左にハンドルを切り車を
スピンさせサイドブレーキを戻しアクセルを踏んだ。
「キャー」
マリエが悲鳴を上げた。
一瞬で相手の車と向き合うとその脇を通り過ぎた瞬間、
マギーはタイヤをピストルを発砲した。
「クッソ、はずれた!」
「しょうがない、120km以上のスピードだ」
「だってジェニファーは300kmのスピードで
飛行機の爆弾のコードに当てた」
マギーはジェニファーにライバル心を持っていた。
亮はなんて返事をして良いか悩んだ。
「分かった、今度は必ず当てろ。ピストルの照準が1°ずれているはずだ」
「了解」
Uターンをしてきた敵の車が猛スピードで追いかけてきた。
~~~~~
「おい、姉ちゃんなんのようだ」
ビルの中の階段を2階に上がると美喜の前に男が立ちはだかった。
「ちょ、ちょっと・・・友達の部屋を探しに」
美喜が見た部屋に椅子に座らされているケアカを見つけた。
「ここにはいねえよ」
男は美喜肩を抑えると美喜を突き離した。
「はい、すみません」
美喜は階段を降りてスマートフォンを手に取って電話をかけようとした。
「おっと、姉さん何処に連絡をするつもりだった?」
男が美喜のスマートフォンを取り上げた。
「返して!」
美喜がスマートフォンに手を伸ばすと
男は美喜に手をねじり上げた。
「何するのよ!」
男は暴れる美喜を抑えながら
2階の部屋に連れて行った。
「あっ」
そこには真っ青な顔をしたケアカが美喜を見て声を上げた。
「どうしたの?」
美喜はケアカの姿を見て何が起きていたか
直ぐに気が付いた。
ケアカの体には爆弾の付いたベストが着せられていた。
「ちょうど良い、一緒に来てもらおうか」
東洋人系の男が美喜に言って美喜の両手に手錠をはめた。
「私、何も悪い事をしていないわ」
「知っているさ」
男が美喜に答え後ろから背中を突いた。
ケアカは恐怖で体を丸め
体を震わせて階段をゆっくり降りていた。
「私達をどうするつもり?」
「道具だよ」
美喜は自分は人質、ケアカは人間爆弾として
使われる事が分かった。
しかし、必ず亮が助けに来てくれると信じて
いた。
~~~~~
「ロビン、美喜の場所は?」
「さっき、スマートフォンの電話が切れた」
「それじゃ・・・」
亮は美喜の行き先を推理していた。
「ロビン、何とか行き先を探してくれ」
「大丈夫だ、監視カメラと監視衛星で追跡している。
ケアカも一緒だ」
「了解、ありがとうロビン」
「カラ、お兄さんが見つかった」
亮に言われたマリエはホッとした様子で微笑んだ。
「亮、敵が増えたわよ」
後ろを見ていたマギーが亮に言うと
亮はミラーで後ろの車を確認した。
「えっ、3台も」
「そう、よほど亮が邪魔らしいわ」
マギーがそう言うと1台の車がぶつかって来た。
亮の運転しているHUMMERは右に弾かれ
亮は必死でハンドルを戻した。
「亮、ところでいつ反撃するつもり?」
マギーは眩しく照らすヘッドライトを見ながら答えた。
「ここじゃ観光客が多すぎる、もう少し走る」
亮はアクセルを深く踏み込みスピードを上げた。
グッド・ジョブ媚薬 6部 復活編 渡夢太郎 @tomtaro
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