第16話 夢か現実か
私は、病院のベッドで目を覚ました。
「まゆら!!まゆら!!」
聞き覚えのある優しい声。
ママの声だった。
「おばさん!!まゆら目覚ましたの?!」
「そうなの!玲ちゃん...!!看護師さん呼んできて!!」
「はいっ!!」
(ん...玲...ママ..無事だったんだ。)
私は、理解ができないでいた。
なんで病院にいるのか、あの後どうなったのか。
しばらくボーっとしていた。
ママも玲も泣いていて、私が目覚めたことを喜んでいた。
「よかったわ...本当に..まゆらが目を覚ましてくれて」
「ママ、、無事だったの?ケガは?」
「何言ってるの..?無事だったのはまゆらの方でしょ!!」
ママは私を抱きしめた。
私は、まだ状況がつかめていない。
「えっと、、ダークアビスは?玲はケガは?
街は元に戻ったの?」
泣いていた玲がクスっと笑った。
「まゆらってばさっきから何言ってるの?
1ヶ月も眠っていたから夢でも見てたんじゃない?」
「1ヶ月...?!」
ママと玲の話しによると私の誕生日の8月1日に誕生日会をしていて、私は突然意識を失ってしまい、1ヶ月も目覚める事なく眠っていたらしい。
「さっき、パパにも連絡いれたからすぐに来ると思うわ。」
「えっ?ママ、、パパって、、魂が、、
あの、その...2年前に事故で....」
「まゆらが目を覚ましたって本当か?!」
息を切らし走ってきたのはパパだった。
「あなた...!!!そうなのよ!!まゆらが目を覚ましたのよ!!」
「よかった。本当に....」
パパは涙しながら私を抱きしめた。
「本当に...パパ?」
「もー!!まゆらったら、さっきからおかしな事言うのよ」
「1ヶ月も眠っていたんだ、長い夢でも見ていたんじゃないのか?」
「夢...?」
私は、あれが夢だったとは思えなかった。
再び検査をしてどこも、異常がなかったので、1週間後退院した。
あれから、ママ、パパ、玲にこれまでのことを話したが、夢だと笑われて信じてもらえなかった。
私自身も夢だったんじゃないかと思い始めていた。
久しぶりの学校に行く。
玲と一緒になって私をイジメていた友達も優しく話しかけてきてくれた。
あの戦いが夢だとしてもおかしいことばかりだ。
だって2年前にパパは事故で亡くなっている。
それも含めて夢だった事なのか私は、混乱していた。
学校から帰って自分の部屋に行くと窓が空いていた。
「あれぇ?朝閉めたよね?ママは仕事だし、、」
窓を閉めようとすると机の上に置いてある物に驚いた。
それは、ウルがしていたマリーシャさんの形見のペンダントだった。
「これって...!!ウル..やっぱり夢なんかじゃなかったんだ!!」
私はウルの名前を呼んだ。
「ウルー!!いるんでしょ?!出てきてよ!
パパを元に戻してくれたのはウルなんでしょー!?」
だけど当然返事はない。
でも、私はあの事が夢じゃなかったと確信できて嬉しかった。
きっとダークアビスは封印できて、ウルたちがパパを生き返らせてくれてなんとかしてくれたんだと、いつかまたウルたちに会えると信じていた。
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