第8話 大切な親友


扉を抜けると、パパの書斎の部屋に戻れた。


「まゆら!!大丈夫か?!」


「うん!!あのね、これ、、」


私は、ウルにレッドスピネルの欠片を見せた。


「欠片が5つも?!どうしたんだ?!まさか魔物を倒せたのか?!」


「はい!まゆら様は私を元の姿に戻してくれました。私は全然わからなかったのですが、ダークアビスの呪いにかけられていたらしく、、ウル様にも大変ご無礼をいたしました。」


「なんだ、、この生き物は、、??」


ポカーンとしているウルに私は、全て話した。


「なるほど、、、そういう事だったのか。

おい!そこの変な生き物!!ブルースピネルをさっさと返してもらおうか!

それと、このカラスの呪いを解いてくれ。」


「ウル!!変な生き物じゃなくて、ルビィだよ!」


「いいんです。まゆら様、時期レイディリア王国の王になるお方に、ご無礼をしたのは私ですから。

ウル様、ブルースピネルをお返しします。」


ルビィは、ウルにブルースピネルを返した。

初めてブルースピネルを目にした私は、その美しい深い青色に見惚れていた。


「すごい...これがブルースピネル..綺麗。」


「あ、、あのウル様....大変言いにくいのですが、、、カラスの呪いを解く方法は私にはわからないのです。私も、操られていたので、、私の意思で呪いをかけたわけではなく、、」


「.........はっ?ずっとこのままか...?」


「もしかすると、ダークアビスを倒せば、呪いが解けるかと、、、」


「ウ、、ウル?そんな落ち込まないで、、」


「落ち込んでなんかない。ブルースピネルがあれば、一時的に元に戻れる時間が長くなるし、この姿の方が行動するには便利だからな。」


「なら、いいけど、、ところで、ルビィは何か魔法は使えるの?」



「はい!眼魔力が得意です!」


「眼魔力?」


「まぁ、、戦う時のお楽しみにしときましょう、、」



ゴォォォォォォォォー!!!


「な、、何?!地震?!」


突然ゴォォォォォォっという地響きとともに激しく揺れだした。


「ダークアビスがまた仕掛けてきたな。」


「ねぇウル、レッドスピネルの欠片7個だけじゃまだ魔力は全然ないよね?」


「そうだな、12個集めなければ魔力は戻らないな。」


「じゃぁまだ1人じゃ戦えないね...」


「まゆら....新しい仲間も加わったし、絶対倒せる。心配するな!」


「うん...!!」


私は魔力がない自分の力不足で、足を引っ張ってしまうことが不安だった。


「まゆら様!!ルビィも精一杯頑張ります。

絶対大丈夫です!

みんなで戦えば怖くないですよ!」


「ありがとう、ルビィ」


「まゆら、変身していつでも戦える準備ができたら行くぞ。」


「うん。」


私たちは、ダークアビスが潜む街に再び出ることにした。


「ルビィ、」


「はい!なんでしょうウル様!」


「ここからは、まゆらは変身して、俺はこのペンダントに入り一緒に戦うことになる。

3人だが、力的にはルビィを合わせて2人分だ。しっかり頼んだぞ。」


「任せて下さい!!」


瓦礫だらけの道をまっすぐ進んできたが、何も現れない。


「何も起きないね...ウル...」


「油断は禁物だ。」


「ん...?まゆら様、ウル様、何か声が聞こえませんか?」


ルビィが声が聞こえると言うので、耳を澄ませてみた。

すると、タスケテ...っという声がどこからか聞こえてきた。


「誰かが、助けを求めてる!!行ってみよう!!」


「まゆら!!さっきと同じパターンだ、おそらくダークアビスの罠だ。

慎重に行くんだ。」


「わかった。」


ルビィを先頭にし、声が聞こえる方に進んで行くと、誰かが瓦礫の下敷きになっていた。

近づくに連れて下敷きになっている人の顔が見えてきた。

私は、びっくりした。


「あれは、、玲?!」


「まゆら様のお知り合いですか?」


「うん、、友達。」


「ならば、、助けなければ!!!」


「あっ!!待って!!ルビィ!!」



ルビィは玲を助けようと先に行ってしまった。

ルビィが駆け寄ると、ルビィは玲に捕まえられてしまった。

ウルが言った通り罠だったのだ。



「ふんっ!!何よこのキモいやつ...私は、まゆらを狙っていたのに...」


「眼魔力!!!」


「何?!きゃぁっ!!眩しいー!!」


ルビィは得意の眼魔力で玲から逃げることができた。



「大丈夫だった?!ルビィ!!」


「はい、、、油断しておりました、、。」


玲はこちらを睨みながら近づいてくる。


「まゆら?私ね、アンタのこと嫌いなのよ。

だからね、消えてほしいなーって思ってたら女神様が私に力を与えてくれたの。」


「女神様...?」


「ダークスピネルは私の中にあるわ。

アンタに私を倒せるかしら?」



次の瞬間、玲は攻撃してきた。

私は、勢いよく飛ばされてしまった。



「まゆら様ー!!眼魔力!!!まゆら様、今のうちに攻撃を!!」


「スピリタイムラヴティア!!」


私は、時間を止めることしかできなかった。


「まゆら!!やらなければ、こっちがやられてしまうぞ!!」


「ウル...。私、玲を傷つけることなんてできないよ。嫌いだって言われても、玲は操られてるだけなのに...玲は大切な親友だから。」


「まゆら、、考えが甘すぎるぞ!!

倒さなければ、この世界はずっとこのままなんだぞ?!元の生活に戻れないままなんだぞ!!」


「.....。」


「まゆら様!!あと30秒で魔法が解けてしまいます!!」


「..........。」


わかってるけど、さっきの男の子のようになってしまったらと考えると攻撃することが怖くて動けなかった。

その時、また声が聞こえてきた。


(大丈夫よ....あなたの大事な親友なんでしょ?大好きだって気持ちを伝えて..きっと思い出すわ。)


「思いだす...?」

(そうだ、、、思い出してくれれば)


「まゆら様!!!あと、10秒ですぅぅー!!」


「ローズチェーンスピネル!!」


私は、薔薇の鎖で動けなくする魔法を選んだ。


「ふふふ...こんなんじゃ倒せるわけ無いじゃない。」


玲は鎖をちぎってしまった。


「ウソ...鎖が....ちぎれた....。」


「まゆら、来るぞ!!矢で攻撃だ!!」


「はい!!ジュエル スピナ アロー!!」


「だから、そんな攻撃ムダなんだってば..」


玲が避けようとした時、ルビィが玲の前に飛び出した。


「チョー眼魔力!!!」


「いやぁぁぁぁー!!」


「今です!!まゆら様!」


思い出してくれるかわからないけど、試してみるしかなかった。


「ローズチェーンスピネル

レッド イリュージョン スピナ レクイエム!!」


幻想を見せる魔法で、私の事を思い出してくれたら。そう願って2つの魔法を同時にかけた。

私は、鎖に縛られて動けなくなっている玲を優しく抱きしめた。


「何をする!?離せ!!アンタなんか嫌いだ!!消えろー!」


玲は抵抗するが、私はもっと力強く抱きしめた。


「玲...思いだして?私の事お願いだから思い出して。

私は、玲に嫌いって言われても私は、、、玲の事大好きだよ!!大切な親友だもん。

思い出してくれるって私、信じてるから。」


その時、持っていたレッドスピネルの欠片が強力な光を放ち始めた。

その光は、あたり一体を明るく照らすほどの眩しい光だった。


「イャァァァァァァァァァァ!!」


玲が叫ぶと、玲の中から黒いモヤモヤしたものが出ていくのが見えた。

同時に玲はまゆらに、もたれかかるように倒れてしまった。


「玲!!玲、しっかりして!!」


「まゆら様、、気絶して眠っているだけのようです。」


ルビィに言われて安心した私は、涙が溢れてきた。


「ごめんね、、気づいてあげれなくて、、

よかった、、無事でよかった、、」


玲の髪にレッドスピネルの欠片が付いていた。


「8個目の欠片..」


「まゆら、よく頑張ったな!!」


「ウルや、今回はルビィの眼魔力で助けられたおかげだよ。」


「お役に立てたようで何よりです!!

眼魔力は、ビームを出すだけじゃないんですよ?」


「他に何ができるの?」


「まゆら様の大切なお友達を安全な場所に瞬間移動させる事ができます。」


「瞬間移動?!すごいねそれ!!」


「魔力が張ってある、まゆら様のお家に瞬間移動させますね。」


「ありがとう、、ルビィ。」



「ねぇ、ウル??玲の体から出たモヤモヤって何?ダークアビスとは違うような気がしたんだけど。」



「わからない。俺もダークアビスとは違う何かだと思う。」


ピカッ!!ゴロゴロゴロゴロ.....


突然雷が鳴り出した。

それは悪夢の始まりの合図だった。


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