第6話 儚く散るいのち
「どうして.....こんな...」
街は暗黒に染まり、荒地の砂漠のようだ。
しかし、お店や建物はそのまま建っている。
「まゆら、気をつけるだ。いつ敵が襲ってくるかわからない。」
「うん..!!」
息を殺しながら、歩き進んだ。
すると、微かに何か声が聞こえた。
「ウル....何か聞こえない?」
「あぁ、まゆら、いつでも攻撃できるように気をつけながらそのまま進むんだ。」
私は、声が聞こえる方に進んで行った。
「このマンションから聞こえる...
ん?子どもの泣き声...?」
恐る恐るマンションに近づいていくと
階段の隅に5、6才くらいの男の子が泣いてうずくまっていたのだ。
「大丈夫...?ひとりなの...?」
私は、少し怯えながら声をかけた。
「ママがぁ...うぅッッ....うっっ....」
「ママがいないの?」
「うん...ッ...ママがきえちゃったの...」
私は、男の子に近づいて話しを聞いた。
「お姉ちゃんに、どうしてママがいなくなっちゃったのか話してくれる?」
「お空がね、真っ暗になって...そしたらママ消えちゃったの...。」
「ママだけ..??消えたのは、、、」
「おじいちゃんも、、みんな消えちゃったの..」
(みんな消えてしまったのに、なんでこの子だけ....)
「あっ.... あっちにみんないる!!」
男の子は、学校を指さしたが誰もいない。
「おねえちゃんも、あっちに一緒にいこう??」
「えっ、、、えっと、、」
「まゆら、この子からはダークスピネルのオーラは感じないからついて行ってみるんだ。」
(......怖いけど大丈夫...ウルがいるもん!)
「わかった!!お姉ちゃんと一緒に、みんないるとこに行こっか!」
私は、男の子と手を繋いで学校の方へ歩きだした。
(あれ、、、?気のせいかな....)
最初は泣いていたのに、なんだか無表情で冷たい目つきに変わった気がした。
学校に着いたが、やはり誰もいない。
「ねぇ、みんないるって本当にここにいるの?」
「.....」
男の子は、目を見開いたまま倒れた。
「だ、、大丈夫!?しっかりして!!」
「まゆら!!その子から、離れるんだ!」
「えっ....!?キャァー!!」
男の子は、宙に浮いて何かに操られているようだった。
そして、こっちに向かって襲ってくる。
「まゆら、とりあえず逃げろ!!」
「わかった!!でも、、、どんどん攻撃してくるよーー?!逃げきれないよー!!」
矢のようなものが大量にこっちに向かって放たれてくる。
避けるのに、必死で攻撃し返す事ができない。
(まずは、時間を止めるしかないよね....!!)
「スピリタイム ラヴティア!!」
時間は止まったが、巨大鳥の時のように核が見つからない。
「どうしようウル..!!核が見つからないよ」
「時間がなくなるぞ!!ブレスレットを使うんだ!」
「わかった!ローズ チェーン スピネル!!」
ギリギリ3分経つところで、男の子を薔薇の鎖で、動けなくした。
「ウル!!この後は、どうしたらいいの?!
私、この子を傷つけたりはしたくないよ!」
「幻想を見させて、気絶させるんだ!
ダークスピネルのオーラはこの子からは、感じない....
何者かに直接操られているだけかもしれない。」
「よし....レッドイリュージョン スピナ レクイエム ネビアント ペタル ジュエル ローズ!!」
幻想と、薔薇の花びらで男の子は、気絶した。
うっすらと男の子の腕に光の糸のようなものが巻き付いているのが見えた。
その糸は、空につながっていて
まるで、マリオネットのようだ。
「ウル!!あれって、、、、糸?」
「あの糸で、操られているんだ!」
「糸を切れば、助けられるよね?!」
「あぁ、だが気をつけろ!!いつ襲ってくるかわからないからな!」
「....大丈夫!!絶対助けたいから頑張る..
レッド ジュエル ソード!!」
(お願い、元に戻って....!!)
糸は全て綺麗に切れ、ウルの赤い光で男の子を包み込んだ。
「よかったぁぁ!!...もう大丈夫だよ...」
男の子を優しく抱きしめると、男の子は目を覚ました。
「ママ....」
「目覚めた??どこも痛くない?」
「うん....。お姉ちゃんありがとう助けてくれて....ボク、、、、」
男の子は何か言いかけた途端に、すごい霧がかかった。
「アレ、、?!何この霧....何も見えない!」
「落ち着くんだ、まゆら!!大丈夫だ!」
ウルの赤い光のバリアのおかげで、少しずつ見えてきた。
次の瞬間、男の子を抱いていた腕が、急に重くなった。
男の子を見ると、石になってしまっていた。
「嘘....ウル....男の子が、、石に、、」
「どうなっているだ...」
霧が少しずつ晴れてきたと思ったら今度は
不気味な声が空から聞こえてきた。
「ふっふふふ、、役立たずな、ガキだったな....」
「何この声....誰なの?」
「お前が、マリーシャの生まれ変わりか...
お前のような小娘が、私に適うはずないだろ?」
霧に向こうに、巨大な影が見えた。
「お前は、、、ダークアビス!!」
「ウル...!!こいつがダークアビスなの!?」
「そうだ、、、気をつけろまゆら!!」
ダークアビスは、巨大なツノと、牙があり
黒く覆われていて今まで見たことのない化け物だった。
「ふっふふふ...ダークスピネルは手に入れたのか...?
2つ目のダークスピネルはどこにあると思う
....ふっふふふふ」
ダークアビスは、こちらをじっと見つめている。
次の瞬間、石となってしまった男の子は
割れてしまった。
「ピキッ....ガシャーン----!!」
「嘘.....割れた....。」
割れた中からダークスピネルの欠片がでてきた。
「ふっふふふ、、、ダークスピネルの欠片は体の中にあることもある。
完全に敵を仕留めないと、集められっこないのさ、、、お前にできるか??
まぁ、、私を倒すなんて無理だな!!
ふっふふふふ、、、」
ダークアビスは不気味に笑いながら消えていってしまった。
「そ、、そんな........!!」
男の子の命を救えず、こんな形で2つ目のレッドスピネルの欠片を手に入れることとなり、私は涙が止まらなかった。
いつのまにか変身が解け、泣いている私をウルが優しく抱きしめてくれた。
「ウルッ....!!私、たすけてあげられなかったよぉ....」
「まゆら....俺の魔力が足りないせいで、、辛い思いさせたな...すまない...おまえのせいではないから...」
ウルは、魔力を使いすぎてカラスの姿に戻ってしまい、ぐったりしてしまった。
「ウル...?!しっかりしてぇ!!」
「大丈夫だ...魔力を使いすぎたらしい...ポシェットの中で休めば回復する...」
「敵がまた襲ってきたら、、どうしよう、、」
「まゆら、なるべく急いで家に帰ろう。外にいるのは危険だ。
何かあった時のために、まゆらの家に強力なバリアを張っておいたから家は無事なはずだ。」
敵が襲ってこないか、ビクビクしながら
一旦家に戻ることにした。
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