第5話 暗黒に染まる街

魔法少女となって、1週間が経った。

ウルは、この街がダークアビスに標的にされているって言っていたけど、何も起こらなかった。

「ねぇ、ウル、、結局何も起こらなかったよ?

本当にダークアビスはこの街を狙っているの?」


「あぁ。それは間違いない。」


ウルは窓の外を眺めていた。


「ウル〜!!今日は私、飼育当番で学校に行かなくちゃいけないの、、、誰も来ないと思うけど、外とか勝手に出ないでね!」


「......俺も一緒に行く。何か起こるかもしれないしな。」


「別にいいけど、、、何か起こるって毎日言ってて何も起こらないじゃない。。」


ウルは、ポシェットに入っていった。

ポシェットの中に入っている間に、魔力を充電しているらしい。

制服に着替えて、ポシェットを肩から掛け学校に行く準備をした。


「制服に赤いポシェットってなんか合わないな。。」


誰にも会わない事を願って学校に向かった。

特に玲には、絶対に会いたくない。

歩いて20分、なんとか誰にも会わずに学校に着いた。


「よし!!まずは、花壇に水やりからか!」

あっ!ウル??誰もいないからポシェットから出ても大丈夫だよ?」


「あぁ、、、言われなくても、もう出ている。」


「あっ!いつのまに?!」


「どのくらいで、当番とやらは終わるんだ?」


「花壇の水やりと、ウサギ、鳥小屋の掃除とエサやりしたら終わりだよ」


「花壇の水は、俺がやっといてやる。」


「えっ?!!ありがとう!!

「じゃあ、ウサギ小屋の掃除とかしてくるね!」


花壇の水やりは、ウルに任せてウサギ小屋の掃除を始めようとしていた。

だが、ウサギたちの様子が明らかにおかしかった。

ウサギだけじゃなく、鳥達も異様に鳴いていた。

まるで、何かがこれから襲ってくるかのように怯えていた。


「えっ、、、どうしたの、、、、

大丈夫だよ、、、何も怖くないよ?」


晴れていた空が急に曇りだし、暗くなった。


「何これ、、、あんなに晴れてたのに、、」


ウサギたちは、次々と倒れていった。


「えっ、、、うそ、、何で?!」


「まゆらぁー!!!そこから逃げろ!!」


ウルの声が聞こえて、振り向くと小鳥が、巨大化して襲いかかってきた。


「キャァァァァァァーー!!」


「まゆら!!こっちだ!!」


ウルの後を必死で追いかけ、校舎の中に逃げてなんとか隠れた。


「ウル、、アレ何、、?まさか、、」


「おそらく、ダークアビスだ。

鳥を操って襲うように仕向けたんだ。」


「あの、巨大な鳥と戦うの、、、?」


「あの鳥を倒さないと、先に進めないぞ」


「あんな、化け物みたいなの、、無理だよぉぉー!!」


ガシャァァァァァン!!


巨大な鳥は校舎を破壊し始めた。


「まゆら!!変身だ!!このままじゃ死ぬぞ!!」


「.........わかった!!

倒せるかわからないけど、やってみる...!」



「遙か古の女神よ深紅の輝きとその力を我に与えたまえ

リベラ ジュエル スピネルラヴルージュ」


「まゆら!!屋上に誘導するんだ!」


「巨大な鳥さーん!!こっちだよ!!」


屋上に、巨大鳥を誘導することにした。


「ウル!!何で、屋上なの?!」


「その方が戦いやすいからだ!!

まゆら!!戦闘モードになるぞ!!」


「はいっ!! レッド ジュエル ダリアーテ!!」


初の戦いに、不安しかなかった。


「まゆら、大丈夫だ。一緒に戦うんだから安心しろ。」


「うん。。」

(大丈夫。ウルが一緒だもん!!)


巨大鳥をなんとか屋上に誘導することができた。

大きな翼とくちばし、鋭い足の爪、でこちらにゆっくり向かってくる。


「ウルっ!!こ、、こっちにくるよぉ、、」


「まずは、鎖でアイツを動けなくするんだ!」


「はいっ!!」

(たしか、、鎖で動けなくするには、ブレスレットだったよね)


「ローズ チェーン スピネル!!」


薔薇の鎖で、巨大鳥を動けなくすることに成功した。


「やったぁ〜!!ウル!!出来たよ!」


「喜んでる暇はないぞ!!鎖を壊される前に操っている核が、この鳥のどこかにあるはずだから、それにとどめを刺さないと、こっちがやられる!」


「核?!そんなのどこにあるの!?」


「それを探すんだ!!上から探してみるんだ」


巨大鳥の頭上から、核を探すことにした。

巨大鳥の力は、とても強くて鎖がちぎれそうだった。


「スピリ タイム ラヴティア!!」


「おっ!まゆら、ナイスだ!!」


「時間を止めている間に、探すわ!!」


「まゆら、首の後ろに核があるぞ!」


「こ、、コレが核、、」


「剣で突き刺すんだ!!」


「剣で突き刺したら、この鳥はどうなるの?!」


「そんなこと、考えている暇はないぞ!!時間が無くなる。

こっちが、やられてしまうぞ!」


「でも、、、、」

(何とかして、鳥が死なずにすむ方法を考えなきゃっ!!)


「まゆら!!!あと、30秒しかないぞ!!」


(......あっ!!できるかも!!)


「ウル!!核って剣じゃないと壊せないんだよね?!」


「あぁ!!そうだ!!早くしないと魔法が解けるぞ!!」



「ジュエル スピナ アロー!!」


「バカ!!それじゃ核は壊せないっ!!」


宝石の矢は、核に刺さった。

すると核は、黒いモヤモヤする球体となって巨大鳥から外れた。


「よし!鳥から外れた

レッド ジュエル ソード!!」


「まゆら!!核の真ん中に剣を刺すんだ!!」


「わかった!!」

赤の宝石の剣で、黒のモヤモヤした球体を勢いよく刺した。すると黒いモヤモヤは黒い光を放ち、消滅した。

私の足元に、赤いガラスの破片のようなものが転がってきた。


「こ、コレは??」


「やったぞ!まゆら!それが、レッドスピネルの欠片だ。」


「やったぁぁ!!ウル!!」


やっと1個目のレッドスピネルの欠片を手に入れた。

私は、ホッとし安心した。

巨大鳥も、元の小鳥に戻り元気に羽ばたいている。

しかし敵を倒したのに、空は真っ暗なままだった。


「ウル...空が暗いままだよ?」


「おそらく、、ダークアビスに支配されてしまったんだ、、この街は。」


空に羽ばたいていったはずの小鳥が、私の前に落ちてきた。


「ウソ.....どうして.....」


小鳥は、ピクリとも動かない。

私は屋上から飛び、ウサギ小屋に駆け寄った。

ウサギたちも、他の小鳥たちも、倒れていた。


「ウル.....みんな死んじゃったの...??」


「いや、眠らされているだけだと思うが、、

学校から出て、街の方に行ってみるぞ!」


「うん....!!」


「また、敵が襲ってくるかもしれないから戦闘モードのまま、行動しよう。」


「わかった....!!」


私は、学校を出て繁華街の方へ向かって行った。

いつもたくさんの人で賑わっているはずなのに誰もいない。


「どうして誰もいないの...?!」


歩き進んで行くと、突然景色が歪みだし変わっていった。


「ねえ...ウル!!街が変わっていっちゃうよ!!」


「一体どうなっているだ...」


あっとゆうまに街全体が、暗黒に染まっていってしまった。

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